海運業界は、船を利用して物資の輸出入を行う業界です。しかし、どのような仕組みで事業が展開されているのか、どんな職種が必要とされているのかわからず、悩んでしまう方もいるでしょう。
本記事では、業界の特色・業界の仕組み・社員の職種・今後の動向などについて解説します。
有名企業の具体例や、求められるスキルについても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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海運業界とは?まずは概要を理解しよう

海運業界とは、物資を海上で輸送する事業を行う業界を指す言葉です。主な事業内容としては国内外へあらゆる物資の運搬を行ったり、船舶を貸し出したりしています。
特に日本は海に囲まれている島国なので、海路での輸送手段が貿易のほとんどを占めています。海運業界は、日本の物流を支える上で必要不可欠な存在です。
コンテナ船のほかにも、自動車輸送用の船、タンカーなどを扱う機会があります。
海運業界の仕組み

海運業界の仕組みを知れば、どんなシステムで事業を展開しているのか理解しやすくなります。海運業界で展開されている事業は、以下の2つです。
- 物資輸送
- 船舶の賃貸&売買
①物資輸送
物資輸送業では、内航海運と外航海運の2種類の事業を展開しています。
内航海運では長距離間を頻繁に運送していて、外航海運では日本の貿易で発生する運送業のほとんどを担っているのが特徴です。
外航海運は国内と海外との取引が続く以上今後も事業の拡大が見込めます。
国内間の輸送を担当する内航の輸送量は外航よりも少なめですが、重量に距離を掛けて計算する輸送活動量は同等に近いのがポイントです。
②船舶の賃貸&売買
海運業界では運送に必要な船舶を賃貸し、売買する事業も展開しています。
会社で所持している船舶量が足りない時には、船舶の提供会社と契約して数を追加する必要があるのがポイントです。
より少ないコストで船舶を調達できるリースシステムを導入することで、使用していない船舶を提供しながら利益を生み出している会社もあります。
海運業界の市場動向

業界の今後の動向として、近年の市場の活性化が影響し、事業が拡大していくことが予想されています。
市場が活発になった要因には、コロナ禍によってコンテナ運送業の需要が高まったことが挙げられます。
また、将来的に海上職の人手不足が予想されており、人材不足を解決するための迅速な対応が必要です。
内航船員は30代未満の人材も増加しつつありますが、外航を担当する日本人船員数には変化がなく、働き方の改善が求められています。
海運業界の主な職種

海運業界の職種は、海上で業務を進める海上職と、陸上で業務を進める陸上職に分類できます。ここでは、それぞれの職種が担当する業務内容について説明します。
- 海上職
- 陸上職
①海上職
海上職には航海士・機関士・通信士の3つの職種があり、それぞれ役割が異なります。どの職種も海上運送をする上で重要な役割を担っているのが特徴です。
①航海士
航海士は大型船舶への乗船が義務付けられ、操縦業務や運航の指揮を執る業務を担当します。
夜間に船がぶつからないようレーダーなどで周囲の状況を調べるといった業務があり、複数人で交代しながら行っています。
荷物の運搬がスムーズに進むよう、船員に適切な指示を出すことが求められます。変化しつづける状況に柔軟に対応できる能力が必要です。
②機関士
機関士は、船に設置されている機器の管理やメンテナンス、操縦を担当する職種です。
船舶を動かすために重要なエンジンや発電機・プロペラ・ボイラーなどの点検や整備作業を行い、安全な運航をサポートしています。
航海士と比べると船を停めている間の業務量は少なめですが、等級が上がるほど重要な機器を担当することになり責任が大きい職種です。
③通信士

通信士は無線機器などで陸上の施設と連絡を取り、通信機器の整備を担当する仕事です。
以前は通信業務を専門的に行う船員もいましたが、近年は航海士が資格を取ることで、通信士としての役割を兼任することもあります。
海上での通信技術開発が進み、業務内容の専門性が下がったことが主な理由です。
今後は新しい技術を用いた機器にも対応しながら、円滑な連絡を行うことが求められます。
②陸上職
陸上職は、海上での事業を支えるための業務を行います。仕事の内容によって、営業職と事務職に分類が可能です。
①営業
営業職は、貨物の輸送契約を増やすために顧客に掛け合う仕事を行います。
人当たりの良さだけでなく、顧客が海運業に求めている役割を分析し、ニーズに応えられる契約プランを紹介するスキルが重要になる業務です。
直接海上での業務に携わる機会は少ないですが、海上運送の仕組みを理解し、わかりやすく説明することが求められます。
②事務
事務職は、運航予定のデータ管理・運航ルートの計画・入港に必要な手続きの遂行などを担当する職種です。
適切な規模の船が会社にない場合は、船舶を用意するために賃貸業者に掛け合うこともあります。
会社の規模にもよるものの、さまざまな手続きを担当するため他の業界よりも社員数が多い傾向があるのが特徴です。
ミスが発生すると大きな過失につながりやすいため、丁寧に業務を進めることが求められます。
海運業界の主要企業3選

