教員採用試験の自己PRを作成するにあたり、特に誇れる実績が無く、困っている人は多いのではないでしょうか。しかし、実績だけをアピールする必要はありません。
自己PRを通して学校側が知りたいのは卓越した実績があるかではなく、あなたが教員に適性があるかです。
今回は、教員採用試験の自己PRのポイントや作成方法について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
教員採用試験の自己PRでは自分のありのままを示そう
自己PRの際には、一般的には「自分の特別さ」をアピールする必要があると考えられがちですが、実際には「自分のありのまま」を示すことが大切です。
真摯に自らの経験や努力を伝えることで人間性や教育への情熱は伝わりますし、教育者としての資質は、特技や目立つ実績だけで判断されるものではありません。
生徒との関わりの中での経験や、日々の中での小さな努力が、教員としての質を形成します。気負わず、「今まで教員になるためにどのように努力してきたのか」や、経緯、背景を伝えることが重要です。
教員採用試験の自己PR内容を考えるときのポイント3つ
教員採用試験の自己PRを考えるにあたり重要なポイントは大きく分けて3つあります。
それぞれのポイントを抑えておけば、より質の高い自己PRを作成できるので、一緒に確認していきましょう。
- 以前つまずいたときにどう対処したかを考える
- 大きな実績はなくてもいい
- 教師に関係あるエピソードでなくてもOK
①以前つまずいたときにどう対処したかを考える
教員採用試験の自己PRで、「以前つまずいたときにどう対処したか」というテーマを取り上げることは、問題解決能力や逆境への対応力を示す有効な手段と言えます。
学校が求めるのは、困難や失敗をどのように受け止め、それを乗り越えるためにどのような行動をとったかを知ることです。
たとえば「バイト先で仕事内容が上手く覚えられなかった」「お客様に迷惑をかけてしまった」など、ささいなエピソードでも問題ありません。
重要なのは「どのように自己改善や問題解決に取り組んだか」を明確に伝えることです。
②大きな実績はなくてもいい
教員採用試験の自己PRを考える際、大きな実績が無くとも問題ありません。採用担当の方が最も注目するのは、実績の大きさよりも、あなたの思考プロセスや取り組みの姿勢です。
「大規模なプロジェクトを成功させた」などの大きな実績はもちろん価値がありますが、日常の中で自分が直面した小さな問題をどのように解決してきたのかというエピソードにも意味があります。
たとえば、教育現場での研修や授業の中で生徒に内容が伝わりにくいと感じたとき、アプローチを工夫し、その結果生徒の理解度が向上したというような事例でも問題ありません。
こうした経験は数字で示せる「明確な実績」とは言えませんが、教育者としての柔軟性や創意工夫の能力を示すものです。
③教師に関係あるエピソードでなくてもOK
教員採用試験の自己PRを考える際、必ずしも教師に関係のあるエピソードである必要はありません。
採用担当者が求めるのは、教育経験や専門的な知識だけではなく、候補者の人間性や価値観、対処能力やコミュニケーションスキルなど教育者としての基盤となるような資質です。
例えば、学生時代の海外でのボランティア活動、異なる職種での仕事経験など、教職とは直接関係しないエピソードでも、経験や学びは非常に価値があります。
経験を通じて培った問題解決のスキルや多様な価値観の理解、人々とのコミュニケーション能力は教育現場で生徒たちと関わる上で非常に役立つものなので、積極的にアピールしましょう。
【3ステップ】教員採用試験に向けた自己PRの作成方法
教員採用試験に向けた自己PRを作成するにあたっての重要なポイントは大きく分けて3つあります。
それぞれのステップを抑えておけば、よりスムーズに自己PRを作成できるのはもちろん、質が高く他の志望者と差別化した自己PRを作成できるでしょう。
- アピールしたい強み・長所を結論として最初に主張する
- 主張の根拠となるエピソードを説明する
- 教職でどう活かしていきたいかをアピールする
①アピールしたい強み・長所を結論として最初に主張する
