「学生時代に最も専念したことは何ですか?」と聞かれて、あなたは正しく伝えられますか?エントリーシートや面接では、避けては通れない代表的な質問の一つです。
本記事では「学生時代に打ち込んだこと」を企業が聞く理由から、見つけ方や伝え方まで解説します。ぜひ、今後の参考にしてくださいね。
「学生自体に最も打ち込んだこと」を聞く面接官はここを見ている!
面接官から「学生時代に最も打ち込んだこと(ガクチカ)」について聞かれたとき、一体どんなところを評価されているんだろう……と不安になる人も多いですよね。
そこで今回、カリクルメディアではこれまで累計5000人以上の学生と面談をしてきたトップ就活エージェントや、最終面接の担当経験もある面接官など、就活のプロ11人にアンケートを実施!
「学生時代に最も打ち込んだこと(ガクチカ)」を聞くとき、特に重要視しているポイントを尋ねました!

アンケート結果を見ると、ただ漠然と「頑張った」ではなく、きちんと目的をもって取り組み、具体的にその経験を何に活かしたのかを重要視している人が多いようですね。
しかし、今回のアンケートで集まった意見はばらつきも大きく、面接官によって見ている部分が大きく異なることが分かりました。
上記の意見の他にも、「課題に対して真剣に向き合えるか」「経験そのものの内容とそのとき本人が何を思ったか」などの意見も。ガクチカに関してはきちんと深掘りし、どんな観点で評価されても安心なように対策しておきましょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」は実績や特別な経験がなくてもOK
就活生の多くは「学生時代に打ち込んだこと」を聞かれると、華々しい実績や特別な経験が必要だと思い込みがちです。
しかし実際には、それらは必須ではありません。
1. 実績がすごいかどうかを企業はみていない
企業は、実績の大きさや特別な経験の有無よりも、その過程での取り組み方や成長を重視します。
部活動で全国大会に出場したり、資格試験で高得点を取得したりといった華々しい成果がなくても、物事に真摯に向き合い、工夫を重ねながら努力を続けた経験があれば十分アピールになります。
2. 打ち込んだことの種類も企業は重要視していない
企業の採用担当者が重視するのは、応募者が何に打ち込んだかではなく、その経験を通じて得られた成長や学びです。
部活動・アルバイト・趣味でも、その活動に真摯に向き合い、努力を重ねた経験は十分アピールになります。
「学生時代に最も打ち込んだこと」を企業が聞く3つの理由

なぜ面接官は、「学生時代に打ち込んできたこと」を聞くのでしょうか?
その理由には以下の3つが挙げられます。基本的には自己PRと同じですが、それぞれに関して説明します。
- 就活生のこれまでの取り組みが知りたい
- 就活生の人柄が知りたい
- 課題や困難をどう乗り越える人なのか知りたい
①就活生のこれまでの取り組みが知りたい
企業は面接を通じて会社に貢献できる人材を探しており、優秀な人材を選んで確保しています。
現段階のスキルを知りたいため、就活生が今までに何に専念して、どんな成果を出したか明らかにすれば、求めている人物なのか判断できるでしょう。
就活生のこれまでの取り組み方のエピソード次第で、入社後に課題に直面した場合に、どのように解決していくのかも予想できます。
②就活生の人柄が知りたい
企業は社風に合っている人材を欲しがっているため、打ち込んだ内容自体よりも、取り組み方によって人柄を知ろうとしています。
内容は自由なので、学生の人柄が伝わるオリジナリティ溢れる回答を、面接官は期待しているはずです。
もし他の人と同じ題材になったとしても、自分なりの考えや行動が盛り込まれていれば問題ありません。自分らしさが伝わるように内容を工夫してみましょう。
③課題や困難をどう乗り越える人なのか知りたい
入社後に働き始めると、必ず困難な状況がやってきます。そのときにすぐ諦めずに、立ち向かって解決に導く力のある人材を、企業側は求めています。
学生時代に困難や課題をどう乗り越えたか知りたいため、これまでに打ち込んだことを質問しています。
