就職活動において、「激務」という言葉は避けて通れない現実があり、残業が多い、休日出勤が当たり前、精神的なプレッシャーが大きいなど、業界によって「激務」の内容は様々です。
特に新卒で就職する場合、業界の実態を十分に理解しないまま入社してしまい、想像以上の業務負担に直面してバーンアウトしてしまうケースも少なくありません。
しかし、事前に業界の特徴や仕事内容を把握しておけば、自分に合った職場を見つけられます。
この記事では、残業時間のデータに基づく激務な業界ランキングや、各業界の特徴、激務の見分け方、向いている人の特徴まで詳しく解説します。
就職活動中の方は、ぜひ参考にして業界研究に活用してください。
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【データで見る】激務で残業時間が長い業界ランキング

約6万8000件の社員クチコミデータを分析した結果から、業界別の月間平均残業時間の実態が明らかになっています。
順位 | 分野 | 業種 | 残業時間 |
1 | コンサルティング、シンクタンク | コンサルティング | 83.5 |
2 | 広告代理店、PR、SP、デザイン | マスコミ | 78.6 |
3 | 建築、土木、設計、整備工事 | 不動産・建築、倉庫 | 70.8 |
4 | 放送、出版、新聞、映像、音響 | マスコミ | 66.1 |
5 | 不動産関連・住宅 | 不動産・建築、倉庫 | 64.8 |
6 | インターネット | IT・通信・インターネット | 63.36 |
7 | フードサービス、飲食 | サービス、小売、外食 | 62.03 |
8 | 情報サービス、リサーチ | サービス、小売、外食 | 58.43 |
9 | 証券会社、投資ファンド、投資関連 | 金融 | 57.47 |
10 | 住宅整備、建材、エクステリア | メーカー | 56.59 |
これらの業界で残業時間が長くなる主な理由は、成果物の制作と締め切りの存在です。
特に上位の業界では、終業時間で単純に切り上げることができず、一定以上の品質を確保するために残業が発生しやすい傾向にあります。
なお、一般的にホワイト企業の残業時間の目安は月20時間未満とされており、45時間以上になると過重労働の目安とされています。
しかし、これらの業界では全体の平均残業時間は月66時間程度であり、多くの社員は1日あたり3時間程度の残業を行っているのが現状です。
「激務」と言われる業界12選!激務になる理由まで解説

