ガス業界は昔ながらの大手企業が7割のシェアを保有する寡占市場ながらも、自由化や脱炭素のうねりによって様々なチャンスができ始めている業界です。
ガス業界で働きたい方に向けて、業界を取り巻く業界や大手企業の特徴についてまとめました。
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ガス業界とは

ガス業界とは、電気・水道と並ぶインフラ業界の1つです。ガスの製造・備蓄装置に貯蔵、各家庭や法人企業・工場などに供給しています。
ガス業界は2017年に都市ガスの小売りが全面自由化されたことを皮切りに変化が訪れています。特に2022年には都市ガス大手3社(東京ガス・大阪ガス・東邦ガス)の導管部門が別会社に分離されました。
ガスの製造・小売り・管理を1つの会社が兼業することができなくなり、新規参入のハードルが低くなったことから、今後ガス自由化の流れが拡大し、競争も激しくなっていくことが予想されています。
ガス業界の現状と動向4つ

ガス業界への就職を検討している方に向け、近年起きているガス業界の変化や動向に関して解説していきます。
前述のとおり、ガス業界は大手業者が導管部門を別会社にするなど、業界構造に大きな変化が起きています。1つずつ確認していきましょう。
- ガス業界の売上推移
- ガスの全面自由化により競争激化
- ガス業界のM&A化
- 脱炭素社会に向けた取り組み
①ガス業界の売上推移
経済産業省資源エネルギー庁によれば、2023年4月度のガス生産量・購入量は前年同月比11.6%減の1,594億39百万メガジュールでした。販売量は同13.1%の減少です。
供給面では減少してますが、メーカー取り付け数は前年同月比0.7%の増加と需要家の動向はプラスに推移しています。
出展元:ガス事業生産動態統計の概況(令和5年4月分の概況)|経済産業省資源エネルギー庁
②ガスの全面自由化により競争激化
1995年に大規模工場・1999年に大規模商業施設等と少しずつ自由化が進んできたガス業界。ついに2017年4月以降、各家庭向け都市ガスの自由化が始まり、完全な自由化が達成されました。
それ以前は各地域によって決められたガス会社しか契約できませんでしたが、これにより各家庭ごとにサービスや料金の違いを比較検討し、自由にガス会社を選ぶことができるようになります。
よって、新しい会社がガス業界に参入し安くなりました。小売り電気事業者の登録数は、完全自由化前の2016年4月時点で291業者でしたが、2021年12月時点で732業者とその数を倍以上に増やしています。すでに競争は激しくなっているのです。
出展元:電力・ガス小売全面自由化の進捗状況について|経済産業省
③ガス業界のM&A化
異業種によるガス会社の買収や業界内での合併吸収といったM&Aも増えてきています。これは前述のガス業界の自由化による圧力に加え、オール電化等によるLPガス(家庭用プロパンガス)業界の市場縮小や人手不足(後継者・配送ドライバーなど)が原因です。
例えば、LPガス直販などの事業を行う大丸エナウィン株式会社は、滋賀県で地域密着の営業を行うLP販売・住宅リフォーム会社である株式会社クサネンを買収しました。これにより地域に寄り添った営業ノウハウと戦略的な事業エリア拡大を図っているのです。
業界内でのM&Aによってノウハウの統合・人材不足の解消を狙ったり、異業種でのM&Aにより販売網の強化・収益事業の強化やガス事業との相乗効果を狙ったりなど、M&Aには多くのメリットがあるのです。
出展元:株式会社クサネンの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ|大丸エナウィン株式会社
④脱炭素社会に向けた取り組み
京都議定書による温室効果ガス排出削減の取り組みに始まり、2050年脱炭素化社会の実現へ向け、日本だけでなく世界中で脱炭素化社会の実現に向け、様々な取り組みが実施されています。
ガス業界においては、2021年に日本ガス協会が「カーボンニュートラルチャレンジ 2050」アクションプランの策定などを行いました。
東京ガスなど個別の業者でも、メタネーションの導入やガスコージェネレーションシステムの導入など、化石燃料の使用を少しづつ減らしながら、地球に優しいクリーンエネルギーに転換していく動きを強めているのです。
出展:「カーボンニュートラルチャレンジ 2050」アクションプランの策定および「カーボンニュートラル委員会」の設置について |一般社団法人日本ガス協会
【ガス業界】5つの仕事内容

ガス業界で働きたい・興味がある方たちに向けて、ガス業界特有の職種・仕事内容について紹介していきます。
ガス業界は人々の生活に欠かすことができない業界です。仕事内容に触れてイメージを膨らませましょう。
- 原料調達
- 生産
- 営業
- 技術開発
- 管理・企画
①原料調達
ガスを安心・安全・安定的に利用するためには、原材料である石油や天然ガスを安定して調達する必要があります。原料調達は、これらの原材料を安定して調達し続けるための仕事です。
ガス会社には大きく分けてLPガスと都市ガスの2つに分類でき、それぞれで調達してくる原材料も異なります。
例えば都市ガスの場合、メタンを主成分としたLNG(液化天然ガス)を原材料としており、その大半は海外からの輸入に頼っている状況です。このため、都市ガスの原料調達で働く場合、外国語での交渉や為替動向の知識が求められる可能性もあります。
各ガス会社によって輸入先や輸入する原料は異なり、それによって求められるスキルも異なってきますので、検討している方は事前にリサーチしておきましょう。
②生産
原料を輸入したら、安全に輸送・供給ができるようにガスを生産していきます。
ガスの生産には様々な設備が必要となり、安全に供給していくための管理が必要不可欠。生産で働く場合、こうした専門知識を習得している必要があります。
この他、同じ生産で働くにしても、LPガスか都市ガスかで勤務する地域が変わる場合があります。都市ガスは導管でガスを送るため都市部でモニターする必要がありますが、LPガスはボンベで運送するため地方での勤務が多くなるのです。
③営業

