自己PRではさまざまな点をアピールできますが、中には「思いやり」があることを伝えたいと思っている人もいるのではないでしょうか。
思いやりを伝える際には、注意しないと採用担当者にマイナスイメージを与えかねません。
本記事では、自己PRで思いやりを伝える際の注意点や例文を紹介します。
また、こちらの記事では自己PRの書き方のポイントや注意点を解説しています。ES提出締め切りが近い!という方はぜひ一緒にチェックしてみてくださいね。
自己PRで「思いやり」を伝える3つのメリット
自己PRでは、以下の理由から思いやりについてアピールすることがおすすめです。
採用担当者にどんな印象を与えたいのか意識して、アピールする文章を考えましょう。
①協調性に優れているという印象を与えられる
思いやりを伝えるメリットとしてまず挙げられるのが、協調性に優れていると印象づけられる点です。
自己主張をすること自体は、決して悪いわけではありません。
しかし、誰もが自分のことだけを考えていたら、会社の運営はうまくいかないものです。会社では、チームで仕事を進めることが多くあります。
自分勝手な人材を採用することは会社としてもリスクがあることから、協調性に優れているとアピールすれば好印象を与えられるでしょう。
②細かい部分に配慮できるという印象を与えられる
細かい部分に配慮できると印象づけられる点も、思いやりをアピールするメリットに挙げられます。
細かい部分に配慮できる人は、「視野が広く、周りの人の困りごとを見つけて行動できる」と判断してもらえるためです。
人間関係を築いていくうえでは、お互いに対する配慮や気遣いが欠かせません。
細かい部分に配慮できると印象付けられれば、入社後も職場メンバーと人間関係を築き、協力し合って業務を進められると感じてもらえるでしょう。
③相手の立場で物事を考えられるという印象を与えられる
自己PRにおいて思いやりがあることをアピールすれば、相手の立場で物事を考えられるとも思ってもらえるでしょう。思いやりがある人は、相手が何を求めているのか考えて行動できるためです。
相手のことを考えない行為は、思いやりではなく独りよがり・自己満足と取られてしまいます。
また、仕事に置き換えて考えた場合でも、相手の求めていることを客観的に把握する能力は大切です。
思いやりをアピールすることで、職場メンバーとも顧客とも良好な関係を築けると思ってもらえるでしょう。
「思いやり」の自己PRを作るための4つの準備
自己PRでは単に「思いやりがある」と言うだけでは、具体性に欠け印象に残りにくい自己PRになってしまいます。
ここでは、説得力のある思いやりの自己PRを作成するために必要な準備のポイントを解説します。
①企業が求めている人物像を把握する
企業は思いやりのある人材を求めていますが、単に「思いやりがある人」というだけでは不十分です。
思いやりを自己PRで伝える際は、企業の求める人物像に合わせた表現が重要になります。
例えば、コールセンター業務では親切な顧客対応が求められ、マニュアル通りの対応に加えて思いやりの気持ちがあると顧客満足度が高まるでしょう。
企業の求める人物像を把握し、その企業でどう思いやりを活かせるかを具体的に伝えることで、より説得力のある自己PRを作れます。
②「思いやり」を発揮したエピソードを振り返る
思いやりを発揮したエピソードを振り返る際は、まずは自分の経験を幅広く書き出すことから始めましょう。
アルバイト、サークル活動、ボランティア、学校生活など、様々な場面での経験を思い出してください。
エピソードを見つけるのが難しい場合は、家族や友人など身近な人に相談するのも効果的で。自分では気づかない思いやりの行動を、周囲の人は覚えているかもしれません。
ただし、単なる親切な行動ではなく、相手の気持ちを理解した上での行動や、その結果どんな良い変化が生まれたのかまで含めて振り返ることが重要です。
③「思いやり」を自分なりの言葉で再定義する
思いやりは漠然とした概念なので、自己PRで効果的に伝えるには自分なりの定義付けが重要です。
単に「相手の立場に立って考えられる」という一般的な表現では、他の就活生との差別化が難しくなってしまいます。
たとえば「相手が必要としているサポートを先回りして提供できる力」や「周囲の状況を観察し、最適な配慮ができる能力」など、具体的に言語化すると説得力が増すでしょう。
自分らしい言葉で思いやりを再定義すると、面接官に対してより具体的なイメージを与えられ、あなたの強みを印象づけやすくなります。
④「思いやり」が具体的な業務にどう活きるかまとめる
思いやりの自己PRを企業に評価してもらうには、その強みを具体的な業務でどう活かせるかを明確に示すことも重要です。
