就活生のみなさんの中には、「シンクタンク業界に就職したい」と考えている人も多くいると思います。しかし具体的に、どのような人がシンクタンク業界に向いているのでしょうか。
本記事ではシンクタンク業界に向いている人の特徴を紹介します。またシンクタンクの大手企業についても詳しく解説しているので、ぜひ今後の就職先選びの参考にしてくださいね。
シンクタンクは知識を元に調査・研究を行う業界
シンクタンクとは政府や民間企業に対して、社会情勢や国際問題などについて調査や分析を行う研究機関です。事業の課題を解決に導くことや将来のリスクを予測することにつながります。
政府系と民間系に分けられる
シンクタンクには、政府系と民間系があり、主な違いは関係性と目的にあります。政府系シンクタンクは政府機関に所属し、政策策定や意思決定を支援するのが業務内容です。
一方、民間系シンクタンクは独立した組織で、研究と政策提案を行い、公共政策に関与します。政府系は政府の方針を反映し、公共利益を重視しますが、民間系は独自の研究や市場の視点から意見を提供します。
また、政府系は政府予算に基づいて運営されるのに対し、民間系は独自の資金源やクライアントからの支援に依存することが多いです。
シンクタンクの主な仕事内容
シンクタンクの主な仕事内容は、調査、経営戦略領域、業務システム領域の3つがあります。
まず調査では、政府や企業のために研究や調査を行います。社会課題や経済動向、政策効果などの分析を通じて、客観的な情報やデータを提供するのがメインです。
次に経営戦略領域:では、企業の経営戦略に関する助言や提案を行います。市場調査や競争分析を通じて、企業の競争力向上や事業拡大のための戦略策定を支援します。
さらに、業務システム領域では、組織や業務プロセスの改善にも取り組むことも仕事です。効率化や生産性向上のための業務フローの見直しや情報システムの導入など、組織の業務システムの最適化を支援します。
これらの活動を通じて、シンクタンクは政府や企業の意思決定に影響を与え、より持続可能な社会や経済の発展に貢献しているのです。
シンクタンクとコンサルの違い
シンクタンクとコンサルティングファームの違いは、提案する内容によって異なります。
シンクタンクは専門的な調査と政策提案に焦点を当て、コンサルティングファームは経営戦略や業務改善に特化したアドバイスを提供します。シンクタンクは公共政策や社会問題の解決を目指し、コンサルティングファームはクライアントの競争力向上や組織改革を支援をする仕事です。
ただし、両者の境界はあいまいであり、一部のシンクタンクもコンサルティングサービスを提供する場合もあります。
シンクタンク業界の就職に向いている人の4つの特徴

シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴には以下の4つがあります。
- 専門的知識がある
- 論理的思考力がある
- コミュニケーション能力が高い
- 知的向上心がある
それぞれ詳しく解説するので確認していきましょう。
①専門的知識がある
シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴のひとつは専門的知識があることです。
シンクタンクは高度な調査や政策提案を行うため、特定の分野やテーマについて深い知識を持つことが重要です。
専門知識は信頼性のある調査や的確な分析の基盤となり、現在の政策問題についての洞察力につなげることが求められます。
さらに、領域ごとの最新の動向やトレンドに対する関心や情報収集能力も重要です。専門的知識を活かして問題解決に取り組み、政策に対する具体的な提案を行うことがシンクタンク業界での成功につながります。
②論理的思考力がある
2つ目の特徴は、シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴は論理的思考力があることです。
シンクタンクでは政策分析や研究が中心であり、複雑な問題を論理的に分析し解決策を導き出す必要があります。
論理的思考力は問題解決や意見形成において重要になり、事実と推論を組み合わせ、論拠や根拠に基づいた主張を構築する時の助けになります。
また、データの解釈や統計分析においても論理的思考が求められ、問題を分析し、論理的なフレームワークを構築する能力は、シンクタンクでの業務において重要なスキルとなるでしょう。
③コミュニケーション能力が高い
3つ目の特徴は、シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴には、コミュニケーション能力が高いことです。
シンクタンクでは、他の専門家や政府機関、クライアントとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。
高いコミュニケーション能力は、自分の意見や研究結果を明確に伝えるだけでなく、他者の意見を理解し受け入れる柔軟性も含みます。
また、効果的なプレゼンテーションや報告書の作成能力も重要です。コミュニケーション能力の高さは、チームでの協働やクライアントとの信頼関係構築にも関わっています。適切なコミュニケーションによってアイデアの共有や議論を促進し、成果の向上や課題解決につなげていきます。
④知的向上心がある
4つ目の特徴は、シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴には知的向上心があることです。
シンクタンクは知識と洞察に基づいた研究や政策提案を行うため、絶えず学び続ける姿勢が求められます。知的向上心がある人は、自己成長を追求し、新たな知識やスキルを積極的に取得します。
また、自らの見識を広めるために学術的な論文や専門書を積極的に読み、専門知識を深める人が多いでしょう。知的向上心がある人は、変化する社会環境や政策課題に対応し、高品質な研究と意見形成を実現するために必要な能力を備えています。
シンクタンク業界に就職する2つの魅力

