搭乗手続きを行ったり、手荷物を受け取ったりなど、空港で働く人をグランドスタッフと呼びます。グランドスタッフを志望する場合、どのような志望動機を書けばよいのでしょうか?
この記事では、グランドスタッフの詳しい仕事内容や適性、志望動機を書くコツを例文もまじえて解説しています。空港で働きたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
グランドスタッフとは?仕事理解を深めて志望動機に繋げよう
グランドスタッフとは、空港業務スタッフのことを指します。なかでも「空港内で主に接客業務を担当するスタッフ」という認識が、近年では一般的となっています。
具体的な仕事内容としては、航空券の発券や搭乗手続きを行うカウンター業務、搭乗案内などを行うゲート業務、出発・到着ロビーでお客様をサポートするロービーサービス業務などがあります。
他にも手荷物のお預かり、ラウンジでの受付や接客など、業務内容はかなり幅広いものとなっています。
ちなみに、同じ空港内の業務でも、接客ではなく裏方の業務は「グランドハンドリング」と呼ばれています。航空機の誘導や貨物コンテナの搭降載などが当てはまります。
グランドスタッフに向いている人の3つの特徴
ここでは、グランドスタッフの仕事に向いている方の特徴を、大きく分けて3点ご紹介します。
- 思いやりを持ってお客様に対応できる人
- 責任感が強い人
- 柔軟性がある人
グランドスタッフ業に興味のある方は、自分の性格が当てはまっているかどうか、ぜひチェックしてみてください。ひとつずつ解説します。
①思いやりを持ってお客様に対応できる人
グランドスタッフは、空港における接客業務です。担当部門がどこであれ、空港を利用するお客様とのコミュニケーションが重要な仕事です。
助けを求めてくるお客様をサポートするだけではありません。お客様から話しかけられるだけでなく、自らお客様の様子を伺い、困っている方がいれば声をかけて対応する「思いやり力」が求められます。
お客様を注意深く観察し、求められていること以上の接客やサポートをすることで、空港利用者の顧客満足度を高めることが必要です。
②責任感が強い人
グランドスタッフの業務は、航空券の発券や搭乗予約、搭乗案内など、空港にとって最重要である安全と運行スケジュールに関わる仕事です。ひとつひとつの業務に大きな責任が伴います。
また、旅行中にはさまざまなトラブルや問題が起こることがあります。お客様が困っていることを責任持って解決に導くのも、グランドスタッフとして必要な要素ですね。
定刻通りの運行、お客様の安全と満足度を守ることは、責任感なしには成し遂げられないものでしょう。
③柔軟性がある人
空港での仕事に、予想外の事態はつきものです。天候不良などで運行状況が左右されるため、急な変更事項にも落ち着いて対処できる柔軟性と臨機応変な判断力が必要とされます。
また、空港内でも予定外のトラブルはよく起こります。搭乗時間が迫っているのにお客様が現れなかったり、預かった手荷物が見当たらなかったり、それらの問題に対応するのもグランドスタッフの仕事です。
常に状況を判断し、柔軟性を持ってお客様と接する能力が求められるでしょう。
グランドスタッフの志望動機の書き方3ステップ
ここからは、グランドスタッフ業を目指す方が履歴書などに記載する「志望動機」について紹介します。
志望動機は、下記の流れに沿って組み立てるのがおすすめです。
- 志望理由を結論ファーストで書く
- 応募理由のきっかけとなったエピソードを書く
- 入社後にどのように活躍できるかを書く
以下で詳しく解説します。
①志望理由を結論ファーストで書く
志望理由は、まず結論部分から書き始めましょう。「私は◯◯の為、グランドスタッフになりたいと思っています」と、簡潔に述べます。
就職活動も含め、ビジネスでは「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論」の順で文章を構成するPREP法が好まれます。
この手法を使うだけで、まとまりができ、論理的で説得力のある文章になりますよ。
②応募理由のきっかけとなったエピソードを書く
続いては、なぜグランドスタッフを志望したのか、応募理由を具体的に述べます。
ここではグランドスタッフになりたい理由はもちろんのこと、なぜその企業を選んだのかについても、しっかりと触れましょう。
エピソードは、できる限り具体的にした方が熱意が伝わりやすくなります。空港で働きたいと思うには、なにかきっかけがあったはずです。今一度思い出し、深掘りして考察してみてください。
③入社後にどのように活躍できるかを書く
最後に、自分が企業にどのような貢献ができるのかを記載します。
履歴書や面接では、志望動機のほかに自己PRを述べる必要性もあるでしょう。自分がどのように活躍できるかは、自己PRと共通する内容にするのがおすすめです。
