就活におけるフェルミ推定とは?具体的な対策と解説付き例題
「フェルミ推定」の問題対策に悩んでいる就活生は、たくさんいるのではないでしょうか。
フェルミ推定問題は未経験者にはおそらく歯が立たない特殊な問題ですが、訓練さえすればすぐに解けるようになるでしょう。
そこで、本記事ではフェルミ問題の効果的な対策や注意点を解説します。ぜひ、就活対策の参考にしてみてくださいね。
フェルミ推定とは

フェルミ推定とは、実際に調査して求めるのが難しい数値を、最低限の知識を使って論理的に概算することです。
<問題の具体例>
- 日本に犬は何匹いるか
- 地球上で今何人の人が寝ているか
採用試験で課されるフェルミ問題は、与えられた材料を使いながら考えて、数分間で正解を導出する必要があります。
感覚が頼りにならないため、全く対策していない状態でフェルミ推定に挑んでしまうと、混乱して何も答えられない可能性もあるでしょう。
したがって、フェルミ問題に対応するためには、フェルミ推定がそもそも何なのかを理解して、どうして出題されるのか知っておくことが大切です。
フェルミ推定で採用担当者が注目している3つのポイント

企業が採用試験でフェルミ推定を課すのは、問題を通して応募者がどのような人なのか、見極めようとしているためです。具体的には、以下の3つの能力を見られています。
- 発想力
- 思考力
- コミュニケーション能力
①発想力
フェルミ問題の回答を導き出すためには、どんな切り口から結果を算出するのかが重要です。
具体的には、「日本の結婚式場の数は?」と聞かれたら、男女比率からアプローチするのか、婚姻率から求めるのか、市場の売上から考えるのか、切り口は人によって違います。
フェルミ推定によって企業担当者は、どのような方法でアプローチして回答を出していくのか、応募者の発想力にも注目しているのです。
②思考力
ビジネスマンにとって論理的思考力は、重要なスキルの一つです。
そのため企業側は、フェルミ問題を解く過程によって就活生の持つ知識を活用して思考できるか確認しています。
実際にフェルミ推定の結果を導出する際には、必要となる要因を洗い出して、順に組み立てる作業が大切となるでしょう。
途方もない問題を出題されても、思考自体を投げ捨てることなく、ビジネスマンになるための最低限の論理的思考力を備えていることを試されているのです。
③コミュニケーション能力
就活でフェルミ問題が出題されるのは、自分1人で考えるケースだけではありません。グループワークによって回答を出す場合もたくさんあります。
グループワークでは他の就活生とのコミュニケーションも、企業側がチェックしているポイントです。
様々な意見が出たときに複数ある意見に対してどのように対応していくのか、意見がぶつかったときや全く意見が出ないときにはどうするのかを見られています。
就活のためのフェルミ推定の効果的な2つの対策

フェルミ推定の対策は就職試験のためだけでなく、入社後にも勉強した内容が活かせるため重要です。
そこで、就活でフェルミ問題を解くために必要な事前準備を2つ解説します。
- フェルミ推定の解法の流れを認識する
- 例題を数問解いてみる
①フェルミ推定の解法の流れを認識する
フェルミ問題には曖昧な表現が多いため、言葉の正確な意味を確認してください。
もし「日本のコンビニの数」を聞かれたら、例えば24時間営業のみか、施設内のものも含むのか、具体的に確かめる必要があります。
次に、対象の数値を足し算や掛け算で分解して、推定しやすい数の組み合わせのみにしましょう。分解した要素に数値を入れて、公式を使って計算します。
計算し終えたら、出した数値の根拠を説明しながら面接担当者に納得してもらえるように、順番に論理的に話すことが大切です。
②例題を数問解いてみる
フェルミ問題の解法の流れを理解したら、続いて簡単な問題を解いてみましょう。ただし、いきなり難問には取り組まずに、簡単な問題から試してくださいね。
段階を踏めば、誰でも応用問題を解けるようになるため、初めは「こんな簡単な概算でいいのか」と思えるような単純な問題を選ぶことが重要です。
フェルミ推定の例題を解いておけば、ビジネスケース問題のような別のタイプの就職試験にも応用でき、就活で有利になりますよ。
フェルミ推定の回答の際の4つの注意点

