内定を辞退したいけど、どう連絡すればいいのか悩んでいる就活生の皆さん。内定辞退は法的には可能ですが、連絡方法などを間違えると様々なリスクが生じるため注意が必要です。
本記事では、内定辞退によるリスクを最小限にする方法を詳しく解説します。電話やメールでの連絡方法や例文も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
キャリアアドバイザー 久保
東証プライム上場通信事業会社で営業マネージャーを経験し、新規事業3つの立ち上げにかかわる。 営業マネージャや立ち上げの実績を持ちながら、株式会社C-mindには2023年に中途入社し、現在はキャリアアドバイザーのチーム運営と多くの就活生のサポートを担当。 自身が転職やキャリアアップをした経験から、内定だけではなく、入社後も徹底的に寄り添い企業を紹介している。 専門業界:IT、人材、広告
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内定承諾書とは何か
内定承諾書は、企業からの内定を承諾する意思を示す正式な書面のことを指します。
多くの企業では内定式で配布されることが一般的。企業側は内定承諾書の提出をもって、採用活動における最終的な人員確保の判断材料としているのです。
承諾書には、入社予定日、配属予定部署、給与条件、勤務地、試用期間の有無など、入社後の基本的な労働条件が記載されています。
雇用者と労働者の双方が相互に確認する重要な書面となりますが、内定承諾書の提出は労働契約の成立を意味するものではありません。
正式な労働契約は、入社時に締結する雇用契約書の取り交わしによって成立するため、内定承諾書はあくまでも内定を受け入れる意思表示の文書という位置づけになります。
内定承諾後も法的には辞退可能

内定承諾書を提出した後、何らかの理由で内定を辞退することは法的には可能です。
内定を承諾したことで労働契約が成立しますが、労働契約の解約について定められた民法によれば、「労働者は2週間の予告期間を置けば、労働契約を一方的に解約できる」とされています(民法第627条1項)。
ただし、企業側は採用活動にコストをかけており、内定者が入社を承諾した場合は受け入れの準備も進めているため、内定承諾後の辞退は企業にとって大迷惑です。場合によってはトラブルに発展することも。
したがって、内定承諾後に辞退を考える際は、その影響を十分に理解し、誠意を持って対応することが重要です。
また、内定承諾後の辞退は、自身のキャリアにも影響を与える可能性があるため、より慎重に判断しましょう。
企業に対して必ず感謝と謝罪の言葉を伝えてください!内定への感謝とそれを辞退することへの謝罪をしっかり伝えることで、企業と良好な関係を維持したまま辞退できますよ。
内定承諾後に辞退をするときに知っておくべきこと3つ
内定承諾後の辞退では、以下3つの重要なポイントを理解しておく必要があります。
企業側の立場や将来的な影響を考慮することで、適切な判断と対応が可能になります。特に就職活動は自身の人生を左右する重要な出来事ですから、慎重な判断が求められるのです。
また、企業との関係性は入社を辞退した後も様々な形で続く可能性がありますから、その点も考慮に入れる必要があるでしょう。
これから説明する3つのポイントをしっかりと理解した上で、辞退するかどうかの判断を行いましょう。
①企業は採用活動に多額のコストをかけている
採用活動には、予想以上の費用と時間が投資されています。
企業説明会の会場費、人事担当者の人件費、選考にかかる経費など、一人の内定者を決定するまでに数十万円規模の費用が発生するのが一般的です。
さらに、内定者の確保後は研修プログラムの準備や配属先の調整なども進められ、辞退によって企業側の採用計画に大きな影響を与えることも念頭に置く必要があります。
実際、採用担当者は内定者一人ひとりの入社を見据えて様々な準備を進めているため、突然の辞退は企業活動に支障をきたす原因となります。
②辞退した会社とのその後も仕事で関わる可能性があること
ビジネスの世界は意外に狭く、思わぬ場面で辞退した企業と再び関わることがあります。
取引先として接点が生まれたり、転職先として検討したりする可能性も考えられます。誠実な対応を心がけ、良好な関係を保つ姿勢が大切です。
特に同業界で働く場合、取引先や競合他社として関わる機会も多いため、辞退時の対応が後々まで影響を及ぼす可能性があります。
また、人事担当者が転職して別の企業で再会するケースもあり、辞退時の印象が将来の転職活動にも影響を与える可能性を意識しておきましょう。
③内定辞退を後悔する可能性があること
内定辞退は将来に影響を及ぼす重要な決断です。
安易な判断で辞退し、入社予定だった企業の良さに後から気付くケースも少なくありません。業界の将来性や企業の成長性、自身のキャリアプランなど、複数の観点から熟考することが賢明です。
特に給与や勤務条件だけでなく、企業理念や社風、教育制度、将来のキャリアパスなども含めて総合的に判断することが重要になります。
一時的な感情や表面的な条件だけで判断せず、5年後、10年後の自分のキャリアを見据えた上で決断を下すべきでしょう。
内定承諾後の辞退で生じうるリスク

