就職活動で分析力をアピールするにはどうすればいいのか、悩んでいる就活生はたくさんいるのではないでしょうか。効果的にアピールするためにも、注意点を知っておくことが大切です。
そこで、本記事では自己PRで分析力を伝えるための効果的な方法や例文を紹介します。ぜひ、今後の就活対策の参考にしてくださいね。
分析力とは?自己PRの時に重要な言葉の定義
そもそも分析力とは、抽出した課題や問題点を解決する際に、アイデアを得るために物事を調査して要素を整理する力のことです。ビジネスでの方針決定は、分析プロセスを経ており、行き当たりばったりではありません。
目的に向かって仮説を立てて、要素を掘り下げることは、仕事を進める際に必須なのです。したがって、データ分析・統計分析・マーケティング分析を代表として、幅広い局面で分析力が必要とされています。
仕事で成果を出すためには分析が重要なので、どんな職種でも求められる能力だと言えるでしょう。
ただし、分析力は抽象的な表現なため、あなたが強みを発揮できるポイントを深掘りして、エピソードを使って自分らしい分析力を伝えることが大切です。
企業が求めている分析力の種類

企業側は具体的に就活生にどのような分析力を求めているのでしょうか?企業が必要とする分析力の種類は以下の3つです。
①物事の原因特定と改善のための行動ができる
社会人になると、状況や課題を把握しながら改善できる箇所を特定して、情報を集め終えたら問題解決に取り組むことが大切です。分析力が高い人材なら、収集した情報を整理して、現実的で効果的な方法を見つけ出せるでしょう。
最近はビッグデータの分析結果に基づいて、新たなビジネスや仕組みを生み出す事例も増えてきています。幅広い視野を持って情報を分析しながら、積極的に行動できる人材は活躍が期待されるでしょう。
②論理的な思考で考えられる
人間は感情の生き物と言われるほど、物事を主観的に考えてしまいます。したがって、判断に影響されやすい感情を排除しなければ、的確な決断を下せないときも中にはあるでしょう。
仕事でも本当に重要な場面では、感情だけで簡単に決定してはいけません。
分析思考の資質がある人材は、客観的なデータを最優先にして考えられるので、的確な判断のためにデータに基づいた論理的な思考ができることは、仕事を進めるために大切なのです。
③データから必要な情報を理解できる
社会人になると得られたデータを読み解いて、今起きている状況を理解できる力が必要となります。まず現状を理解しないと、自分が取るべき行動が何か判断できないためです。
状況によっては得られたデータだけでも足りません。例えば、時間ごとや商品ごとのデータを確認すれば、もっと多くの情報が得られるので、情報を読み解く力は重要と言えます。
具体的には、顧客のニーズを分析する必要があるアパレル業界のバイヤーなら、データから必要な情報を理解できる力がとくに求められるでしょう。
分析力の自己PRが高評価になりやすい職種例
分析力は、データを読み解き、問題解決につなげる重要なスキルとして、多くの企業から注目されています。
特に以下の職種では、分析力の自己PRが採用担当者から高い評価を得やすいです。
①マーケティング職
分析力がある人はマーケティング職に非常に向いています。
マーケティング職は常に数字を見て分析し、その分析をもとに改善して効果を検証するPDCAサイクルを回す必要があるためです。
具体的には、市場のトレンドや競合他社の分析、顧客のニーズ把握、販売データの分析などが日常的な業務となります。
データに基づいて市場を正確に把握し、効果的なマーケティング施策を提案・実行できる人材は、企業から高い評価を得ることが可能です。
②研究開発職
研究開発職は、分析力が最も重要視される職種の一つです。
製品開発や技術革新において、市場ニーズの分析、実験データの解析、競合他社の製品分析など、あらゆる場面で高度な分析力が必要とされます。
特に、研究過程での仮説検証や実験結果の考察には、論理的思考に基づいた緻密な分析が不可欠になります。
研究開発職では、分析力を基に新しい価値の創造が求められているのです。
③エンジニア職
エンジニア職では、システム開発やプログラミングにおいて、要件定義から設計、実装、テストまでの各工程で高い分析力が必要不可欠です。
特に、クライアントのニーズを的確に理解し、最適なシステム設計を行うためには、複雑な要件を論理的に分解・整理する力が求められるでしょう。
また、膨大なログデータやエラー情報から原因を特定し、効率的な解決策を導き出す分析力も重要です。
エンジニア職における分析力は、プロジェクトの成否を左右する重要なスキルとして高く評価されます。
④コンサルティング職
コンサルティング職もまた、分析力を活かせる職種の一つです。
クライアント企業が抱える経営課題や事業戦略の問題点を的確に分析し、最適な解決策を提案することが主な役割だからです。
また、業界・企業によって異なる状況に応じて柔軟に対応できる応用力も求められるでしょう。
分析力を活かして、クライアントの真の課題を発見し、データに基づいた説得力のある提案ができる人材が高く評価されます。
自己PRで分析力をアピールする際の方法3ステップ