フェルミ問題を解くために、重要なポイントがあります。答えを出すためには最低限の知識が必要となり、以下の4つのポイントをおさえましょう。
- 全ての数値の妥当性を確認する
- 基本方程式を暗記する
- 基礎的な数値は覚えておく
- 制限時間内に結論までの回答を出す
①全ての数値の妥当性を確認する
フェルミ推定の計算が終わったら、数値の現実性を検証してください。明らかに非現実的な数が出たのなら、どこかで計算を間違えた可能性があります。
妥当な数値が出なかった場合には、「要素分解が正しいか」「代入した数値が正しいか」をチェックしましょう。
就職試験では検証を求められる可能性は高くないですが、論理的思考力や発想力を身に付けるためにも、練習では検証まで試すことをおすすめします。
②基本方程式を暗記する
売上や利益を計算するフェルミ推定が問われることがよくあるので、基本方程式を覚えておきましょう。
売上を求める場合には、「単価×数量」「販売単価×販売数」「客単価×客数」「拠点数×拠点ごとの売上」「市場全体の売上×自社シェア」のような基本方程式があります。
一方、利益を求める基本方程式は、「売上-費用」「売上×利益率」です。基本方程式を暗記すると、迷わず問題が解けるようになるでしょう。
③基礎的な数値は覚えておく
フェルミ推定によく使う基本的な数値を頭に入れておいてください。日本と世界の両方を覚えることが重要です。
日本国内の場合には、「人口:1億2,000万人」「平均寿命:84歳」「平均年収:430万円」「世帯数:5,000万戸」「市町村:1,700箇所」が、覚えるべき具体例として挙げられます。
同様に世界の場合にも、例えば「人口:80億人」「国:196ヵ国」「国連加盟国:193ヵ国」を知っていると役立つかもしれませんよ。
④制限時間内に結論までの回答を出す
制限時間内に解答できないと、面接担当者も応募者を評価できないため、時間配分を意識してください。
フェルミ推定では考えれば考えるほど近い答えになりますが、あまりに面倒な計算になると時間が足りません。そのため、要素を分解しすぎず、大まかな数を入れることを心がけましょう。
そして、数値の代入や計算の時間がなくならないように、時間配分は徹底してください。時間内に解答を間に合わせるためにも、ある程度妥協するのも重要です。
外資系企業の選考ではフェルミ推定の対策が大切

外資系企業の選考が進むと、「フェルミ推定」のことを耳にする機会も増えてくると思います。
フェルミ問題は論理的思考力や科学的思考力を鍛えるために適した方法の一つなので、欧米では学校教育でも使用されるほどです。
そのため、外資系企業では出題されやすく、事前対策が必要不可欠となるでしょう。
実際に投資銀行やコンサルティングファームの業務にも役立つため、これらを志望しているならフェルミ推定は必須とも言えます。
フェルミ推定の例題2選

では、就活の面接で役立つフェルミ推定の例題と解説を2つ紹介します。具体的な例題を確認して、解き方のイメージを作っておきましょう。
有名な問題とその解説①
Q. 日本国内に電柱は何本あるか? 都市部の道端にある電柱をイメージしましょう。ここでは、50メートル四方に1本程度だと予想すると、50メートル×50メートル=2,500平方メートルあたり、電柱が1本ある計算になります。 日本の国土面積はおよそ40万平方キロメートルであり、1キロ平方メートル=1,000,000平方メートルなので、日本には40万×1,000,000÷2,500=1億6,000万本あることになるでしょう。 ただし、日本は都市部だけではありません。平地は日本の国土の25%程度であり、少し多めに見積もっても、電柱があるエリアは全体の30%程度だと予想します。 すると、1億6,000万×0.3=4,800万本となり、日本にはおよそ4,800万本の電柱があると推定可能です。 |
もし、実際の電柱の総数と離れていても、その場で答える場合には精度が高くなくて問題ありません。
自分の身近な範囲からある程度の数を仮定して、数字を拡大しながら計算して答えを出すことが求められます。
有名な問題とその解説②
Q. 地球上に蟻は何匹いるか? 突然、動物の総数を聞かれたら誰でも焦ると思いますが、問題の考え方は難しくありません。 まず、地球上の海と陸の割合は7対3程度なので、地球上の3割ほどの地域に蟻がいると仮定できます。 次に、地球上の面積はおよそ5億1,000万平方キロメートルであり、蟻がいる面積は5億1,000万×0.3=1億5,300万平方キロメートルと計算できるでしょう。 そして、1平方メートルあたり、蟻は何匹いるか推定してください。ここでは、蟻の数を約100匹と仮定します。 1平方キロメートル=1,000,000平方メートルなので、地球上に蟻がいる面積と掛け合わせると、1億5,300万×100×1,000,000=1京5,300兆匹と予想できるでしょう。 |
この問題では推定する数が重要ではなく、考え方に筋が通っているかが大切です。したがって、この問題の解き方で示した、「1平方メートルあたりの蟻の数」は何匹でも構いません。
フェルミ推定は対策が大切

今回はフェルミ問題の効果的な対策とポイントを紹介しました。
フェルミ推定は調査できない数値を論理的に導き出すことなので、急に解けと言われても、簡単に解ける人はあまりいません。
しかし、事前に問題の解き方や考え方のポイントを理解しておけば、採用試験で出題されてもしっかり解答できるはずですよ。
フェルミ問題を突破するためにも、たくさんの問題を解いてトレーニングを重ねて、問題パターンに慣れておきましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。