前述の通り、内定承諾後に辞退する行為は法的には可能ですが、様々なリスクが潜んでいます。ここでは、特に考慮すべきリスクを3つ紹介します。
- 選考に影響が生じる可能性がある
- 社会に出た後で関わる可能性がある
- 訴訟を起こされる可能性がある
①選考に影響が生じる可能性がある
内定を承諾した後に辞退すると、その事実が他の企業に伝わる可能性があります。特に、同じ業界や関連企業での選考を受けている場合、その情報が共有されて、他社の選考に影響を及ぼす可能性があります。
また、内定を辞退した企業との関係が悪化すると、不誠実な対応を取ったことが特定のネットワークで拡散され、その企業が属する業界全体での評価が下がる可能性もあるため注意が必要です。
②社会に出た後で関わる可能性がある
内定を辞退した企業との関係は、社会に出てからも続くことがあります。特に、同じ業界で働くことになった場合、取引先の企業として関わるかもしれません。
その際、内定を辞退した時にネガティブな印象が残っていると、ビジネスの進行に支障をきたす可能性があります。禍根を残さないようにも誠意ある対応が必要です。
取引先として将来的に関わる可能性があるので、辞退する企業だけでなく、就活で関わった全ての企業に対し、誠意を示すようにしましょう。
③訴訟を起こされる可能性がある
内定を承諾した後に辞退すると、企業から訴訟を起こされる可能性があります。これは、企業が採用活動にかけた時間やコスト、また新入社員の確保に失敗したことによる損害を補填するためです。
ただし、実際に訴訟が起こる可能性は低いと言われています。しかし、内定を辞退したことで企業が大きな損害を受けた場合や、企業がその行為を重大な違反とみなした場合には、訴訟を起こされるリスクがあることを覚えておいてください。
そのため、内定を辞退する際には、その可能性を十分に理解した上で、慎重に行動することが求められます。
内定承諾後に辞退するときの2つの基本

内定を辞退する場合は、企業側の立場や感情を考慮し、適切な対応をする必要があります。ここでは、内定承諾後に辞退する際に最低限押さえておくべきポイントを2つ紹介します。
- 可能な限り早く連絡する
- 辞退する旨と理由を明確に伝える
①可能な限り早く連絡する
内定承諾後に辞退を決断した場合、まず最初に行うべきことは、できるだけ早くその旨を企業側に伝えることです。
企業は内定者の入社を前提に、新たな設備投資や研修の手配など、さまざまな準備を行っています。そのため、辞退の意思が遅れると、これらの準備にかかったコストが無駄になる可能性があります。
また、他の候補者に対しては不採用の通知を出してしまっている場合もあり、選考をやり直す必要が出てくるでしょう。
したがって、辞退の意思が固まったら、すみやかにその旨を企業側に伝えることが大切です。これにより、企業や他の候補者にかける迷惑を最小限に抑えられます。
企業の負担だけでなく、自分の心の負担を軽減するためにも、辞退すると決心したらすぐに連絡すると良いですよ。
②辞退する旨と理由を明確に伝える
内定を辞退する際には、その旨だけでなく、辞退の理由も明確に伝えることが重要です。理由を伝えることで、企業側に対する誠意を示せます。
辞退の理由を伝える際には、具体的で誠実な表現を心掛けましょう。例えば、「他の企業からのオファーを受け、そちらのビジョンにより共感した」、「家庭の事情で転職を見送ることになった」など、具体的な事情を伝えてください。
ただし、理由を伝える際には、相手を傷つけるような表現は避けるべきです。例えば、「あなたの企業は僕のキャリアに合わない」といった、企業を否定するような表現は適切ではありません。
また、辞退の理由が他の企業のオファーである場合でも、「あなたの企業よりも他の企業の方が条件が良い」といった比較的な表現も避けるべきです。
内定を辞退する際には、相手の立場や感情を尊重し、誠実に対応することが求められます。
内定承諾後の辞退連絡の手段と例文