このような問題解決能力は、企業が重要視している能力の一つです。戦略を立てて、工夫できる学生ほど、企業の将来を明るく照らしてくれるはずだと考えているでしょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」の見つけ方

学生時代と言われても、小学校から大学までの15年以上もあるので、見つけるのは大変ですよね。
次の3つを意識して、学生時代を思い出してみましょう。将来の自分のキャリアや方向性を見出すためにも、学生時代に打ち込んだことを選ぶのは大切ですよ。
- 大学生活で自分が長く続けていたものを探す
- 何に最も時間を割いてきたのかを探す
- 短期間でも、一生懸命になったことを探す
①大学生活で自分が長く続けていたものを探す
「最も打ち込んだこと」のハードルを自分で上げてしまうと、なかなか見つけられないかもしれません。まずは大学時代に一番時間を割いたことを考えてみましょう。
たくさんの時間を費やしていると、自分では当たり前になってしまうので、打ち込んでいると認識できていないケースもあります。
他の人から見たら、案外すごいことかもしれないので、自分で「別にすごくない」「頑張ってない」と思わずに、今の大学生活で習慣にしていることを思い返してみましょう。
②何に最も時間を割いてきたのかを探す
大きな目標がなくても、長期的に継続してることや組織に入ってしたことを思い出しましょう。
例えば、ランニング、筋トレ、読書、楽器演奏、記事スクラップのように、「小さいころから変わらず好きなこと」や「ずっと習慣にしていること」でOKです。
思いついたら、いつから続けているのかを思い出して、なぜ続けているのかを書き出してみてください。
もしやめようと思ったときがあれば、なぜやめなかったかも深く考えてみましょう。
③短期間でも、一生懸命になったことを探す
長期間続けていることが見つからないなら、切り口を変えて、中学や高校も含めて、思い出に残っていることを探してみましょう。
具体例には文化祭行事、スピーチ、短期留学、ヒッチハイクが挙げられます。短期的な目標や目的のために、「頑張った」「大変だった」「楽しかった」経験があるはずです。
思いついたら、準備期間からイベント当日までに大変だったことや苦労したことをしっかり思い出して、「なぜ打ち込もうと思ったか」を書き出してみましょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」の話すべき内容

「学生時代に最も頑張ったこと」が見つかったら、それを実際に伝えるためにエピソードの構成を整えましょう。具体的には、次のような流れで話すと良いとされています。
- 結論
- 始めた理由と続けた理由
- どのように打ち込んだのか
- そこから何を学ぶことができたのか
①結論
まず、何の話なのかがわかるように、結論から話しましょう。
「学生時代に最も打ち込んでいたことは、〇〇です」と結論を述べると、話の着地点が想像できるようになるため、聞く側にも心構えができます。
そして、その話題に面接官が詳しくない場合でも伝わるように、できる限り噛み砕いて話しましょう。
もちろんあまり細かすぎてもわかりにくいですが、「それがどんなものなのか」「どんなことをしていたのか」、具体性が大切です。
②始めた理由と続けた理由
結論の後に、どうしてそのことに専念したのか、始めた理由を話しましょう。
打ち込んでいた理由は就活生の育ってきた環境や価値観が反映されやすいため、企業側も大きな関心を寄せています。そのため、物事への思いの強さを伝えるのは重要です。
「きっかけは何だったのか」「具体的にどんな点が楽しいのか」を話せば、その人のこれまでの人生経験が垣間見えます。
とくに取り組んできた期間が長いなら、続けてきた理由を語るとアピールになるでしょう。
③どのように打ち込んだのか
続いて、どのように頑張ったのかアピールしましょう。「学生時代に最も専念したこと」を話すときに、最も重要なポイントです。
この質問では面接官に、「どんな風に乗り越えるのか」「どう心を持ち直して対処するのか」を見られています。