就職活動において、業界の労働環境の理解は非常に重要です。
特に「激務」と呼ばれる業界では、仕事の特性や業界構造により、長時間労働や高いストレス環境になりやすい傾向があります。
ここでは、特に激務として知られる12の業界について、その理由と実態を詳しく解説するので、業界選びの参考にしてください。
①広告業界
広告業界における激務の主な原因は、品質と作業量に対する高い期待、厳しい締め切り、顧客の要求によるプレッシャーにあります。
さらに、平均残業時間は高水準で、クライアントの要望に合わせた対応が必要なため、どうしても残業が生じやすい状況です。
そのため、顧客からの期待の管理、予算制約、競争、急速なデジタル環境への適応が主要な課題となっていますよ。
②官公庁
官公庁の激務の理由は、国会対応や突発的な案件対応、膨大な事務作業に起因します。
全職員の約28.5%が残業の上限を超えた労働を強いられており、特に求められる業務の速度が増していることが影響しています。
そのため、人手不足や長時間労働が常態化しており、制度上の制約や慣行が原因で働き方改革の進捗が難しい状況ですよ。
③金融業界(証券会社)
金融業界での激務の主な原因は、厳しいノルマと長時間労働に起因しています。
多くの新入社員は口座開設や融資のノルマ達成を求められ、大きなプレッシャーを感じています。
さらに、業務の正確性が重要視されるため間違いに対するプレッシャーも大きく、金融商品の取り扱いには厳しい規制やさまざまなルールが存在するため、多忙な中でも時間を見つけて勉強しなければなりません。
④マスコミ業界
マスコミ業界は、競争が激しく、視聴者の興味を引くために高いクオリティの番組制作が求められます。
多様な分野からの情報収集が必要で、緊急性を要求される業務が多く、深夜のロケや短い納期での業務が一般的な上、業務の不規則性が大きな課題で、他の人の作業待ちが多く、結果的に拘束時間が長くなる傾向にあります。
⑤医療業界
医療業界における激務の主な理由は、慢性的な人手不足や長時間労働、業務内容の多さ、緊急対応や夜勤による業務負担の増加です。
特にコロナ禍以降、医療現場は過酷な状況が続いており、看護師はしばしば休憩を削って働かざるを得ない状況にあるため、長時間勤務が常態化し、休日を十分に取得できない労働環境が課題となっています。
⑥コンサルティング業界
コンサルティング業界では、クライアントからの期待に応えるために長時間の労働が多く、月間平均残業時間も高水準です。
休日や徹夜を強いられることも珍しくなく、急速に変化するビジネス環境に対応する必要があるため、新しい知識を常に学ぶ必要があり、精神的な負担も重くのしかかっています。
さらに、プロジェクトごとに異なるニーズや納期に対応する必要があり、特に期限に迫られると高い負担がかかりますよ。
⑦教育業界
教育業界における激務の主な要因は、授業準備や生徒指導、事務作業の多さにあります。
教員は授業時間以外にも教材研究や採点、保護者対応など多岐にわたる業務をこなす必要があり、休日出勤も珍しくありません。
特に部活動の指導や進路指導などの業務も重なり、労働時間が長時間化する傾向にある上、生徒一人一人に合わせた指導が求められるため、精神的な負担も大きくなっています。
⑧IT業界
IT業界の激務の主な原因は、慢性的な人手不足と急速な技術革新への対応です。
顧客の課題ヒアリングから開発・実装、運用・管理、トラブル対応まで幅広い業務をこなす必要があります。
近年はオンライン対応やプロジェクト管理の改善が進んでいますが、納期に追われる状況は依然として続いていますよ。
⑨不動産業界
不動産業界での激務の主な理由は、厳しいノルマと不規則な勤務時間にあります。
顧客の都合に合わせた物件案内や商談が必要なため、夜間や休日の対応も多い状況です。
また、高額な取引を扱うため精神的なプレッシャーも大きく、フットワークの軽さや社会の変化への敏感さが求められますよ。
⑩福祉・介護業界
福祉・介護業界は、人手不足と24時間体制のケアが必要なことから激務となっています。
また、利用者の生活リズムに合わせた勤務が必要で、夜勤や不規則な勤務シフトが一般的です。
さらに、身体的な負担が大きい仕事であり、精神的にも利用者や家族との密接な関わりが求められますよ。
⑪飲食業界
飲食業界の激務の主な原因は、長時間の立ち仕事と不規則な勤務時間です。
繁忙期や店舗規模によっては人手不足から残業が避けられない状況が続いています。
また、休日や深夜の勤務も多く、体力的な負担が大きい業界となっていますよ。
⑫ホテル業界
ホテル業界における激務の主な理由は、24時間365日の運営体制と季節による繁閑の差です。
宿泊客への対応は常時必要であり、シフト制による不規則な勤務が一般的な上、予約状況や天候などの外部要因に左右されやすく、突発的な対応も求められます。
さらに、接客業務に加えて、施設管理や予約管理など、多岐にわたる業務をこなす必要があり、体力的にも精神的にも負担の大きい業界となっていますよ。
「激務」になりがちな業界の特徴