海運業界で活躍している会社について知れば、会社ごとの強みを把握しやすくなるのが利点です。ここでは、3つの会社の事業内容や戦略について紹介します。
- 日本郵船
- 商船三井
- 川崎汽船
①日本郵船
企業名 | 日本郵船株式会社 |
設立年月日 | 1885年9月29日 |
売上高 | 2兆6,160億円 |
事業内容 | ・ライナー事業 ・不定期専用船事業 ・ロジスティクス事業 ・不動産事業 |
取り扱う製品 | 国際航空貨物・一般消費財・自動車・バルク貨物・エネルギー |
日本郵船は運送事業のほかに石油や船舶用の機器の販売事業・客船事業・レストラン事業・不動産事業なども行っている、事業規模が大きい会社です。
今後の戦略としては新興国の市場と共に事業を進め、脱炭素技術による差別化を行うことなどを掲げています。
②商船三井
企業名 | 株式会社商船三井 |
設立年月日 | 1942年12月28日 |
売上高 | 1兆6,119億円 |
事業内容 | ・ドライバルク事業 ・エネルギー事業 ・製品輸送事業 ・ウェルビーイングライフ事業 |
取り扱う製品 | バルク貨物・エネルギー・自動車・タグボートサービス |
商船三井は世界から見ても大規模な船隊を所有していて、海上運送のノウハウを活かし船舶などの解決策を提案するコンサル事業も展開している会社です。
今後の戦略としては、海洋開発会社と提携した事業の展開や、アフリカでの物流事業の本格化などを掲げています。
③川崎汽船

企業名 | 川崎汽船株式会社 |
設立年月日 | 1919年4月5日 |
売上高 | 9,426億円 |
事業内容 | ・海上運送業 ・航空運送業 ・陸上運送業 ・海陸空の通し運送業 ・港湾運送業 |
取り扱う製品 | バルク貨物・自動車・エネルギー・航空貨物 |
川崎汽船株式会社は海上・陸上・航空すべての運送事業を展開し、それぞれを掛け合わせた物流事業を展開しているのが特徴です。
経営計画では、海洋エネルギーの開発事業や風力発電支援事業に注力するほか、インドや中東との長期契約獲得を目指すことを表明しています。
海運業界で求められる人の特徴3選

業界に求められる人の特色をチェックすれば、自身のどんな強みを主張すると好印象につながるか予想を立てやすくなります。求められる姿勢やスキルは、以下の3つです。
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- 責任感
①リーダーシップ
リーダーシップがある人材は、顧客や船長、倉庫事業の会社などさまざまな人との連携を強める役割が期待されています。
運送業では定められた納期までに製品を届けられるよう、多くの会社や社員に働きかける必要があります。
1つの目標に向けてチームをまとめ、自分から積極的に改善案を考えて行動した経験を紹介するのがおすすめです。
②コミュニケーション能力
コミュニケーション能力がある人材は、異なる考えを持つ社員と協力関係を築きながら円滑に業務を進められるため、海運業界でも求められています。
顧客の抱えている課題について親身になって考えるスキルがあれば、最適な解決手段で信頼を得られ、長期の契約も獲得しやすくなります。
自分とは異なる立場にいる人に対して真摯に向き合った経験がある方は、面接で強調して述べましょう。
アルバイト先で先輩や後輩に声をかけ、協力し合った経験などを紹介すると、高評価につながりやすいです。
③責任感

責任感を持って業務を進められる人材は、重要な仕事を最後までしっかりと遂行することが求められる海運業界で非常に必要とされています。
運送に遅れが発生したり、届ける物資の量が足りなかったりすると、受け取り手の事業にも影響してしまいます。
トラブルを未然に防ぐためには丁寧に管理する姿勢が必要です。業務には強い責任感を持って臨まなければいけません。
自分から課題を見つけて改善し、期日までに成果を挙げた経験などを紹介しましょう。
海運業界への理解を深めて選考対策を進めよう
海運業界への理解を深めて、選考対策を万全にしましょう。今後の海運業界は、コンテナ運送業のニーズが高まっていることへの対応や、海上職の減少対策が求められます。
業界で求められるスキルも把握して、自身の強みとの共通点を主張するようにしましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。