グランドスタッフとして働くために、自分が勉強してきたことや、得意だと思っていることについてアピールしましょう。
グランドスタッフの志望動機のポイント4選
志望動機の構成について説明しましたが、続いてここでは、志望動機を書く際に気をつけたいポイントについて説明します。志望動機を詳しく書く際のコツは、下記の4点です。
- なぜ航空業界が良いのかをはっきりさせる
- なぜその企業で働きたいのかをはっきりさせる
- 他の職種ではなくグランドスタッフとして働きたい理由を明確にする
- グランドスタッフとして活かせる強みをアピールする
以下で詳しく解説します。
①なぜ航空業界が良いのかをはっきりさせる
まずはじめに、なぜ航空業界で仕事がしたいのか、はっきりと理由を述べましょう。
グランドスタッフは空港内での接客業です。しかし、ただ「接客業がしたい」という言い方をしてしまうと、普通のお店や飲食店などでもいいのでは?と思われてしまいますよね。
普通の接客業ではなく、あえて航空業界を選んだ理由をしっかりと伝える必要があります。
空への玄関口である空港が好き、飛行機が好き、も立派な理由でしょう。観光に興味がある、自分も旅行が好きだから旅行客をサポートしたい、など、ぜひ理由を考えてみてください。
②なぜその企業で働きたいのかをはっきりさせる
続いては、航空業界の中でもなぜその企業を選んだのか、について記載します。
航空会社は国内だけでも、ANA、JAL、スカイマーク、ピーチ…など数多く存在します。企業としては「どうして他社ではなく自社で働きたいのか」は知っておきたい項目でしょう。
例えばJALの面接では「どうしてANAではなく自社で働きたいのですか?」と聞かれたら、納得してもらえる答えを用意しなければなりません。
志望動機に説得力を与える部分ですので、競合他社をしっかりと研究し、差別化することが求められます。
③他の職種ではなくグランドスタッフとして働きたい理由を明確にする
航空業界や空港内には、多くの職種があります。裏方の仕事もたくさんある中、なぜお客様と直接触れ合うグランドスタッフをやりたいのかについても述べましょう。
上記①で、なぜ他所での接客業ではなく航空業界がいいのかについては記載しましたが、ここではそれと関連付けて、グランドスタッフとして働きたい理由を記載します。
ここで「他の職種をやりたくない理由」を出すのはNGです。すべて大切な仕事であり、しかしその中でも自分の強みを活かせるのはグランドスタッフである、という流れで伝えましょう。
④グランドスタッフとして活かせる強みをアピールする
上記③からの流れで、自分の強み、自分が勉強してきたことなどをアピールしましょう。
グランドスタッフになるために必要な資格などはありません。ただ、就職後も活かせる経験や資格として、たとえば接客業の経験や、英語・中国語などの語学勉強などが当てはまります。
語学を学んでいる方はぜひ資格取得にも励んでみてください。
他にもコミュニケーション能力の高さ、責任感や柔軟性などを、簡単なエピソードと共に自己PRするのもおすすめです。
グランドスタッフの志望動機の例文3選
ここでは、具体的な志望動機の記述内容を例文をまじえて解説します。どのように書いたらいいかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。
- 空港を利用した経験から
- 語学力を活かしたいから
- アルバイト経験を活かしたいから
上記3つの志望動機に分けて、約300文字程度にまとめています。それでは見てみましょう。
例文①: 空港を利用した経験
私は、不安や心配を抱えているお客様のサポートをし、素敵な空の旅を楽しんでもらいたいと思い、グランドスタッフ業務を志望しました。 私が中学生の頃、身内に不幸があり、親とのタイミングが合わず、高校生の姉と二人きりで飛行機に乗ったことがあります。チケットは持っていましたが、姉も私も飛行機自体が初めてで、とても不安でした。そんな私たちに、御社のグランドスタッフさんがすぐに気づいて声をかけてくれました。搭乗までずっと側についていただき、さらに客室乗務員の方にも引き継いでくれたようで、飛行機の中でもやさしく声掛けをしてもらえました。 私も御社でグランドスタッフとして、お客様をしっかりと観察し、寄り添い、安心して飛行機を利用していただけるよう貢献したいと思っています。 |
自分が空港を利用し、グランドスタッフからサービスを受けて感動した経験を元にした志望動機です。具体的なエピソードをもう少し簡略化し、自己PRを付け加えてもいいでしょう。
例文②: 語学力を活かしたい
