ゲーム業界の志望動機では、なぜゲーム業界で働きたいのか、なぜその会社なのかなど、明確な根拠が必要です。「ゲームが好き」というだけの理由では、効果的なアピールは難しいかもしれません。
今回は、ゲーム業界の代表的な職種と志望動機の書き方を解説します。タイプ別の例文もご紹介しますので、志望動機作成にぜひお役立てください。
ゲーム業界の4つの職種
ゲーム業界には、大きく分けて4つの職種があり、その中に職位や業務ごとの分業など細かな分類があります。まずは代表的な職種をチェックし、ゲーム業界で目指したい職種を明確にしましょう。
今回は、以下の分類でご紹介します。
- 制作企画系
- エンジニア系
- シナリオ・デザイン・サウンド系
- 営業系
①制作企画系
1つめは、制作企画系の職種です。ゲームデザイナー(ゲームプランナー)、ゲームディレクター、ゲームプロデューサーが、この分類に当てはまります。
ゲームデザイナーは、ゲーム企画立案と仕様書作成などを行います。近年の業界の動向などを元にマーケティング戦略を考えることもある仕事です。ゲーム全般の知識が必要で、経験者が優遇される職種です。
ゲームディレクターは、ゲーム開発現場を監督します。予算、進捗、人的リソースの管理などを行い、チームを引っ張ります。コミュニケーション能力や分析力、判断力が求められ、経験者が優遇されます。
ゲームプロデューサーは、ゲーム開発の最も高い職位。開発工程全体の進捗管理、資金調達、マーケティングを担います。ゲーム業界での実績が多い人が務め、社外との交渉力や問題解決能力が欠かせません。
②エンジニア系
2つめの職種は、ゲームプログラマー(ゲームエンジニア)です。仕様書に従った各種システムの設計・開発から、個々のキャラクターの動作、音楽や効果音など、多くのプログラミングを行います。
ゲームプログラマーは、ユーザーにとって分かりやすい操作性、処理の最適化などを左右する非常に重要な職種。プラットフォームに合わせたプログラミングスキルと集中力や忍耐力が必須です。
なお、プログラムのエラーやバグをチェックする職種は「デバッガー」です。具体的な業務は、完成間近のゲームを指定された手順で繰り返し操作すること。新卒や未経験でも採用されやすいでしょう。
③シナリオ・デザイン・サウンド系
3つめの職種は、シナリオやデザイン、BGMなどを制作するタイプです。
シナリオライターは、ゲームの物語やキャラクターの心情変化・セリフ・行動など、具体的な展開をシナリオとして作成します。適切な文章力と高い表現力が必要で、日頃の観察力や分析力が欠かせません。
イラストや3Dモデルは、2D/3Dデザイナーが制作します。豊かな表現力とソフトの操作スキルが必要。新卒や未経験でも採用される可能性があります。
BGMや効果音を制作するのは、サウンドクリエイターです。制作経験があれば、新卒やゲーム業界未経験者でも採用されるかもしれません。どのような自分が作れる音楽・効果音のポートフォリオが必要です。
④営業系
そして、4つめの職種が営業系の職種です。
ゲーム業界の営業職は、自社のゲームをショップなどに売り込んだりプロモーション活動を行ったりします。ゲーム開発スキルは不要ですが、契約を勝ち取るプレゼン力・交渉力が求められます。
近年は、ショップや販売店の本部への売り込みに加え、ダウンロード販売増加に向けたプロモーション活動を手がけることもあるでしょう。
営業系は、新卒やゲーム業界未経験でも採用されるチャンスが大きい職種のひとつ。転職希望者で前職が営業職だった人なら、その経験をそのままアピールできます。
ゲーム業界で求められる人の3つの特徴
ゲーム業界で求められる人の特徴は、企業や職種によって違いがあります。その中で特に求められやすいのが、次の3点です。
- ゲームの知識がある人
- 発想力がある人
- エンジニア経験がある人
特にゲームの知識と発想力は、どの職種でも重要です。
①ゲームの知識がある人
ゲーム開発に参加しようとする人には、ゲームに関する知識が欠かせません。具体的には、ゲームのプラットフォームの種類、ゲームジャンル、ジャンルごとの雰囲気や主要な遊び方、ゲーム関連の用語などです。
話題になったゲームや名作を遊んだことがあれば、より広い視点でゲーム業界の動向を捉えられるでしょう。
ゲームの基本を知っている人なら、ゲーム会社に就職後も「あのゲームとは違って…」「あのゲームの要素を…」など意思疎通を図りやすくなり、現場での活躍が期待できます。
②発想力がある人
ゲーム企画の立案は主にプランナーやディレクター、プロデューサーなどが中心に進めます。しかし、開発現場のメンバーにも多くのアイデアが必要とされるのが、ゲーム業界です。