内定辞退の連絡する際は、まず電話をして、電話が繋がらない場合のみ、メールで伝えましょう。直接話すのが気まずい気持ちはわかりますが、いきなりメールで伝えるのは失礼に当たります。
電話・メール、それぞれの手段で連絡する際のポイントと例文を見ていきましょう。
- 電話
- メール
①電話
電話で内定辞退の連絡をする際のポイントは、営業時間内にかけて、採用担当者に直接伝えることです。
辞退の連絡は、相手にとっては残念なニュースです。そのため、真摯な態度で話すことが求められます。相手に対する敬意を示すために、丁寧な言葉遣いを心掛けて、感謝の意を忘れずに伝えましょう。
また、電話をかける前に、何を話すのか、どのように伝えるのかを事前に準備しておきましょう。具体的な辞退の理由も明確にしておくことが重要です。
例文
就活生:お世話になっております。私、◯◯大学◯◯学部の◯◯太郎と申します。お忙しいところ申し訳ありません。採用担当の◯◯さんはいらっしゃいますでしょうか。
担当者:お電話代わりました。◯◯です。
就活生:いつもお世話になっております。◯◯大学◯◯学部の◯◯太郎です。◯◯さま、ただいまお時間よろしいでしょうか?
担当者:大丈夫ですよ。
就活生:ありがとうございます。先日は内定のご連絡をいただき、ありがとうございました。内定をいただきながら誠に恐縮ではあるのですが、御社の内定を辞退させていただきたく連絡いたしました。
担当者:それは残念です。辞退の理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?
就活生:はい。他社から内定をいただき、自分の将来を考えた結果、その企業で就職することに決めました。
担当者:そうでしたか。残念ですが、承知いたしました。
就活生:本来ならば直接御社に伺うべきところ、電話での連絡となってしまい申し訳ございません。
担当者:いえいえ、大丈夫ですよ。頑張ってくださいね。
就活生:ありがとうございます。貴重なお時間をいただきながら、このような形となってしまい申し訳ございません。それでは、失礼いたします。
電話での内定辞退の連絡は緊張すると思いますが、深呼吸をして落ち着いて話しましょう。感謝と謝罪をしっかり伝えることを意識してくださいね。
②メール
電話で内定辞退の連絡をする際のポイントは、件名で内定辞退についてだと分かるようにすることと、電話で一度連絡した旨を明記する点です。
例文
件名:内定辞退のご連絡(〇〇大学〇〇太郎)
株式会社〇〇
採用担当〇〇様
お世話になっております。〇〇大学〇〇学部の〇〇太郎と申します。
先程お電話をさせていただいたのですが、ご多忙のようでしたのでメールにて失礼いたします。
先日は内定のご連絡をいただき、心から感謝申し上げます。しかしながら、他社から内定をいただき、自分の将来を考えた結果、大変申し訳ないのですが、貴社への内定を辞退させていただくことに決めました。
貴重な機会をいただきながら、このような結論に至りましたこと、深くお詫び申し上げます。貴社の一層の発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
〇〇太郎
携帯番号:000-0000-0000
メール:xxx@xxx.com
メールを出す前に敬語に違和感はないか確認しましょう。また、電話より感情が伝わりにくいので、感謝や謝罪の文はより丁寧に伝えるようにしてください!
内定承諾後に辞退する時の状況別の4つの対処法

内定承諾後に辞退すると、問い詰められたり、引き止められることがしばしばあります。ここでは、具体的なケース別の対処法を紹介します。
①問い詰められた時は誠意のある対応をする
内定を辞退する旨を伝えた際、企業から詳しい理由を問い詰められることがあります。
その際は、自分の意志をしっかりと持ち、感情的にならずに、誠意をもって対応しましょう。具体的な理由を伝えれば、ほとんどの企業は理解を示してくれます。
ただし、他社への内定が理由である場合は、具体的な企業名を出すのは避け、自身のキャリア観や将来像について語ると良いでしょう。
他社への内定を引き合いに出さないことで、最後まで穏やかにやり取りを進められます。真摯に回答するのが重要なポイントです。
②引き止められた時は辞退の旨を再度伝える
内定を辞退すると伝えたにも関わらず、企業から引き止められることがあります。その時は、自分の意志をしっかりと伝え、辞退の決意が固いことを示しましょう。
ただし、その際も感謝の意を忘れず、企業が自分を高く評価してくれたことに対する感謝の気持ちを伝えることが大切です。
③会社から呼び出された際には断っても大丈夫
内定を辞退した後、企業から直接話を聞きたいという理由で会社に呼び出されることがあります。しかし、辞退の意志が固い場合は、その旨を伝え、会社に出向く必要はありません。
その際も、企業が自分を評価してくれたことに対する感謝の意を伝え、丁寧に断ることが大切です。
④損害賠償を請求された時は冷静な対応をする
結論から言えば、内定承諾後の辞退は法律で認められた権利であり、通常の場合は損害賠償を支払う必要はありません。企業から請求されても、必ずしも応じる義務はないのです。
ただし、企業から損害賠償について言及された場合は、冷静に対応することが重要です。感情的な言動は避け、今後のやり取りはメールや書面で行い、証拠を残すことをお勧めします。
必要に応じて弁護士などの専門家に相談するのも賢明でしょう。
なお、極めて悪質なケース(内定承諾時から辞退を意図していた、企業の機密情報を得る目的で内定承諾した等)を除き、裁判所も学生側の内定辞退の権利を認める判断をしています。
そのため、損害賠償を請求すると言われても、慌てて示談金等を支払う必要はありません。誠実な対応を心がけつつ、必要以上に責任を感じる必要はないでしょう。
内定承諾後の辞退は誠意をもって対応しよう

内定辞退は慎重に考えるべきですが、法的には可能です。ただし、リスクも存在し、関連企業や将来の取引先にも影響を及ぼす可能性があります。
したがって、誠意を持った早めの連絡が重要です。電話やメールを通じて丁寧に伝えることで、リスクを最小限に抑えられますよ。
正しい手続きとマナーを守って内定辞退し、将来のキャリアに影響を及ぼさないようにしましょう。就活の成功を心からお祈りしています。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。