たとえば営業職であれば、顧客の立場に立って商品提案ができることをアピールできます。
また、接客業では相手のニーズを察知して最適なサービスを提供できる点を強調できるでしょう。
思いやりという強みを職種や業務に合わせて具体的に言語化すると、企業にとって価値のある人材であることを示せます。
自己PRで「思いやり」を伝える時は言い換えも有効

自己PRで思いやりを伝える際には、言い換えも有効です。そもそも「思いやり」はあいまいな表現であり、他の言葉で表現した方が分かりやすいと言えます。
具体的な言い換え表現は、以下の通りです。
- 気配りができる
- 気遣いができる
- 相手の立場で考えられる
- 人の気持ちに寄り添える
また上記のような言い換えの表現を知っておくことで、同じ言い回しの繰り返しも避けられます。文脈にや状況に応じた、分かりやすい表現を心がけましょう。
自己PRの「思いやり」の効果的な書き方構成3ステップ

自己PRで思いやりを伝える際には、以下の構成がおすすめです。
他の項目を記述する際に活かせる部分もあるので、ぜひともここで基本的な構成方法を押さえてくださいね。
①結論として「思いやり」が強みであると伝える
最初に、結論を記述します。結論から記述を始めることは、エントリーシートや面接、そしてビジネス文書における基本です。
「私の強みは○○です。」「私は○○を強みとしています」と、自分の強みを明確に伝えましょう。
ただし、「私の強みは思いやりです」と表現すると、曖昧で伝わりにくくなります。そのためここでは、思いやりの意味を明確に定義することが大切です。
②具体的なエピソードで根拠を補強する
次では、自分の強みの根拠となるエピソードを記述しましょう。ただ強みをアピールするだけでは、具体性がなく説得力に欠けるためです。
エピソードは、第三者が見てもわかりやすく書く必要があります。下記の「STAR法」の構成を参考にして、客観的に伝えることを心がけましょう。
- Situation(自分が置かれていた最初の状況)
- Task(当時の課題や達成すべき目標)
- Action(課題・目標を解決・達成するために取った行動)
- Result(結果)
③入社後の活躍の展望で締めくくる
具体的なエピソードを紹介したら、最後に入社後の活躍の展望について記述します。
思いやりが強みだと知らせるだけでなく、強みを生かして入社後どのように活躍できるかを伝えることが重要です。
応募している企業や職種の特徴・業務内容を意識して、自分が入社後に活躍していると採用担当者がイメージしやすいように記述しましょう。
ここまで解説した構成が、実際にどんな文章になるのかを見たい!という方はぜひこちらの記事をチェックしてみてくださいね。
【タイプ別】自己PRで長所「思いやり」を伝える例文4選

思いやりを伝える文章を考える際には、例文を参考にすることがおすすめです。
そのためここでは、以下の4つの例文を紹介します。
例文を参考にして、自分の魅力を表現できる文章を考えてみてくださいね。
例文① 気配りができる
「気配りができる」強み
私の強みは、周囲に気配りをして状況に合った対応ができることです。
私が学生時代にアルバイトをしていた飲食店では、お客様アンケートでの満足度が低く、平均点が5段階評価で2.5に落ち込んでいました。
本部より改善を促されていると店長から聞いた時、私は一部のアルバイトのモチベーションが明らかに下がっていることに問題があると考えました。モチベーションが低いと思われるアルバイトに個別ヒアリングを行った結果、シフトが偏って実質的な長時間労働を強いられていることが分かったのです。
そこでシフト管理の見直しと新たな管理方法を提案したところ、業務の質も改善され、半年で満足度の平均値が2.5から4.2まで改善しました。
入社後にはこの強みを活かし、常に相手の立場になって考えることを大切に、それぞれのニーズに最適なサービス提供を行い貢献できればと考えております。
気配りができることをアピールする例文です。具体的にどのような気配りを行い、どのような結果が出たのかがわかりやすいのがポイントです。
例文② 相手の立場で物事を考えられる
「相手の立場で物事を考えられる」強み
私の強みは、相手の立場で物事を考えられることです。
私は個別指導塾のアルバイトで、2人の生徒を3年間担当しました。
当初は、それぞれのモチベーション維持の難しさに悩むこともありました。しかし、「どうすれば勉強を楽しいと思ってくれるか」という観点を意識し、2人それぞれの性格や得意・不得意の分析から、意欲を最大限引き出せる計画を立てることに力を入れました。
その結果、勉強への姿勢がみるみるうちに変化していき、無事に2人とも志望校合格を達成しました。
