自己PR作文を書こうとしても、「何を書けば良いのか分からない」と筆が進まない人は多いでしょう。
そこで本記事では、履歴書やESの自己PR作文欄を書くための方法についてまとめました。印象に残る書き方はもちろん、注意点も紹介します。
そもそも自己PRを作文させられる理由は?企業視点で解説
企業にとって自己PR作文は、応募者を判断するための重要な材料です。企業は自己PR作文も参考にして、応募者の強み、自己分析の力、能力、性格が企業にマッチするのかを判断します。
自己PRの文章は、応募する企業が何を求めているのかを考えながら制作しましょう。採用担当者の心に残るPR文章を制作することができれば、就活をより有利に進められるはずです。
①あなたの人柄や強みが知りたい
企業が自己PRを求める最も重要な理由は、応募者の人柄や強みを深く理解したいからです。
企業は単なるスキルや経験だけでなく、その人がどのような価値観を持ち、どんな考え方で物事に取り組むのかを知りたいと考えています。
自己PRでは、具体的なエピソードを通じて応募者の人となりや、困難な状況での対処方法、周囲との関わり方などが浮き彫りになるでしょう。
また、自己PRの作成過程で応募者自身が自己分析を行うことで、より深い自己理解が促され、それが文章に反映されます。
②企業で活躍できる適正があるか知りたい
企業は自己PR作文を通じて、応募者が自社で活躍できる人材かどうかを判断します。
単なる知識やスキルだけでなく、その人の価値観や考え方、物事への取り組み姿勢などを総合的に評価したいと考えているのです。
また、限られた文字数の中で自分の経験や考えを論理的に表現する力も、ビジネスの場面で必要なスキルとして評価の対象となるでしょう。
つまり、自己PR作文は単なる自己アピールの場ではなく、実務で必要とされる思考力や表現力を確認する機会としても活用されています。
【印象に残る!】自己PR作文の書き方は3ステップ

採用担当者の心に残る自己PRを作るためには、以下の3つのステップを意識しましょう。
心に残る文章を制作するために重要なことは、分かりやすく簡潔であることです。以下の3つの構成を意識することで、自分の伝えたいことを強くアピールできるでしょう。
①最初に強みを述べる
最初に自分が伝えたいことを結論ファーストで伝えます。強みがリーダーシップである場合は、「自分の強みはリーダーシップがあることです」と伝えましょう。
しかし多くの応募者がいる場合は、これだけだと採用担当者の印象に残りません。
強みを深堀してより具体的にしたり、比喩を用いたキャッチコピー使ったりして差別化を図りましょう。
【例1】具体性を持たせる 〇元の文章 私の強みはリーダーシップがあることです。 〇修正後の文章 私の強みは周りを巻き込み目標を達成するリーダーシップがあることです。 |
【例2】比喩を用いる 〇元の文章 私の強みは協調性があることです。 〇修正後の文章 私の強みは、組織の運営をより円滑にできる、人々をつなぐ潤滑油のような役割ができることです。 |
②根拠となる具体的エピソードを展開
結論ファーストで強みを述べたあとは、強みの根拠となる具体的なエピソードを展開します。
特に困難を乗り越えたり課題を解決したりするエピソードは好印象が残せるので、積極的に使うことがおすすめです。
他には採用担当者がより納得できるエピソード、他の応募者がなかなか経験できないエピソードがあれば使いましょう。
数値を出したり、五感を使った表現を用いたりすることで、より具体性が高まりオリジナリティが増します。
③強みをどう仕事に活かすか書いて締める
自分の強みを企業にどのように活かせると考えているのかなど、どのような貢献ができるのかを述べて自己PR作文を締めます。
なるべく企業研究を進めて、企業が求める人材は何なのかを把握してから自己PR文章を書きましょう。なぜなら企業が求めていない貢献は、逆に面接官からの印象が薄れる可能性があるからです。
企業が求める人材を把握することで、自分が企業にとっていかに魅力的な人材であるかをより上手くアピールできるでしょう。
自己PRの作文内容は文字数別で調整しよう
自己PRの文章は、求められる文字数によって盛り込む内容を適切に調整する必要があります。
長すぎても短すぎても効果的なアピールは難しく、文字数に応じて自分の強みや具体的なエピソードの詳細度を変えることがポイントとなります。文字数制限を意識しながら、メリハリのある自己PRを作成していきましょう。
①200文字の場合
200文字の自己PRでは、アピールポイントを一つに絞り、具体的なエピソードを交えて説明するのが重要です。
文字数が限られているため、PREP法(Point-Reason-Example-Point)を活用し、結論から述べる構成にしましょう。
文字数は全体の8割から9割程度を目安とし、「200字以内」の場合は180字~200字、「200字程度」の場合は190字~210字が適切です。
なお、まずは文字数を気にせずに書き出し、その後で不要な表現を削っていく方法がおすすめですよ。
②400文字の場合
