カバーレターとは、英文履歴書や職務経歴書とともに応募先企業へ送付する書類のひとつです。特に外資系企業や海外の企業では、履歴書などの情報を補う重要書類として、志望動機や自己PRを記載します。
カバーレターの書き方と書くべき内容を理解し、採用担当者に響くカバーレターで就活を有利に進めましょう。
カバーレターとは

カバーレター(cover letter)という言葉をご存じでしょうか。カバーレターは日本語で「送付状」「添え状」と訳される書類のひとつです。
就職・転職に必要な書類の筆頭は履歴書。海外企業や外資系企業の求人に応募する際は、英文履歴書を送りますが、これと一緒に送るものがカバーレターなのです。
しかし、英文履歴書と一緒に送るカバーレターは、日本で通常送られる送付状とは役割が異なります。英文履歴書とともに送るカバーレターには、履歴書に書かれていない内容を伝える重要な役割があります。
採用担当者が「この人なら採用したい」と思える志望動機、熱意、自己PRなどを記載するものが一般的です。
カバーレターに書く主な8つの内容

カバーレターには一般的な形式がありますので、その形式に従って作成しなければなりません。全体の構成をまとめると、次のようになります。
- 自分の氏名と連絡先
- 英文履歴書を送付する日付
- 英文履歴書を送付する宛名・宛先
- 担当者名
- 本文(3段落構成)
- 結びの言葉
- 署名(自筆・タイピング)
- 同封物の案内
それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。
①自分の氏名と連絡先
まずは自分の氏名と連絡先を書きます。
日本の手紙では自分の名前を先に書く習慣がないため、少し奇妙に感じるかもしれませんね。しかし、正式な英語の手紙では、まず送る側の名前と住所を書くことになっています。
書く順番は、以下のとおりです。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
住所については、英語圏での書き方にならい、建物名・部屋番号から番地、区市町村、都道府県、国、郵便番号の順番に記載しましょう。加えて、今は電話番号とメールアドレスの記載も必須です。
電話番号は、国番号+頭の0をとった電話番号で書きます。日本の国番号は「+81」ですので、携帯電話番号が「080-1234-5678」なら「(+81) 80-1234-5678」となります。
②英文履歴書を送付する日付
次に書くのは、英文履歴書を送付する日付です。カバーレターを作成した日付ではなく、実際に送付する日付を書きましょう。例えば、2024年3月12日に送るなら、3月1日に作成していても「March 12, 2024」と書きます。
日付の順番は「月 日, 年」の形式が比較的多く見られますが、「日 月 年」の順に書かれたカバーレターのサンプルを見ることもあるでしょう。「月 日, 年」はアメリカ式、「日 月 年」はイギリス式。応募する企業の所在地などに合わせて選んでください。
月は、基本的に略さず「January」「March」「July」などと書きましょう。
③履歴書を送付する宛名・宛先
履歴書の送り先の情報は、日付の前または後に書きます。今回は日付のあとに送り先となる宛名・宛先を書く形式で作成してみましょう。
宛名・宛先は、自分の氏名・住所と同じ要領で、以下の順番で書き進めてください。
- 採用担当者名
- 企業名
- 企業の所在地
- 電話番号
- メールアドレス
これらの情報は、求人情報が掲載されているページでしっかり確認することを忘れてはいけません。
スペルミスが不安な場合は、テキストエディタなどに一度コピー&ペースト(以下、コピペ)し、それをカバーレターにコピペしましょう。これにより、コピペ元のフォントやフォントサイズを消し、テキスト情報だけを貼り付けられます。
④担当者名
ここまで書いたら、いよいよカバーレターの本体部分を書き始めます。最初は、日本の手紙でも書く「○○様」に相当する「Dear 担当者名,」です。
担当者名には「Mr.」「Ms.」をつけて名字だけを記載するパターンが多く見られます。担当者名のあとには、「,」をつけましょう。
なお、名前だけでは性別が分からない場合は、「Dear 担当者のフルネーム,」で書きます。さらに担当者の名前もわからない場合は「Dear Hiring Manager」とするとよいでしょう。
⑤本文