激務な業界には共通する特徴が複数存在することが調査によって明らかになっており、れらの特徴を把握すれば、就職活動時に自分に合った業界を選択ができます。
特に残業時間の長さ、業務の複雑さ、休暇の取りにくさなどは、業界選びの重要な判断基準です。
そのため、激務な業界の特徴の理解は、将来のキャリアプランを考える上で非常に重要な要素となるでしょう。
①長時間の残業が当たり前
日本の多くの業界で残業は一般的な課題となっています。
特に運輸業・郵便業では月間22.1時間、情報通信業では15.5時間、電気・ガス・熱供給・水道業では14.5時間の残業が発生する状況ですよ。
さらに、広告業界では締め切りに追われる業務形態が一般的で、入稿期限が厳守のため、納期間際になるほど仕事が集中する傾向にあり、この残業の常態化は、従業員の心身の健康に大きな影響を与える可能性があります。
②ノルマや顧客の要求水準が高い
金融業界、特に証券会社では個人投資家や中小企業に対する口座開設などの厳しいノルマが設定されているため、営業担当者には大きなプレッシャーがかかっています。
また、広告業界ではクライアントからの要望に柔軟に対応する必要があり、度重なる修正依頼によって業務の複雑化が一般的で、この高い要求水準は、従業員のストレスレベルを著しく上昇させる要因となっています。
③業務時間が明確に区切られていない
官公庁では朝7時から深夜を超えて働くことも珍しくなく、国会対応や緊急事態への対応など、業務時間を明確に区切ることが困難な状況が存在します。
また、医療や介護の現場でも24時間体制での対応が必要なため、シフト制による不規則な勤務が標準となっています。
そのため、この不規則な勤務体系は、従業員のワークライフバランスに大きな影響を及ぼすでしょう。
④フローの収入がメインになっている
不動産業界や広告業界など、フローの収入が中心となる業界では、常に新規案件を獲得し続けることが求められています。
この収入構造は、営業担当者に継続的な高いプレッシャーを与え、心身の疲弊を引き起こす状況で、特に景気変動の影響を受けやすい業界では、この傾向がより顕著に表れることが指摘されています。
⑤不定期休みや立ち仕事で体力的にキツい
飲食業界やホテル業界では、24時間営業を基本とするシフト制による不規則な勤務形態が一般的となっています。
また、介護業界でも夜勤を含む不規則な勤務と肉体労働による身体的な負担が重なり、従業員の疲労度が高まる傾向にあるため、この業務形態は、従業員の体力的な負担が大きく、長期的なキャリア形成において重要な考慮要素です。
志望業界が「激務」かどうかを確かめる方法

就職活動において、志望業界の実態の把握は極めて重要です。
特に業界の労働環境や業務の特徴を正確に理解すれば、入社後のミスマッチを防げます。
業界の実態を知るための方法として、インターンシップへの参加やOB・OG訪問の実施、口コミサイトの確認が効果的で、これらの方法を組み合わせることで、より正確な情報を得れます。
①インターンシップに参加する
インターンシップは業界の実態を体験できる最も直接的な方法で、実際の業務を体験すれば、その業界特有の忙しさや業務の特徴を肌で感じれます。
特に長期インターンシップでは、日常的な業務の流れや残業の実態まで把握できます。
インターンシップ中は社員の方々の働き方をよく観察し、自分が想像していた働き方と現実のギャップの確認しましょう。
②OB・OG訪問を行う
OB・OG訪問では、業界の実態について説明会では聞けない業界の裏側や、実際の労働時間、業務の大変さについて具体的な情報を得れます。
特に最近の働き方改革による変化や、ワークライフバランスの実態について、現場の生の声を聞けるので、リアルな情報を得られることから、業界研究において非常に重要な手段となっています。
③口コミサイトを確認する
口コミサイトでは、その業界で実際に働いている社員や過去に働いていた方々の声を確認でき、残業時間や休暇の取得状況、職場の雰囲気など、具体的な情報を得ることが可能です。
ただし、個人の主観による情報であることを念頭に置き、複数の口コミの比較検討が重要ですが、最近の投稿を中心に確認すれば、現在の職場環境をより正確に把握できます。
「激務」の業界に就職する場合の注意点

激務な業界への就職を検討する際には、いくつかの重要な注意点があります。
特に長時間労働やストレスの多い環境で働くことになるため、入社前に慎重な検討が必要な上給与面や私生活への影響、将来のキャリア、自分の適性について十分な考慮が重要です。
①激務だからといって給料が高いとは限らない
激務な業界でも、必ずしも給与水準が高いとは限りません。
特に飲食業界やホテル業界では、長時間労働や不規則な勤務があるにもかかわらず、薄利多売のビジネスモデルのため年収が低いことが多くなっています。
さらに営業職では、ノルマの達成率や成果が年収に直結する歩合制を採用している企業も多く、安定した収入を得られない可能性があります。
②友人や家族との時間は想像以上に減る可能性がある
激務な業界では、深夜までの残業や休日出勤が当たり前となっており、プライベートの時間の確保が困難です。
特に映像制作業界では、撮影の予定が入ると土日でも仕事に行かざるを得ず、家族との時間を捻出できないケースが多くなっており、この状況は、家族関係や友人関係に大きな影響を与え、心身の健康を損なう可能性があります。
③年齢を重ねると同じ仕事はできなくなる可能性が高い
体を使う仕事や長時間労働が求められる業界では、年齢を重ねるにつれて体力の衰えを実感する場面が増えてきます。
30代から脳は少しずつ萎縮し始め、60歳ごろには認知機能に影響が出るため、特に危険を伴う作業や複雑な判断が必要な業務では、年齢とともに負担が大きくなっていきます。
このため、長期的なキャリアプランを考える際には、体力面での制約を考慮しましょう。
「激務」な業界が向いている人の特徴