400文字の自己PRは、就活でよく求められる文字数で、こちらも1つの強みに絞って深く掘り下げることが重要です。
文字数の配分は、冒頭で強みを20~30文字程度で簡潔に述べ、続いて具体的なエピソードを300文字程度で説明し、最後に企業での活かし方を60~80文字程度で締めくくります。
エピソードでは、数値を用いて成果を具体的に示したり、困難をどのように乗り越えたかを説明したりすることで説得力が増すでしょう。
また、こちらもPREP法(結論→理由→具体例→結論)を活用すると、読み手に伝わりやすい文章を作れます。
③800文字の場合
800文字の自己PRでは、エピソードを詳細に記述すると、採用担当者にあなたの強みをより深く理解してもらえます。
強みを冒頭で述べた後、具体的なエピソードに約680~700文字を割り当て、その体験がなぜ強みを示すのに最適な例であるのかを詳しく説明してください。
エピソードでは、課題に直面した状況、取った行動、得られた結果、そこから学んだことを具体的に記述しましょう。
最後に、その強みを企業でどのように活かしていきたいかを述べて締めくくります。
【経験別】自己PR作文の例文5つ

次は自己PR作文の例文を5つ、それぞれ300文字程度で紹介します。本記事では、以下の5つのパターンの自己PR作文の例をまとめました。
もし上記の経験をしていなくても、参考になる箇所はあるはずです。最後までご覧ください。
①アルバイト
例文
私の長所は、周囲の状況を的確に判断できる状況把握能力です。この洞察力を活かし、大学生時代に所属していたアルバイト先で売上げを20%ほど上げることに成功しました。
私のアルバイト先は飲食店でしたが、近くに競合店ができ、顧客を奪われました。「どうすれば顧客を取り戻せるのか」を考えた結果、私が行った戦略は、SNSからの流入です。
具体的な戦略としては、SNSに今流行のネタ動画をUPすると同時に、お店の宣伝も行える内容のものをいくつかアップロードしたり、目に入りやすい広告や拡散されやすい時間帯に新しく投稿したりなどを行いました。
そこからPDCAサイクルを回し、顧客のニーズに沿った宣伝を行っていった結果、徐々に視聴回数が増え、チャンネル登録者数も10,000人を超えました。最終的には新規顧客の開拓ができ売上げを20%ほどあげることに成功しています。
入社後は、この洞察力を活かし、マーケティング分野において御社に貢献していきたいと考えております。
簡潔に分かりやすくまとめつつ、数値を使って具体性も高めた例文です。上の例文のように、具体的な数値が分かっているケースでは、なるべく数値を利用しましょう。
②ボランティア
例文
私の強みは周囲の人たちのコミュニケーションを円滑にする、潤滑油のような役割ができるところです。
私は学生時代に、小学生に勉強を教えるボランティアをしていました。一人ひとりの異なる性格や得意不得意があり、それぞれに対応したカリキュラムの作成に難しさを感じていました。私以外にも複数のボランティア活動者がいましたが、その人達も同じような悩みを抱えているようでした。
そこで私が行ったのは、情報交換の場を作ることです。同じ立場であるボランティア活動をしている人たちの間で、児童に関する得意不得意、性格などを共有し合うことで、個々の学力にあった問題を作成したり、教え方を考えたりできるようになりました。結果、学力を底上げすることに成功しています。
入社後も、チーム内で情報を上手く共有し連携し、ユーザーに刺さる企画を考えて御社に貢献していきたいと考えています。
比喩を用いた冒頭のキャッチコピー、「潤滑油のような役割」で一気に面接官の興味関心をひくことを意識した例文です。
③インターン
例文
私の最大の強みは、データ入力や資料作成を正確に行う慎重さです。
私は学生時代に事務職のインターンを1ヶ月ほど経験しました。この1ヶ月間、私は業務においてほとんどミスをしていません。インターン開始直後に与えていただいた業務内容は、データ入力とクライアントへのメール対応でした。データ入力業務では、入力内容を間違えないことはもちろん、なるべく迅速な作業することを意識しました。
2週間ほどデータ入力やメール対応の業務をし、その後はミスの少なさが評価され、簡単な営業資料の制作や電話対応、関する業務も割り振っていただくことができました。
入社したあとも、ミスなし、かつ素早く仕上げるこの慎重さを活かして御社に貢献していきたいと考えています。
慎重さを活かした事務職志望の例文です。慎重さのみアピールすると作業スピードが下がることが懸念されるため、素早さに関する文章も入れています。
強みをアピールするうえで懸念点がでてくることを想定できる場合は、欠点をカバーできる文章をいれましょう。
④サークル活動
例文
私の強みは、周りを巻き込みひとつの目標を達成できるリーダーシップです。
私は学生時代、演劇サークルの部長を務めていました。しかし練習できる場所が限られていること、部員のモチベーションがないことが原因で、練習時間をなかなか確保できないという問題を抱えていました。