- より魅力的なデザインは何か
- より効果的なストーリー展開は何か
- 遊びやすいシステムにするためにどう改善すればいいか
- 他社のゲームに勝つには何が必要か
企画書には書かれていない細かな点や、他社の動向によって発生する課題の解決に向けて、ゲーム開発に携わる全ての人がアイデアを出し合わなければなりません。
ブレインストーミングや大小さまざまな会議、プレゼンなどでアイデアを出せるよう、日頃から観察や情報収集、スキルアップを行うことも重要です。
③エンジニア経験がある人
ゲームプログラミングの仕事を希望する場合、当然ながらゲーム制作で用いられるプログラミング言語の知識が求められます。さらに、仕様変更やバグへの対応など、問題解決能力の高さも必要です。
プログラマー以外の職種でも、プログラミングに関する知識があると重宝されます。
デザイナーなら意図した動きをプログラマーに伝えやすくなりますし、デバッガーならどのような部分にエラーやバグがあるか見当を付けやすくなるでしょう。
ディレクターやプロデューサーといった上位職にとっても、プログラミング言語の知識を習得しておくと、プログラマーの意図を理解したり指示を伝えやすくなったりします。
ゲーム業界の志望動機を書く時の3つのポイント
では、いよいよ志望動機の作成へ進みましょう。志望動機を書く時に意識すべき3つのポイントは、以下のとおりです。
- 根拠のある志望理由を考える
- その企業を志望する理由を考える
- その企業に就職した後どのように貢献できるか考える
このポイントに従って自分の回答を考えることで、より説得力のある志望動機を作成できます。
①根拠のある志望理由を考える
1つめのポイントは、志望理由の根拠をしっかり考えることです。
ゲーム業界に限らず、志望動機では「なぜこの業界で働きたいのか」という理由が必要。漠然と「楽しそうだから」という理由だけでは「明確な根拠がない」と見なされるかもしれません。
もし根拠がうまくまとめられない場合は、希望する職種の仕事をさらに詳しく調べてみてください。その職種の「ここがいい」と思える点が見つかれば、それを足掛かりにできます。
エンジニアやデザイナー、サウンド系の職種なら、ゲームで使われることを想定した小さな作品を作り、制作中に考えたことをヒントにする方法も使えるでしょう。
②その企業を志望する理由を考える
2つめのポイントは、その企業を選んだ理由を述べることです。ゲーム業界には、大企業もあれば小さな企業もあります。他ではないその企業を選ぶ明確な理由がなければ、志望度が高くないと判断されかねません。
企業の魅力を知るには、企業説明会の他、その企業の公式サイト、オウンドメディア、商品に関するニュースなどをチェックするとよいでしょう。
公式サイトの採用情報には、先輩社員のインタビューが掲載されている場合もあります。インタビューの中で志望動機に触れている場合、新たな気づきを得られるかもしれません。
③その企業に就職した後どのように貢献できるか考える
3つめのポイントは、就職後にその企業で貢献できる分野を打ち出すことです。企業の採用担当者は、採用後した人材に活躍してほしいと考えるもの。だからこそ、自社に合う人を採用するのです。
自分がその企業で活躍できることをアピールするには、以下の3点を考えるとよいでしょう。
- その企業のどのような職種で働きたいか
- ゲーム開発におけるその職種で、どのような強みが自分にあるか
- その強みは、ゲーム開発のどのような点で役立つか
ゲーム業界の志望動機を伝える時の2つの注意点
志望動機を書く時の3つのポイントを意識すれば、採用担当者に「なるほど」と思わせるものを作成できます。しかし、つい筆が走りすぎて、自分の熱意がうまく文章になっていない場合があるかもしれません。
志望動機の下書きが終わったら、あらためて次の2点をチェックしてください。
- ゲームが好きなことが理由になっている
- 希望が明確に定まっていない
①ゲームが好きなことが理由になっている
チェックポイントの1つめは、理由に「ゲームが好き」ということだけを書いていないかどうかです。
ゲームが好きなこと自体は、ゲーム業界を目指す大切な動機の一つ。しかし、既に述べたように、志望動機では、その業界や企業で働きたいという明確な理由と意思を示さなければなりません。
「ゲームは好きだが、ゲーム業界には入らない人」と「ゲーム業界を目指す自分」は何が違うのかを具体的に考えてみてください。
②希望が明確に定まっていない
2つめは、志望動機から「ゲーム業界で何をしたいのか」が明確に伝わるかどうか。自分がどのようなジャンル・職域で貢献できるのかを示すことで、採用担当者も採用後のイメージを持ちやすくなります。