自己PRは以下の3つのステップを意識して作ることが大切です。あなたの強みを上手に伝えるためにも、必要な要素を取り入れて分かりやすい構成を心がけてくださいね。
①自分なりに分析力を具体的に定義する
分析力の意味は抽象的なので、「あなたらしい分析力」を伝えることが重要です。したがって、自身の能力が発揮できるポイントは何か考えて、具体的な言葉に落とし込んでくださいね。
自己PRの書き出しには、強みやこだわりを書きましょう。ここで分析力を具体的に定義しておけば、採用担当者も応募者の強みをイメージしやすくなります。
②分析力の根拠となるエピソードを伝える
続いて、実際に分析力を活かして解決したエピソードを説明しましょう。数字や固有名詞も盛り込めば、相手にもイメージが伝わりやすいです。
面接官から不自然な点や細かい部分を確認される可能性もあるため、エピソードが思いつかなくて、フィクションに逃げるのはリスクがありますよ。
③入社後にどのように仕事で活かせるかを伝える
最後に、あなたの能力を仕事にどのように活かせるのか述べましょう。
インターンシップやアルバイトで成果を上げた経験のある人なら、活かし方が伝わりやすいですが、それ以外ならこれから成し遂げたいことをアピールする必要があります。
採用後にどう活躍したいか意思を示すことで、面接官の期待も高まるため、志望企業で働く意欲がアピールできる言葉で締めくくってくださいね。
自己PRで分析力をアピールする際の2つのポイント

あなたの強みを効果的にアピールするためには、伝え方に工夫が必要です。以下の2つのポイントをチェックしておきましょう。
①分析の効果を数字を用いて伝える
分析によって得られた成果は、数字で示しましょう。例えば、「レストランのアルバイトの離職率が30%減少」のように、実際の成果に数字を盛り込んでくださいね。
とくにアルバイトやインターンシップで成果を上げたのなら、数字で伝えると効果的です。
自己PRは自慢ではないので、数字を使わず自信満々に良い結果だと伝えても、自己評価が高すぎるだけだと判断されて、印象が悪くなるかもしれませんよ。
②分析対象を分かりやすく伝える
アピール内容を分かりやすく伝えるためには、分析する際の目的を述べることが重要です。
具体的には、「売上アップ」「学業で良い成績を取りたい」「試合に勝ちたい」のような目的を設定すると対象が明確になるため、エピソードの説得力が増します。
どのように情報を集めて、どう解析し、どんな解決策に至ったのか、具体的に言及して、目的達成のためのプロセスを話せるように心がけてくださいね。
自己PRで分析力をアピールする際の例文3選

ここで、分析力を強みに用いた好印象が与えられる例文を3つ紹介します。自分の経験や強みと重ねながら、自己PR作成の参考にしてくださいね。
例文①: サークル活動
サークル活動
私の強みは、問題解決のために積極的に取り組んで分析できることです。
私が所属していたサークルがイベントに参加した際に、準備段階で手違いが起きてイベントが大失敗して赤字とりました。このような失敗は、実は以前からイベントのたびに、トラブルが起きていたそうです。
そこで私は、何が問題だったのかメンバーと話し合い、本質的な原因は事前チェックをしていない点だと判断して、再発防止に努めたところ、それから現在までトラブルは起きていません。
この経験を活かして、貴社でも積極的に仕事に取り組むとともに、現状課題を分析して問題点を洗い出し、解決につなげたいと思っております。
サークルで生じた問題を分析した例文です。具体的な問題点を分析して、解決策を導き出しています。
例文②: アルバイト
アルバイト
私の強みは目の前の課題を分析して、臨機応変に対応できるところです。
私が大学時代にしていたアルバイトは、携帯電話会社の受付です。私の店舗では高齢者のお客様が多いため、柔軟で臨機応変な対応が求められていました。
ときには、初めて携帯電話を契約するお年寄りも来店することもあり、1件あたりの対応時間が長く、成約率も低いため、他の業務を圧迫していました。
そこで私は、高齢者専用の窓口を設けて、高齢者向けの販促冊子を作ることを店長に提案しました。結果的に、来店したお年寄りのお客様から分かりやすい説明だったと言っていただき、成約率も向上しました。
このように現状を分析して解決のために働きかけた経験は、入社後にも仕事を進める上で役立つと考えております。
情報を集めることで問題点を把握して、改善のために提案できたと述べられています。仕事での成功エピソードは、入社後に活躍する姿をイメージしやすいです。
アルバイト経験を自己PRで活かす方法の詳細は、以下の記事で解説しています。
例文③: 長期インターン
長期インターン
私の強みは、現場で磨いた実践的な分析力です。
私は通信販売業界の企業で、長期インターンシップを経験しました。主な業務は、広告やランディングページのパフォーマンスの分析と広告の改善です。
まず、多数ある広告の中から、成績の良い広告の傾向を発見し、自分なりに立てた仮説を検証するデータ分析方法を確立しました。その他にも、広告やランディングページの両方を改善したところ、前年比で125%の成約を達成できました。
インターンシップで身に着けたデータ分析力は、まだ基礎的なものですが、仮説を立てて実行し、結果を分析してプランを改善した経験を活かして、貴社のお役に立ちたいです。
長期インターンによって、実践的な分析力を身に着けたとアピールされています。インターンで直面した課題に対する分析力は、入社後にも再現性がありそうだと思われるでしょう。
自己PRで分析力をアピールする際に注意すべき2つのこと