そこで私は、場所の確保、モチベーションを上げるための施策をすることにしました。しかし私ひとりでは人手が足りなかったため、演劇部の同じ学年の人たち数人に連絡を取り、チームで動くことにしました。
地域の体育館の管理者に掛け合い、満足できる練習時間を確保し、部員への週1回の定期連絡や、演劇へのモチベーションをキープするための情報共有をして、部員のやる気を上げることに成功しました。この夏には全国大会出場を果たすことができました。
入社後は、このリーダーシップを活かしてチームの統率を取り、御社の営業部で売上げに活動していきたいと考えております。
課題や問題の解決のエピソードを入れることで、採用面接者に良い印象を与えることを意識した例文です。
⑤ゼミ・研究
例文
私の1番の強みは、集中力です。
私が学生時代に1番力を入れたのは、ロボット研究でした。高校生の頃からロボット工学の分野に興味があり、大学生になった後もロボット工学への好奇心は消えることがありませんでした。
ゼミに配属された後は、卒業までひたすら自分の分野への理解を深めるために研究にいそしんできました。1日のうち12時間は研究に没頭し、さまざまな論文も読んでいるため、ロボット工学の分野に関してはある程度の専門知識があると自負しております。
短期的な集中力はもちろん、目標達成まで途切れることのない長期的な集中力も持ち合わせております。それを武器に、入社後は開発職などで成果を残していきたいと考えております。
研究などの分野で大会などに出場した経歴がある場合は、その体験も併せて伝えると好印象に繋がるでしょう。良い成果を残せていなくても、得られたものはあるはずです。
挑戦する姿勢が評価されることもあるため、可能であれば組み込んでみましょう。
自己PR作文をする際に気をつけたい主な注意点5つ

自己PR作文では、単に強みを書き連ねるだけでは採用担当者の心に響く文章にはなりません。
ここでは、印象に残る自己PR作文を作成する際に特に気をつけるべき5つのポイントを解説します。
①指定文字数の9割は書く
指定文字数よりも圧倒的に文字数が少ないと良い印象を持ってもらえないため、指定文字数の9割は書くようにしましょう。
指定文字数よりも文字数が少なければ、「アピールするポイントが少ない人」「取り柄が少ない人」と思われる可能性があります。
100文字であれば90文字以上、300文字指定であれば270文字以上、800文字指定であれば最低でも720文字以上を意識しましょう。なるべく指定文字数ギリギリまで書くことが大事です。
②丁寧語を使う
指定文字数が少ないと文字数を省くために語尾を「である」調にしてしまいがちですが、基本的には丁寧語で書くようにしましょう。
「である」調だと、上から目線だと思われる可能性があります。人によっては、悪い印象を持たれることもあるでしょう。
その点、丁寧語であれば悪い印象を与える可能性が低いです。
特に指定がない場合は、自己PRは丁寧語で書き上げてください。
③志望動機や自己紹介との一貫性をもたせる
自己PR作文における強みは、志望動機や自己紹介で述べる内容と一貫性を持たせることが重要です。
例えば、自己PRで「リーダーシップ」を強みとして挙げながら、志望動機では「縁の下の力持ち」として貢献したいと述べるのは矛盾した印象を与えかねません。
また、自己紹介で触れたエピソードを自己PRで深掘りするなど、それぞれの項目が相互に関連し合うように工夫すると、より立体的な人物像を示すことができます。
ただし、全く同じ内容を繰り返すのは避け、異なる視点や場面から自分の強みを表現するよう心がけましょう。
④ネガティブな表現を使わない
自己PRでは、ネガティブな表現は極力避けるようにしましょう。
「負けず嫌いで感情的になってしまう」「人と関わるのが苦手」といった否定的な表現は、採用担当者に「一緒に働くと大変そうだ」「社風に合わないかもしれない」という印象を与えかねません。
同じ内容でも、表現方法を工夫することで印象は大きく変わります。
例えば「効率性を重視する」と「無駄が嫌い」では、同じ計画性をアピールする場合でも、前者の方がテキパキとした印象を与えられるでしょう。
⑤内容を誇張しすぎない
自己PRでは、過度な誇張は避けるべきです。
採用担当者は数多くの応募者を見ているため、誇張された内容はすぐに見抜かれてしまいます。
特に、実際には経験していない役職や存在しない成果を記載することは厳禁です。誇張するのであれば、実際の経験や成果の範囲内に留めましょう。
例えば、部活動で30人の部員を率いた経験を50人と表現する程度なら許容範囲です。
ただし、全く経験のないボランティア活動を行ったと偽ったり、他人の成果を自分のものとして記載したりすることは、面接で簡単に露見し信頼を失うことになります。
印象に残る自己PR作文で選考を突破しよう
印象に残る自己PR作文について紹介してきました。
採用担当者の印象に残る自己PRの文章を考える上で大切なのが、他の応募者と差別化するために言い回しを変えることです。本記事を参考に、面接官の心に残る言い回しを考えていきましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。