私は、大学で身につけた語学力と異文化コミュニケーションを活かした仕事がしたいと思い、グランドスタッフ業務を志望しました。 子供の頃から海外に強い興味があり、大学では英文科で異文化コミュニケーションを専門に学びました。英語だけでなく中国語も独学で学んでおり、それぞれ◯級の資格を取得しています。勉強していくうちに、多種多様な国や地方から来られる空港で、海外からのお客様と接してサービスができるグランドスタッフとして働きたいと強く思うようになりました。 なかでも御社は、国際線満足度ランキング1位の企業です。私もそのようなすばらしい環境で切磋琢磨し、すべてのお客様に満足していただけるよう知識と技術を磨きたいと思っています。 |
こちらは「語学力を活かしたい」というきっかけから作成した志望動機です。語学力の程度は、取得した資格を書き添えることで企業に伝わりやすいでしょう。
また、他の航空会社ではなくその企業を選んだ理由も明記し、最後に意欲を伝えています。
例文③: アルバイト経験
私は、学生時代に空港でアルバイトをした経験がきっかけで、グランドスタッフを目指しています。 これまで4年間、◯◯空港のお土産屋でアルバイトをしていました。旅行に来られているお客様にとっては、お土産選びも観光のひとつだと思います。 楽しんでゆっくり選ばれる方、お仕事で急いでいる方、日本語がまったく読めない外国の方など、たくさんのお客様と触れ合うことができて、とても楽しく働くことができました。 そのうち、より旅行客の方々ともっと深く関わりたい、もっとより良い旅になるようサービスを提供したいと思うようになり、グランドスタッフを志望しました。この4年間のアルバイト経験を活かし、さらに語学力を身につけ、御社に貢献したいと思っています。 |
こちらは接客のアルバイト経験を元にした志望動機です。空港だけでなく、観光客向けのお店や居酒屋などでのアルバイトも、旅行客を相手とした接客経験として活きてくるでしょう。
他にも「リーダーを任された」「新人の教育係をやった」なども、責任感のアピールとして記載できますよ。
グランドスタッフの志望動機を書く時に注意すべき3つのこと
ここでは、志望動機を書く際に注意したいポイントを、3つ紹介します。
- ネガティブな志望動機は避ける
- 他の職種でも当てはまる志望動機は避ける
- 志望動機で待遇を言及するのは避ける
せっかく志望動機をまとめても、自分では気が付かないマイナスな要因があってはもったいないですよね。ぜひチェックしてみてください。
①ネガティブな志望動機は避ける
志望動機に、ネガティブな表現は使わないようにしましょう。例として下記のようなものが挙げられます。
- 本当はキャビンアテンダントになりたいが、倍率が高いからグランドスタッフを志望します。
- 裏方のグランドハンドリング業務は難しそうなので、グランドスタッフを志望します。
このような表現は、自分の評価を下げるだけでなく、企業に対しても失礼な書き方となります。
他の業種と比べる際は「自分は◯◯な理由で、グランドスタッフの方が向いているから」とポジティブな書き方をしましょう。
②他の職種でも当てはまる志望動機は避ける
企業に「グランドスタッフではなく、他の接客業でもいいのでは?」と、他でも当てはまると思われるような志望動機は避けましょう。例として下記のような表現です。
- お客様にありがとうと感謝されるのが、仕事の喜びだからです。
- 人と関わるのが好きだからです。
- 航空業界に興味があり、飛行機に関わる仕事がしたいからです。
これらは間違いではないのですが、言葉が不足しており、グランドスタッフにこだわりがないと判断されてしまいます。
「航空業界・空港で」働きたい理由と「接客業に就いて」働きたい理由をそれぞれしっかり述べるよう気をつけましょう。
③志望動機で待遇を言及するのは避ける
これはグランドスタッフに限ったことではありませんが、就職活動での志望動機では、給与やボーナスなど待遇面について言及するのはNGです。例として下記のような表現です。
- 航空業界は年収がいいと聞いたので、グランドスタッフを希望します。
- 他社よりも御社の方が待遇がいいので、御社を希望しました。
仕事をするモチベーションがお金であったとしても、それは自分の胸のうちに留めておき、企業には伝えないように注意しましょう。
企業側は「待遇以外に自社に魅力を感じていないのか」「他社がもっと良い待遇ならそちらに行くのか」と考えてしまいます。あくまで働きたい意欲を伝えましょう。
グランドスタッフの志望動機では志望理由が重要
空港で主に接客業を担当するグランドスタッフについてと、志望動機の書き方について紹介しました。
通常の接客業と違い、空港で旅行客を相手にサービスをする、という点が特徴です。それらに関してしっかり具体的に志望動機を伝えることが重要です。
この記事を書いた人
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。