教員採用試験に向けた自己PRの作成方法にあたって、アピールしたい強み・長所を結論として最初に主張することは非常に重要です。
試験官や採用担当の方は、大量の自己PRを読むため、最初の数行での印象が非常に重要です。明確な結論を先に提示することで、読者の注意を引きつけられます。
自己PRの目的は、「自分の強みや資質を伝えること」です。メッセージを最初に明確にすることで、その後のエピソードや詳細が強みを裏付ける証拠として受け取られやすくなります。
②主張の根拠となるエピソードを説明する
教員採用試験に向けた自己PRの作成にあたり、主張の根拠となるエピソードを説明することは非常に重要です。
ただ自分の強みや資質を述べるだけではなく、根拠となる実際の経験やエピソードを共有することで信頼性が増し、読み手も具体的なイメージが持ちやすくなります。
「困ったことがあったけれど、創意工夫をし、解決できた」といったエピソードを通して、自分の強みをアピールしていきましょう。
③教職でどう活かしていきたいかをアピールする
これまでの経験を教職でどう活かしていきたいかをアピールすることも重要です。過去の経験やエピソードは大切ですが、それを基に「経験をどう活用し、何を実現したいか」という記述もしましょう。
学校教員になった際には経験を活かし、現場でどのように活躍できると考えているのかを伝えることが大切です。
また、近年はワークライフバランスを重視する学生が多く、時期によっては残業が多い傾向にある教員は「滑り止め」として受験されることもあり、採用担当の方は確実に就職してくれる人材を求めています。
したがって、教員として働くにあたっての具体的な展望を述べることで自己PRの内容に信頼性を与えましょう。将来の展望を述べたからといって、必ず教員になる必要も無いので、ひとまずは自己PRに含めておきましょう。
教員採用試験の自己PR例文3つ
教員採用試験の自己PRを執筆するにあたってのポイントを抑えたところで、ここからは実際に例文を見ていきましょう。
例文の通りに作成する必要はありませんが、表現や言い回しなど、参考にできるものは自分のものにし、引き出しを増やしてくださいね。
例文①アルバイト
私の一番の強みは相手の立場に立ちながら効果的なサポートができることです。 大学時代、接客業のアルバイトをしていた際、常連のお客様からの要望に応じ、店舗のメニューをリニューアルした結果、月間の売り上げが20%向上したこともあります。 また、アレルギーをお持ちのお客様の対応をした際には、食材に関して質問を多くいただいたため、全てのメニューにアレルゲン情報を明記することを提案し、実施させることができました。「安心して食事ができるようになった」と常連の方にも喜んでいただき、一人ひとりのニーズに答えつつ、創意工夫をして業務に取り組むことの大切さを知った出来事となりました。 この経験から、何事にも対話的な姿勢で、真摯に応えることの大切さを学びました。教職においても生徒一人ひとりを理解し、それぞれに合わせた教育を提供することを心掛けて参ります。 |
接客業での経験を通じて得た強みを提示し、次に根拠となる具体的な成功エピソードを提供し、経験や学びを教職でどのように活かすのかを明確に述べることで強くアピールしています。
例文②サークル
私の強みは、多様な意見をまとめ上げ、1つの目標に導くリーダーシップです。この強みは、大学で所属していた文化サークルにおいて、年間の展示会の企画・運営を担当した経験から培いました。 当初はメンバー間の意見が一致せず、全く先が見えなかったため、各メンバーと個別にミーティングを重ね、それぞれの意見や強みを尊重しながら共通のビジョンを目指すことに取り組みました。 結果として、過去最高の来場者数を記録する成功を収め、コミュニケーションの重要性を学び、リーダーシップ身につけられたと感じております。 この経験を教員としての役割に活かし、クラス全体を1つの方向に導いていくための取り組みを進めていく所存です。 |
初めにリーダーシップを自身の強みとしてアピールし、次にその強みがどのような状況下で形成されたかを具体的なサークルのエピソードを用いて説明しています。