カバーレターの本文は、基本的に3段落程度の構成で作成します。各段落の主な内容は次のとおりです。
- 1段落目:挨拶・応募職種・志望動機
- 2段落目:応募職種に合致する自分の経験と自己アピール(どのように貢献できるか等)
- 3段落目:カバーレターを読んでもらったお礼・面接の依頼
1段落目は、「~のためにこのレターを書いています」「○○の経験をもつ者として、~に興味を持っています」などの内容で書き始めます。新卒採用でも中途採用でも使える書き出しは、以下の例文です。
- I am writing to apply for the position of 希望職種
- I am writing to express my interest in the position of 希望職種
- I am delighted to apply for the position of 希望職種
2段落目は、自分の経験や実績、会社に貢献してきたことなどを書きましょう。「私は○○大学で△△の学士号を取得しており…」や「○○の期間、私は~を担当し…」といった内容で、自分をアピールします。
採用担当者に「この人ならうちの会社に貢献してくれそうだ」と感じてもらうことが何より重要です。自分が書きたいことを好きに書くのではなく、応募先企業の事業や応募職種とのつながりを意識してください。
経験や実績を書く際に使える表現パターンには、以下のようなものがあります。
- I have a bachelor’s degree in 専攻分野・学科 from 大学名.
- I have good experience with/in 経験.
- As a 役割・役職等, 実績・達成した内容.
- As you can see from my enclosed resume, 経験内容・実績.
そして、最終段落ではカバーレターを読んで貰ったお礼と面接してほしいという希望を伝えましょう。これは、以下の定型文を使えます。
- Thank you for your time and consideration. I would welcome the opportunity to speak with you further regarding how I can contribute to 貢献したい分野・事業.
3段落目の1つ前に「いつでもご連絡ください」と伝えるなら、次のような形で書くとよいでしょう。
- I can be reached anytime via email at メールアドレス or by phone at 電話番号.
⑥結びの言葉
本文を書き終わったら、日本語の手紙でいうところの「敬具」にあたる結びの言葉をつけます。カバーレターの場合は「Sincerely,」が一般的です。
英文の手紙で使われる結びの言葉には、他にもいくつかのパターンがあります。しかし、カバーレターでは「Sincerely,」が大部分。特にこだわりがなければ、これに従うとよいでしょう。
⑦署名(自筆・タイピング)
結びの言葉のあとには、あらためて自分の名前を書いてください。
手書きで署名をつける場合、タッチペンで書くパターンと、あらかじめ紙などにペンで書いておいた署名をスキャンし、画像として貼り付けるパターンがあります。あわせてタイピングでも名前を記しておくと親切です。
また、どちらの場合でも、署名はフルネームで書きましょう。
⑧同封物の案内
最後に、同封物の一覧を記載します。代表的な同封物は英文履歴書。応募先から提出を求められている他の書類がある場合は、それも作成・同封してリストに加えなければなりません。
同封物の案内は、以下の形式で記載します。
Enclosure
・Resume
カバーレターを書く上での7つのチェックポイント

カバーレターを書く上で注意したいポイントがいくつかあります。いずれもカバーレターを読んでくれる担当者に負担をかけず、自分が伝えたいことを効果的に伝えるために欠かせません。
次の7つのチェックポイントを意識しながら、カバーレターの作成・推敲を進めましょう。
- A4用紙1枚以内に収められているか
- スペル・文法にミスがないか
- 文頭は大文字から始まっているか
- 文章を短く簡潔に書いているか
- 一人称の「I」を使いすぎてないか
- フォント・フォントサイズが統一されているか
- フォントに黒色のみが使われているか
①A4用紙1枚以内に収められているか
1つめのチェックポイントは、既に述べたように全体が紙1枚に収められているかどうかです。日本やヨーロッパならA4用紙1枚、アメリカやカナダならレターサイズ1枚となります。
自分の経歴や長所をたくさんアピールしたくなってしまうかもしれません。しかし、他にも応募者はたくさんいます。採用担当者にとって、長大な志望動機や自己アピールを読んでいる時間はありません。
3段落程度で書く本文を簡潔にかつ効果的にまとめ、ビジネスにふさわしい文体と量で自己アピールできることを示しましょう。
②スペル・文法にミスがないか
カバーレターの推敲では、受け取る採用担当者が安心して読めるよう、スペルミスや文法のミスがないか十分にチェックしてください。
可能であれば英語ネイティブであるビジネスパーソンか英語講師に添削してもらいましょう。
それが難しくても、GrammarlyやChatGPT、DeepLなどのAIを使った英文校正は必須です。同時に、セキュリティに懸念のあるサービスでは、個人情報を入れないよう気をつけましょう。
カバーレターもビジネス文書のひとつです。多くの場合、ビジネス文書は相手との打ち合わせや約束、情報共有に用いられます。その文書の質が、作成した人物の能力や信頼性に少なからぬ影響を与えることを意識してください。
③文頭は大文字から始まっているか
英文を作成する際、意外と多い間違いが「文頭を小文字のまま書いている」ことです。
SNSやテキストメッセージなどでは、全て小文字のままで書くことがあります。しかし、これはカジュアルな書き方であり、ビジネス文書であるカバーレターにふさわしい表記ではありません。
「きちんとビジネス文書としてのフォーマルな文章を書けます」というライティング能力を示すためにも、基本的な作法である「文頭は大文字で書く」ことを守りましょう。
④文章を短く簡潔に書いているか
ビジネス英語において、1文が長すぎる文章は好まれません。長ければ長いほど、主語・動詞の関係や修飾関係が分かりにくくなるからです。文章が短く簡潔に書かれているか、あらためてチェックしましょう。
一般に、英語での1文は15〜20語が目安、1段落は100〜200語が目安と言われます。そして、カバーレターの語数は250〜400語。カバーレターは「紙1枚分」ですから、1段落あたりの語数が100語未満になることもあります。
とにかく、読み手に負担をかけない「分かりやすい文章」を常に意識して作成することが大切です。
⑤一人称の「I」を使いすぎてないか
英文作成に慣れていないと、つい文章を一人称の「I」で始めてしまいがちですよね。しかし、「I had …」「I built …」「I experienced …」「I learned …」などと「I」が続けば、全体が単調で子どもっぽい印象を与えかねません。
「I」の多用を防ぐには、次のような前置詞句や無生物主語も活用するとよいでしょう。
- During that internship, …
- As a highly skilled project manager, …
- These projects helped me to refine my skills.
⑥フォント・フォントサイズが統一されているか
固有名詞などの絶対に間違えてはいけない単語をコピペ入力する際、フォントやフォントサイズ、スタイルまでコピペしてしまうことがあります。
また、カバーレターを何度も書き直す中で、フォントやフォントサイズがバラバラになってしまうこともあるでしょう。
こうしたフォントやフォントサイズの不統一を避けるには、一度書き上げ後に全文を選択し、フォントやフォントサイズを一括でそろえてしまうと効率的です。その後、別のフォントやフォントサイズを使用する部分を個別に指定しましょう。
⑦フォントに黒色のみ使われているか
全文を選択してフォントやフォントサイズをそろえる際、テキストの文字色も「黒」に統一しましょう。
強調したいアピールポイントを太字にしたり赤いテキストにしたり、マーカーを引いたりしたくなるかもしれません。しかし、カバーレターは原則として黒一色で作成するものです。
ビジネス文書であるカバーレターの形式を守り、「ルールに従って文書作成ができる」ことを示しましょう。
カバーレターを提出する2つの方法