ビジネスでは乗り越えるのが難しい壁にぶち当たる可能性もあるので、頭を使いながら取り組めるかを知りたいのです。
本気で取り組んでいたとアピールするためには、改善の努力をしていたと伝える必要もあります。
④そこから何を学ぶことができたのか
最後に、「経験から学んだこと」を述べましょう。ポイントは「何を成果として考えているか」です。
失敗は成功のもとなので、仮に困難にぶつかったとしても、次につなげるための糧となります。
したがって、取り組みによってどんな結果が生まれて、この経験を社会でどのように活かしたいかを伝えましょう。
学生時代の難しかった経験から学んだことを、どのようにして次に活かすかうまくアピールできると、企業に熱意や前向きさを評価してもらえるかもしれませんね。
「学生時代に最も打ち込んだこと」の例文

「学生時代に打ち込んだこと」をアピールするなら、以下の4つが題材にしやすいです。それぞれ例文を紹介します。
題材ごとにポイントを把握して、アピールの作成に役立ててくださいね。
- 学業
- 部活動
- アルバイト
- 趣味
例文①学業
まずは、学業に力を入れている場合の例文です。何か熱中した勉強がある場合に使えます。
【例文】
学生時代に最も力を入れたのは、研究です。集団心理を学び、個人と集団では行動心理に違いが生じるのかを調べました。
集団心理を調べる際に、100人を対象に実験する必要があり、全部一人で準備するのはとても難しかったです。
確実に人数を集めるためにも、2回生のころから声をかけていたので、研究を無事終えられました。
何かを成し遂げるためには事前準備が重要だと、研究を通じて学べたと考えています。御社でも準備を徹底して仕事を進め、難しいことでも確実に達成したいです。
例文②部活動
学生時代に部活動に所属していた場合は、その経験を生かせるアピール文を考えてみましょう。
【例文】
学生時代に私が最も打ち込んだのは、大学の管弦楽部です。私は4歳のときからヴァイオリンを習っていたため、私が部全体を仕切ることもよくありました。
しかし練習は間延びしがちで、練習に来ない人もいたため、思い切って全体の練習時間を短く抑えたところ、集中力が高まり、練習に参加してくれる人も増えたのです。
そのため生産性を上げるためには、長時間するよりも、時間を意識して物事に取り組むことが効果的だと学びました。
これを仕事でも活かして、常にゴールを意識しながら業務を進めたいと考えています。
例文③アルバイト
勉強でも部活動にも熱中したことがない人は、アルバイトについて話すのがおすすめです。
【例文】
学生時代に最も頑張ったことは、塾講師のアルバイトです。「自分は勉強ができない」と思い込んでいる子どもたちの役に立ちたいと思って始めました。
実際に私が担当した子どもたちは、学習習慣が身についていなくて、実力を発揮できていなかったです。
授業内容を工夫するのはもちろん、宿題を小分けにして、できたら必ず褒めて、こうした積み重ねによって、自信を持って自分から意欲的に学習して、成績を上げる子どもが増えました。
御社でも、自分の与えられた仕事に責任感を持って、工夫しながら仕事に進めて、成果を出していきたいと思っています。
例文④趣味
最後に、趣味に関する例文です。何か趣味に没頭した経験がある人は参考にしてみて下さいね。
【例文】
私は学生時代に、30ヶ国を旅行したことがあります。多様な価値観に触れたかったので、ただ観光するだけでなく、現地で出会った人たちと交流を深めていきました。
そして世界には、多様な文化や価値観があると気づくことが多かったです。
渡航中に学んだことを広めたいと思い、帰国後には積極的にSNSで投稿したところ、知人の繋がりが増えて、新しい出会いに恵まれるようになりました。
海外旅行での経験を活かして、御社では広い視野を持ちながら、物事に取り組んでいきたいです。
これはOK?「学生時代に最も打ち込んだこと」のテーマに迷ったときの判断方法
就職活動では「学生時代に最も打ち込んだこと」を問われる機会が多く、本当にこのエピソードで良いのか迷うことも。