激務な業界で働くためには、特定の資質や能力が求められます。
特に体力面、学習意欲、ストレス耐性の3つが重要な要素で、これらの特徴を持ち合わせている人は、激務な環境でも高いパフォーマンスを発揮できる傾向にあります。
自身の特性を理解し、慎重に業界選択を行いましょう。
①体力に自信がある人
飲食業界やホテル業界では、立ち仕事が多く、体力的な負担が大きいことが特徴です。
また、医療や介護の現場でも24時間体制での対応が必要となり、夜勤を含む不規則な勤務形態が一般的となっており、この環境で働くためには、十分な体力と持久力が必要不可欠です。
②学習意欲があり成長したい人
現代の製造業では、高度な技術や問題解決能力が必要とされ、常に新しいスキルの習得が求められています。
特にIT業界や金融業界では、技術革新のスピードが速く、継続的な学習が必要不可欠です。
③ストレス耐性がある人
職場でのストレスは世界的な健康問題として認識されており、特に若い世代でストレスを感じる割合が高くなっています。
特に激務な業界では、締め切りのプレッシャーや高い要求水準、複数のタスクの同時進行など、様々なストレス要因が存在します。
「激務」な業界への就職についてよくある質問

激務な業界への就職を検討する際には、自身の適性や働き方に関する様々な疑問が生じます。
特に就活生にとって、激務な環境で働くことへの不安は大きな懸念事項となっています。
以下、具体的な質問と回答を確認していきましょう。
①激務な業界への就職をおすすめしない人の特徴は?
ストレス耐性が低く、コミュニケーションにストレスを感じやすい人は、激務な業界での就職を慎重に検討する必要があります。
また、プライベートの時間を重視する人や、体力に不安がある人にとっても、激務な環境での就労は適していません。
特にマルチタスクが苦手な人や、雇用や収入に不安を感じやすい人は、別の選択肢の検討をお勧めします。
②激務でブラックな業界の見分け方は?
みなし残業制の導入や、業界平均と比べて極端に給与が低い企業は注意が必要です。
また、若手社員の離職率が高い企業や、平均年齢が極端に低い企業も、労働環境に課題がある可能性があります。
面接時には残業時間や休暇取得の実態について具体的に質問し、企業の労務管理に対する姿勢の確認をしましょう。
③激務の基準はどこから?
厚生労働省の基準によると、月の時間外労働が100時間を超える場合、または2〜6カ月の平均が80時間を超える場合は、過労死のリスクが高まるとされています。
また、労働基準法では時間外労働の上限を月45時間、年360時間と定めており、これを超える場合は激務と判断できます。
ただし、労働時間だけでなく、精神的なストレスや肉体的な負担も激務かどうかの判断基準ですよ。
激務業界の特徴と対策まとめ!残業時間ランキングから見極めよう

激務な業界への就職を検討する際は、業界ごとの特徴や残業時間、業務内容の十分な理解が重要です。
データによると、コンサルティングや広告、建設業界などは特に残業時間が長く、体力的・精神的な負担も大きいことが分かっています。
就職活動中は、インターンシップやOB・OG訪問を積極的に活用し、実際の職場環境や業務内容について詳しく調査し、自分に合った職場環境を見極めましょう。
激務な環境でも、体力や学習意欲、ストレス耐性など、自分の特性に合っていれば、やりがいのある充実したキャリアを築けます。
自分自身の適性を見極めた上で、長期的なキャリアプランを考え、慎重に業界選択を行ってください。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。