最後に、作成したカバーレターを提出する方法を2つご紹介します。
このうち1つは、現在ではあまり用いない方法かもしれません。とはいえ、昔ながらの方法を採用している企業やDXが進んでいない地域にある企業へ応募する際に、必要になる可能性があります。
逆に、DXが進んで従来にない方法で提出を求められることもあるでしょう。
そこで、以下の基本的な2つの方法を確認しつつ、近年普及してきた提出方法もあわせてご紹介します。
- 郵送する
- メールに添付する
①郵送する
1つめの方法は、以前から使われている「郵送」。すなわち、作成したカバーレターを印刷し、履歴書と一緒に封筒に入れて投函する方法です。
主な手順は次のとおりです。
- 履歴書などの応募書類とカバーレターを同じ向きにそろえる
- カバーレターが一番上にくるように書類の順番を整える
- 応募書類とカバーレターを新品のクリアファイルに入れる
- 角型2号の封筒(なるべく丈夫で白いもの)を用意する
- クリアファイルごと封筒に入れる
- (日本にある企業の場合)封筒の表に「応募書類在中」と赤字で書き、送り先と自分の住所・氏名を書いて発送する
- (海外にある企業の場合)エアメールを送る方法に従って、送り先と自分の住所・氏名を書いて発送する
ただし、先ほど述べたように履歴書やカバーレターの送付はデジタル化が進み、紙ではなくデジタル文書で送るよう指示されることが増えてきました。
応募要項などで提出方法をしっかりチェックし、郵送する必要があるかどうかを見極めてから準備しましょう。
②メールに添付する
2つめは、メールで送る方法です。就活用に取得したメールアドレスなど、応募先に知られても構わないアドレスを使います。
応募先企業から指定がなければ、カバーレターをPDFに変換した上で応募メールに添付して送付しましょう。
なお、一部の企業ではメールすら送る必要がなく、提出書類を指定サイトや指定フォームからアップロードするケースも。この場合も、特に指定がない限り、カバーレターはPDF化してください。
さらにDXが進んでいる企業では、ファイルのアップロードを受け付けず、フォーム上の指定項目に入力させるだけというケースもあるでしょう。
フォーム入力の場合、カバーレターそのものを提出することができません。そこで、自己PRの入力欄に、カバーレターで書いた経験やスキルを簡潔にまとめ、記入またはコピペすることになります。
カバーレターの書き方を理解して就活に挑もう

外資系企業や海外の企業の求人に応募する場合、カバーレターは英文履歴書と同様に重要な書類です。
たった紙1枚の文書でも、カバーレターとしての体裁が整っているか、志望動機や自己PRを効果的に述べられているかなど、採用担当者は多くのことを見抜くでしょう。
今はDXが進み、カバーレターの送り方はメールへの添付や指定サイトへのアップロードが求められるケースが増えました。フォーム入力のみの場合、自己PRの入力欄に入るよう再調整しなければなりません。
基本的なカバーレターの書き方を理解するとともに、社会の変化に合わせた送り方を押さえ、就活を有利に進めましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。