ガス会社の営業は家庭向けのガス機器・サービスの提案営業と、企業や団体に向けたシステム・サービスを提案する営業の2つがあります。
これはガス業界に限らずですが、営業部のノルマはどこの会社にも必ず存在します。
ガス業界の特殊性としては、特に家庭向けだと想像しやすいでしょう。ガスの新規契約は、引っ越しなど一定のタイミング以外ではあまり機会がありませんよね。
また、料金滞納者への対応も営業が行うことがあるため、ガス営業はキツイという声もあります。
④技術開発
ガス業界では、現場で使われる機器やシステム開発も行っています。例えばガスの漏洩を検知するセンサーや、大型施設を効率的に整備点検するためのウェアラブルデバイス・ロボットの開発などがイメージしやすいです。
自分自身の専門性と会社が目指すビジョンが合致していれば、より働き甲斐や評価を得られたりする可能性がある反面、環境に恵まれないときつくなる可能性も。事前のリサーチと自己分析を十分に行っておきましょう。
⑤管理・企画

ガスの管理・企画の仕事も多岐にわたります。具体的には新しいガス商品の企画・新しい提携先の開拓といったマーケティング・営業にかかわるものから、経理・財務といった経営にかかわるものまで様々です。
ガスの自由化などの圧力により変革が迫られている今、チャレンジ精神を持った企画やより堅実な財務体質の構築はどの電力会社でも急務です。
専門性やアイデアを持っている人は面白く仕事ができるでしょう。
【ガス業界】3つの主要企業

ガス業界で働くことを検討している方に向け、国内での大手ガス会社3社について特徴を紹介していきます。
- 東京ガス
- 大阪ガス
- 東邦ガス
①東京ガス
東京ガスは売上高2,154,8億円、都市ガスの国内販売シェア1位(34%)・小売電力販売件数新電力No.1(300万件)と名実ともにガス業界国内No.1の企業です。
そんな東京ガスのは平均年収は約696万円。国内の正規雇用者の平均年収は約495万円なので、平均より1.5倍近い年収となっています。
特徴は何といっても手厚い福利厚生です。賞与は平均5.5ヶ月分、毎年月1万円づつアップする年次昇給などが整備されています。
出展:
はやわかり東京ガス|東京ガス
令和2年分 民間給与実態統計調査|国税庁
②大阪ガス
大阪ガスは売上高1,591,1億円、東京ガスについて国内ガス販売No.2の実力ある大手企業です。
平均年収は約659万円と東京ガスよりは低く見えますが、大阪ガス新卒内定者へのインタビューによれば、大手企業のイメージとは異なったチャレンジングな社風や風通しの良さを感じる先輩社員の雰囲気など、働きやすさに関する良い口コミが多数見つかりました。
出展:
ガス事業の現状|経済産業省
内定者が語る大阪ガス|Daigasグループ新卒採用情報
③東邦ガス
東邦ガスは売上高515,3億円。国内No.3の売上高を誇るガス業界の大手企業です。
平均年収569万円と、1位の東京ガス・2位の大阪ガスと比べ100万円近く開きがあります。しかし福利厚生などの面は負けていません。
フレックスタイム制・在宅勤務・サテライトオフィス・社員食堂の整備など、社員の働きやすさのための制度を充実させているほか、妊婦時短・育休制度などライフイベントに合わせた福利厚生制度を充実させています。
ガス業界が求める2つの人物像

これまで紹介してきたように、ガス業界には様々な仕事があり、ガス会社によって得意分野や特徴が異なります。ここからは、ガス業界で働くにあたり求められる人物像について解説していきます。
- チャレンジ精神がある人
- 社会貢献を意識できる人
①チャレンジ精神がある人
ガス業界は自由化・脱炭素化・代替エネルギーの台頭など様々な外圧にさらされています。今No.1の地位にいるとしても、その地位に甘んじていては生き残りが難しい業界です。
このため現状打破ができる、チャレンジ精神旺盛な人物が求められています。
②社会貢献を意識できる人
ガスは私たちの生活に欠かすことができない大切なエネルギー産業です。また、温室効果ガスを起因とした地球温暖化といった環境問題にも大きく関係する業界でもあります。
これらの社会問題に強い関心を持ち、社会貢献のために働きたいという意欲を持った人物が求められています。
ガス業界への理解を深めて就活に役立てよう

ガス業界は変革期にありチャレンジ精神が求められていますが、同時に高度な専門知識と社会貢献への意欲も重要視される業界です。ガス業界を取り巻く状況をしっかりと把握し、自分の持っている知識や経験を活かせる方法を見つけて就職活動を有利に進めましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。