ここでは、自分の経験を適切なエピソードとして使えるかどうかを判断するためのポイントを解説していきます。
- その経験から得た能力・学び・成長は言語化できるか
- その能力・学び・成長は志望企業の仕事で活かせるか
- 具体的な深堀りをされたときに自信をもって話せるか
①その経験から得た能力・学び・成長は言語化できるか
学生時代に打ち込んだ経験から得られた学びや成長を具体的に説明できることが、企業にアピールする上で大切です。
「チームワーク力が向上した」「リーダーシップが身についた」といった抽象的な表現では不十分。
「メンバー間の意見の対立を解消するために、個別に話を聞いて調整役を務めた」「目標達成のために進捗管理と業務の優先順位付けを行った」など、具体的なエピソードと共に説明できるのが望ましいでしょう。
また、その経験で得た学びによって、それ以前の自分とどう変わったのかも話せるとよいアピールになります。
②その能力・学び・成長は志望企業の仕事で活かせるか
学生時代に打ち込んだことで身につけた能力や学びが、志望企業でどのように活かせるのかを具体的に説明できることも重要です。
例えば、サークル活動でイベントを企画した経験は、プロジェクトマネジメント能力として営業職で、アルバイトで接客を通じて培ったコミュニケーション力は、カスタマーサポート職で役立つでしょう。
なお、一見関係なさそうな経験でも、視点を変えることで意外な関連性を見出せることもあります。
大切なのは、自分の経験と志望企業での仕事を結びつける具体的なストーリーを組み立てられるかどうかです。
③具体的な深堀りをされたときに自信をもって話せるか
面接では、「なぜそのことに打ち込んだのか」「どのように取り組んだのか」「どんな困難があり、どう乗り越えたのか」といった深掘りの質問が必ず来ます。
そのため、表面的なエピソードではなく、自分が本気で取り組んだ経験を選ぶことが重要です。
例えば、アルバイトで「お客様に何を聞かれてもすぐ答えられる」よう、「開店前に必ず店内を見回って、変化があった箇所をメモしておく」など具体的な取り組みを説明できるかがポイントになります。
自信を持って話せるエピソードかどうかを判断する際は、その経験から得た学びや成長を具体的に説明できるか、またそれが志望する企業でどう活かせるのかまで考えられているかを確認しましょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」と「ガクチカ」に違いはある?
就職活動では「学生時代に最も打ち込んだこと」や「ガクチカ」について聞かれる機会が多くあります。
基本的には同じ質問と思って大丈夫ですが、いくつか注意点があるので以下で見ていきましょう。
- 話すべき内容や企業の意図にほぼ違いはない
- ガクチカは複数用意する必要があることも
①話すべき内容や企業の意図にほぼ違いはない
「学生時代に最も打ち込んだこと」とガクチカは、就活生の間で異なる表現として認識されることがありますが、企業側の視点からすると本質的な違いはありません。
どちらも企業が知りたいのは、学生の人間性や物事への取り組み姿勢、困難に直面した際の対処方法です。
回答する際は具体的なエピソードを通じて、自身の強みや成長過程を効果的に伝えましょう。
②ガクチカは複数用意する必要があることも
最も打ち込んだこととは異なり、ガクチカは複数のエピソードを用意しておくことで、より効果的なアピールが可能です。
企業によって求める人物像が異なるため、複数のエピソードがあれば志望企業に合わせて使い分けることができます。
また、面接で「他に力を入れたことはありますか?」などの質問が来た際にも、余裕を持って対応できるでしょう。
「学生時代に最も打ち込んだこと」で自分の魅力をアピールしよう

今回は「学生時代に最も頑張ってきたこと」の見つけ方や伝え方を紹介しました。
自分を最も印象的に打ち出せる題材を選ぶためにも、何を提示するかはとても大切です。本記事で紹介したことを参考に、題材選びを入念に行い、上手にアピールしましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。