自己PRのアピールポイントで分析力を使う場合には注意点があります。悪い印象を与えないためにも、以下の2つに注意しましょう。
①専門的な言葉は避ける
エピソードを語る際には、過度な横文字や専門用語はNGです。専門用語を多用すると、読み手が内容を理解できず、「配慮に欠けている」と悪い評価につながる可能性があります。
とくに異業界に応募した場合には、以前の業界で使っていた専門用語を使いすぎないように注意しましょう。
専門用語を使用しないか、業界以外の人にも伝わる一般的な言葉に置き換えてください。括弧書きで説明を添えるのも方法の1つです。
②自己PRと面接時の態度が矛盾しないようにする
分析力がある人材は企業側にも魅力的ですが、実力が伴っていないとバレやすい強みです。
分析力のある人は論理的思考が備わっているので、感情や憶測では話しません。そのため、もし面接で質問された際に的確な返答ができないと、「本当に分析力があるのか?」と疑われてしまうでしょう。
したがって、面接までにそれ相応の能力を身に着けておく必要があり、面接中にもロジカルな話し方を心がけてくださいね。
分析力の自己PRについてよくある質問
分析力は企業が重視する能力の一つですが、自己PRで上手く表現できずに悩む就活生は少なくありません。
ここでは、分析力に関する自己PRでよくある疑問や不安を解消し、効果的なアピール方法をQ&A形式で解説していきます。
①分析力の言い換え表現は何がある?
分析力の言い換え表現は、大きく以下の3つのカテゴリーに分類できます。
1. 思考力に関する表現
言い換え表現 | 説明 |
---|---|
論理的思考力 | 論理的に物事を考える力 |
クリティカルシンキング | 批判的に考える力 |
広い視野 | 多角的に物事を考える力 |
2. 問題解決に関する表現
言い換え表現 | 説明 |
---|---|
洞察力 | 物事の本質を見抜く力 |
要領の良さ | 効率的に物事を進める能力 |
課題発見力 | 新たな課題を見つけ出す力 |
問題を要素に分解して考える能力 | 問題を細分化して考える力 |
3. 情報処理に関する表現
言い換え表現 | 説明 |
---|---|
観察力 | 的確に情報収集・客観視する能力 |
データ活用力 | データを効果的に利用する能力 |
情報収集力 | 必要な情報を集める能力 |
なお、言い換え表現を使用する際は、単に言葉を置き換えるだけでなく、具体的なエピソードと組み合わせるとより説得力のある自己PRを作れます。
②分析力が高い人の特徴は?
分析力が高い人には、以下のような主要な特徴があります。
特徴 | 説明 |
---|---|
論理的思考力が高い | 物事を掘り下げて因果関係を明確にする能力 |
データや事実を重視する | 感情や直感よりも具体的な根拠を重視する |
複雑な問題を分解できる | 問題を小さな要素に分解し、全体像を把握する能力 |
批判的思考ができる | 提示された情報を多角的に検討し、疑問を持つ能力 |
客観性を保つ能力がある | 感情に流されず、事実やデータに基づいて判断する能力 |
上記の特徴は、ビジネスの現場で重要視される能力であり、多くの企業が求める人材像と合致します。
③分析力と課題解決力は何が違う?
分析力は、データや状況を客観的に観察し、その本質や原因を理解する能力である一方、課題解決力は、見つけた問題に対して具体的な解決策を立案し、実行する能力を指します。
たとえば、売上が低下している状況で、分析力は「なぜ売上が下がっているのか」を数値やデータから読み解き、要因を特定する力です。
課題解決力は、その分析結果を踏まえて「では、どうすれば売上を回復できるか」の具体的な施策を考え、実行する力になります。
つまり、分析力は問題の「診断」を行うスキルであり、課題解決力は「治療」を行うスキルといえます。
自己PRでは分析力を自分なりに定義して効果的にアピールしよう
今回は自己PRで分析力をアピールできる効果的な方法を解説しました。
分析力が高い人材は、正しく現在の状況を分析して今後を予測できるため、企業にも高く評価されやすいです。本記事を参考にして、しっかり事前準備をして就活に臨んでくださいね。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。