もちろん、入社してすぐに希望したゲームジャンルで制作できるとは限りません。それでも、
- 自分は何が得意か
- ゲーム業界で何をやりたいか
という2点だけでも明確にしておきましょう。その希望が応募先のゲーム会社の事業内容や方針と合っているかも確認してください。
ゲーム業界の志望動機例文3選
最後に、ゲーム業界の志望動機として次の3つの例文をご紹介します。
- ゲームの楽しさで人々を喜ばせたい
- ゲームの良さを広めたい
- この世に今までない新しいゲームを開発したい
具体的な志望動機は人それぞれですし、実際のプレイ体験や自身の価値観に基づく志望動機のほうが魅力的です。今回ご紹介する例文は、あくまで一つの例。志望動機作成の叩き台としてご活用ください。
①ゲームの楽しさで人々を喜ばせたい
「ゲームの楽しさで人々を喜ばせたい」という思いは、ゲーム業界を目指す人の多くが共有するものでしょう。
これを採用担当者にしっかり伝えるには、「いつ・どのようなときに、そう感じたか」「自分がゲームをしていて楽しい時はいつか」などを足掛かりにするとよいでしょう。
【例文】
私がゲーム業界を志望する理由は、ゲームの楽しさで人々を喜ばせたいからです。 ゲーム業界では、大きな技術発展により、これまでより多様な遊び方ができるようになりました。自分の部屋にいながら会ったことがない世界中の人々と一緒に楽しむ、ARやVRを活用したゲームで日常では得られない臨場感あふれる体験を得るなどです。 変化の激しい社会に暮らす中で、ときには昔ながらのシンプルなゲームで一息つき、ときには感動的なグラフィックやストーリーで疲れを忘れるような体験を、多くの人が共有しています。これをさらに広め、より多様で豊かなゲーム体験をユーザーの方々に届けたいと考えています。 |
②ゲームの良さを広めたい
「ゲームを楽しんでもらいたい」という以外に、具体的にゲームがもつ魅力を伝えたい場合は、その魅力を2〜3つほど書くのがおすすめです。1つだけでは少なく、4つ以上では多すぎるからです。
このパターンでは、ゲームの良さに関する分析的な視点が必要となります。
【例文】
私がゲーム業界を志望する理由は、ゲームの良さをより多くの人に広めたいからです。ゲームの良さとは、主に次の2点です。 1点目は、安心して失敗できることです。人間関係や仕事など、私達は多くの場面で「正解を出す」必要があります。ゲーム内では、他のユーザーに迷惑がかからない範囲であれば、失敗しても大きな不利益は生まれません。 2点目は、タスク処理や時間管理、問題解決能力を養いやすいことです。ミッションやクエストが与えられるゲームでは、それらをどのような手順で処理するか、障壁をどう解消するかを考える機会があります。 いずれも現実の世界に必要な体験でありながら、失敗すれば大きな損失につながりかねません。そうした損失を気にせず何度もやり直せる点に、ゲームの良さがあります。 |
③この世に今までない新しいゲームを開発したい
「今までにない新しいゲームを作りたい」という熱意にあふれた志望動機の場合、思い描くゲームの方向性などを示せるとよいでしょう。
そこまでの知識がない場合でも、近年話題の技術を活用した遊び方を考えると、新たな発見があるかもしれません。
【例文】
私は、人々により豊かな体験を提供し、お互いを尊重し合えるような多角的な視点を育てるようなゲームを作りたいと考え、御社を志望しました。 近年、ゲーム分野ではARやVRなどの活用で、より臨場感のある体験が可能となっています。私自身も、そうした技術を使ったゲームをプレイし、今まで以上に豊かでリアルな体験をしました。 今後、活用がさらに進み、自分の身体を動かして現実には行けない場所を探索したり、それまで知らなかった職業を体験したりできれば、映像を見て遊ぶだけではない「自分自身の体験」になります。ひいては多角的な視点を養うことにもつながるでしょう。 私は、わくわくするようなプレイ体験が多様な価値観や生き方を尊重する社会につながるような、新しいゲームの開発に貢献したいと考えています。 |
ゲーム業界の志望動機は根拠作りに力をいれよう
ゲーム業界を志望する場合、明確な根拠がある志望動機が欠かせません。なぜなら、「ゲームが好き」であることは志望動機の一つとして珍しくないからです。
志望動機の根拠は、自身のゲームプレイ体験、好きなジャンルの特徴、ゲーム業界の動向などをあらためて振り返ってみてください。
「○○だから、ゲームが好き!」「○○だから、ゲームを作りたい!」と熱意をアピールし、採用を勝ち取りましょう。
この記事を書いた人
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。