最後に経験や学びを教育現場でどう活かすかを具体的に示すことで、自身の能力とその背景、そして教育への取り組みの具体的な方法を効果的に伝えられます。
例文③ボランティア活動
私の強みは、異なる背景を持つ人々と積極的にコミュニケーションを取れることです。 大学時代、災害復興支援のボランティア活動に参加した際に被災地の方々と共に活動しました。当初は、地域の方々との交流が難しく、自分の対話の方法を何度も顧みました。そして、相手の話を真摯に聞き、共感を示すことを心がけることで、次第に信頼関係を築けるようになり、今でも良い経験として私の中に息づいています。 この経験から、深い理解と共感の力で、どんな困難な状況でも人々との関係を築くことの大切さを学びました。 以上のコミュニケーションスキルを教育現場に活かし、生徒や保護者との信頼関係の構築を重視しながら、より良い教育環境を築いていきたいと考えています。 |
コミュニケーション能力を強みとして提示した後、ボランティア活動を通じての具体的な経験をエピソードとして提供しています。
また、その経験をどのように教育現場に活かしていくかを明示することで、自身の価値観と将来の展望を強調できるのもポイントです。
教員採用試験の自己PRを考えるときの注意点3つ
教員採用試験の自己PRを考えるにあたり、注意点は大きく分けて3つあります。
良い印象を与えることに注力しすぎず、マイナスイメージを避けるための要点も抑えておくことで、より死角の無い、質の高い自己PRを作成できるでしょう。
- 嘘をつくのは絶対にNG
- 今の自分と比べて昔すぎるエピソードは避ける
- 1分以内でまとめられるよう調整する
①嘘をつくのは絶対にNG
自己PRにおいて大きな実績を強調するために事実を歪曲したり、存在しない経験を盛り込んでしまい、嘘が発覚すると、それ以前の実績や能力も疑われる可能性があります。
また、実際の経験がないことや事実を歪曲して述べると、面接時の質問や深堀りに対する答えが曖昧になるため、採用担当の方に疑念を抱かれる可能性もあるでしょう。
また、教員採用試験本番ともなると、誰もが緊張します。そんな時に嘘などついてしまおうものなら、顔の表情や声の調子、視線の動きなどが露骨に不自然になる人も多いので、注意が必要です。
②今の自分と比べて昔すぎるエピソードは避ける
採用試験の自己PRで伝えるべきは、どのような価値観やスキル、経験を持っているか・どのような教員として活躍できるかです。
よって、過去のエピソードを取り上げる際には、そのエピソードが現在の自分の考え方・スタイルにどう影響しているかを明確にすることが重要だと言えます。
高校時代や中学時代などのエピソードで、現在の人格形成にはあまり影響を与えていないことを自己PRで話すのはおすすめできません。
可能ならば、大学時代や最近の職場経験など、近い時期のエピソードがどのように現在の自分の資質や考え方に影響を与えているかを述べましょう。
③1分以内でまとめられるよう調整する
採用試験や面接の場面では時間が限られており、短い時間内で自己の魅力や適性を効果的に伝えることが求められます。
およそ1分以内という制約の中で、最も重要なポイントや自分の魅力を簡潔に、アピールしなければならないので、余計な情報や詳細は避け、聞き手の興味を引く核心を伝えることを心掛けましょう。
実際に自己PRの文章を読み上げる時間や、自分の話すスピードを把握するために、何度も話す練習をし、録音して時間を計ることも非常に有効です。
特に緊張して話すスピードが変わる可能性を考慮し、自分の落ち着いたペースで伝えられる内容を調整するようにしましょう。
教員採用試験の自己PRには派手なエピソードは必要ない
今回は教員採用試験の自己PRを作成するにあたってのポイントや注意点などを解説するとともに、派手なエピソードが必ずしも必要ではない理由についても解説しました。
教員採用試験は長年教員を目指してきた人には特に緊張する試験ですが、緊張しない人は居ません。しっかりと対策すれば怖いものは無いので、本記事を参考に対策し、自信を持って望んでください。
この記事を書いた人
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。