経験から培った強みは、顧客の要望に最大限応える営業業務に活かすことができると自負しております。顧客の立場に立って考えることを忘れず、「お客様ファースト」を徹底して貴社の利益に貢献できればと考えております。
部活動の経験から思いやりをアピールする例文です。入社後はどのような強みになるのかを述べているので、採用担当者からも読みやすい例文になっています。
自己PRで思いやりを伝える際の3つの注意点

自己PRで思いやりを伝える際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。
文章を考えたら、第三者が見てどう感じるのかを冷静に見直すことが大切です。
①おせっかいになっていないか
思いやりを伝える際には、「おせっかい」になっていないか注意しなくてはいけません。相手が望んでいない勝手な行動は、思いやりではなくおせっかいです。
思いやりを発揮するためにはまず、「相手が望んでいること・困っていること」の理解が求められます。
望んでいない行動は、実は迷惑になっていることもあり得るでしょう。
自分勝手な行動ではなかったか、そして思いやりを発揮したと伝わる文章になっているか、チェックしてみてください。
②空回っていないか
思いやりエピソードを考える際には、「空回っていないか」も確認しなくてはいけません。
自分が良いと思って取った行動も、相手からすれば不要であることは十分に考えられます。
たとえば、仕事に時間がかかっている同僚に気づき、業務の一部を代わりにやってあげたケースを考えてみましょう。
自分は「困っている人を助けた」と思っていても、ひょっとしたら相手は「自分でやって経験を積みたかった」と思っているかもしれません。
相手の気持ちを考えられていない、空回ったエピソードを話さないように注意しましょう。
③自己満足になっていないか
「自己満足になっていないか」も、思いやりのエピソードを考える際には注意が必要です。
結果的に相手のためではなく自分のための行動になってしまえば、思いやりを発揮したとは言えません。
ケースによっては「自分勝手」「他人のことを考えない」などと、採用担当者にマイナスイメージを与えてしまうこともありえます。
思いやりエピソードを考えるなら、相手の反応はどうだったのか、客観的に見て思いやりだと言えるのかを慎重に検討しましょう。
また、注意点を踏まえてしっかり考えた自己PRを最大限伝えるためには、いくつかのポイントを把握することが大切です。詳しく知りたいという方は、ぜひ以下の記事も参考にしてくださいね。
企業によっては「思いやり」が逆に短所に捉えられることも
思いやりの心は重要ですが、企業の採用活動においては必ずしも高く評価されるとは限りません。
ここでは、思いやりを自己PRする際に短所として捉えれられる場合を2つ見ていきましょう。
①結果を重視する企業や職種の場合
結果を重視する企業や職種の場合、思いやりをアピールすると逆効果になる可能性があります。
例えば、ベンチャー企業や先進的な企業、実力主義を掲げる企業では、思いやりよりもスピードや成果が重視されます。
また、営業職のように個人の実績が重要視される職種では、思いやりよりもポジティブさや行動力、忍耐力などの要素が求められるでしょう。
そのため、志望する企業の企業理念や求める人物像を事前に確認し、思いやり以外の強みをアピールすることを検討する必要があります。
②リーダーシップが重視される企業や職種の場合
リーダーシップが重視される企業や職種では、思いやりの強さが逆効果になる可能性があります。
特にベンチャー企業や営業職、マネジメント職などでは、思いやりよりも積極性や決断力、行動力が重視されるでしょう。
思いやりを前面に出すと、「優柔不断で決断力に欠ける」「周りに流されやすい」「自分の意見を持っていない」といったマイナスの印象を与えかねません。
そのため、応募する際は、思いやりと合わせて「積極的にチームを引っ張る力がある」「メンバーの意見を聞きながらも、最終的には自分で判断できる」などの要素も盛り込むことが重要です。
例文を参考に思いやりについて自己PRしよう
自己PRで思いやりをアピールできれば、協調性があることや細かいところに気を配れると相手に印象づけられます。
ただし思いやりを発揮したと言うためにはただ行動するだけでなく、相手の利益になる行動をしなくてはいけません。
自分勝手なことをしていると採用担当者に思われないように、エピソードを厳選してしっかりと見直すことが大切でしょう。
本記事で紹介したポイントや例文ををぜひともご参考にしていただき、思いやりを最大限アピールしてくださいね。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。