シンクタンク業界に就職する魅力は大きく以下の2つがあります。
- やりがいがある
- 自分の専門性・知恵を活かせる
それぞれ詳しく解説します。
①やりがいがある
シンクタンク業界に就職する魅力は、やりがいがあることです。
シンクタンクでは、社会的な課題や政策の解決に貢献するための研究や提案に携わります。自分の仕事が社会や組織に良い影響を与える可能性があり、その成果が具体的に実現されることに喜びを感じられるでしょう。
また、自身の専門知識やスキルを活かしながら、現実の問題に取り組むことで、成果や成長を実感できます。さまざまなプロジェクトに携わることで、専門性やスキルを磨きながら、自身の能力の向上や成果を実感できるのがシンクタンク業界のやりがいのひとつです。
加えて、専門家や他の職種の人々との協力や意見交換を通じて、より広い視野も得られますよ。
②自分の専門性・知恵を活かせる
シンクタンク業界に就職する魅力のもうひとつは、自分の専門性・知恵を活かせることです。
シンクタンクでは、専門的な知識やスキルを活用して社会的な課題や政策の分析・研究に取り組みます。
自分が得意とする分野や興味を持つテーマに関連したプロジェクトに参加し、その分野での専門性を活かして貢献できるので、自身の経験や知識を生かした業務ができるでしょう。
また、他の専門家や研究者との交流や意見交換を通じて、新たな知見や洞察を得る機会もあります。自分の専門性や知識をさらに深められる魅力もありますね。
シンクタンク業界の大手企業4選

シンクタンク業界には大手企業も多く存在しています。そのなかでも代表的な企業に絞って4つ紹介します。
- 【政府】日本銀行金融研究所
- 【政府】経済社会総合研究所
- 【民間】野村総合研究所
- 【民間】三菱総合研究所
それぞれの企業の活動例も紹介するため、ぜひ就職活動の参考にしてください。
①【政府】日本銀行金融研究所
日本銀行金融研究所は、日本銀行の研究機関として、金融・経済に関する高度な調査・研究を行っています。
活動例としては、金融政策の分析や予測、金融システムの安定性評価、経済の動向分析などがあり、具体的には金融市場のトレンドや金融政策の影響を分析し、政策提言や報告書を作成します。
また、金融機関のバランスシートやリスク管理に関する研究も行い、金融システムの健全性を評価します。
さらに、経済指標やデータの収集・分析を通じて、経済の動向や将来予測を行い、経済政策の基盤となる情報も提供しています。これらの活動により、日本の金融・経済政策の透明性と効果性の向上に貢献している企業です。
②【政府】経済社会総合研究所
経済社会総合研究所は、シンクタンク業界の大手企業のひとつであり、幅広い研究分野で活動しています。
例えば、経済政策の評価や提言、社会課題の研究、産業分析、地域振興策の提案などが主な活動例です。経済の動向や市場動態を分析し、経済政策の効果を評価するための調査・分析を行います。
また、社会的な課題や政策問題に関しても研究し、解決策や施策の提案を行います。産業の競争力や成長戦略の研究、地域の振興策や地方創生の提案なども行います。
これらの活動を通じて、政府や企業、地方自治体などの政策立案や意思決定のサポートをし、経済と社会の持続的な発展に貢献している企業です。
③【民間】野村総合研究所
野村総合研究所は、シンクタンク業界の大手企業であり、幅広い研究分野で活動しています。
例えば、経済・金融の分析や予測、市場調査やトレンド分析、産業研究、グローバル戦略の策定などが主な活動例です。経済や金融の動向を追跡し、企業や投資家に対して経済予測や市場動向の情報を提供します。
さらに、産業における競争力や成長戦略、新興技術の影響などを分析し、企業の意思決定やビジネス戦略の策定に寄与します。グローバルな視点からの調査や市場調査も行い、国内外のビジネス環境やトレンドに関する情報の提供が可能です。
これらの活動を通じて、企業や投資家、政府などに対して的確な情報や戦略的なアドバイスを提供し、持続的な成長と競争力の向上を支援しています。
④【民間】三菱総合研究所
三菱総合研究所は、シンクタンク業界の大手企業であり、多岐にわたる研究活動を行う企業です。
具体的な活動例としては、経済予測や市場動向の分析、産業政策の研究、テクノロジーの動向調査、環境・エネルギー政策の提言などがあります。経済や金融の予測と分析を通じて、企業や政府に経済的な展望を提供し、意思決定をサポートします。産業やビジネス領域においては、競争力の分析や戦略の策定を行い、企業の成長と発展に貢献しているのです。
また、テクノロジーのトレンドやイノベーションの動向を調査し、新たなビジネスチャンスや市場の変革に関する情報を提供します。
環境やエネルギー政策においても、持続可能な社会の実現に向けた提案や研究を行っています。これらの活動を通じて、企業や政府の意思決定を支援し、社会の発展に貢献しています。
シンクタンク業界に就職する3つのコツ

シンクタンク業界に就職するコツは大きく以下の3つです。
- 論文試験の対策をする
- 中小系シンクタンクも狙う
- TOEICや資格試験を受ける
①論文試験の対策をする
シンクタンク業界に就職する際のコツは、論文試験の対策をすることです。
多くのシンクタンクでは、入社試験の一環として論文を提出する場合があります。論文試験では、特定のテーマに関して自分の意見や分析を論理的かつ体系的にまとめる必要があります。
対策としては、まずテーマに関する幅広い知識を身につけることが重要です。関連する文献や報告書を読み、専門性を高めましょう。
また、論理的思考力や論述力を磨くために、論文の構成や論理展開の方法を学び、実際に練習を重ねることも効果的です。また、自分の意見や主張を明確にし、それを根拠や具体例で支える能力も重要です。練習やフィードバックを通じて論文執筆のスキルを向上させることで、論文試験に自信を持てるでしょう。
②中小系シンクタンクも狙う
シンクタンク業界に就職する際のコツは、中小系シンクタンクも狙うこともひとつの手です。
多くの人が大手シンクタンクに焦点を当てがちですが、中小系シンクタンクにも魅力があります。中小系シンクタンクは、よりアットホームな雰囲気で働けるうえ、個人の貢献度や成長の機会も大きいです。
また、プロジェクトへの関与度も高く、幅広い業務経験を積むことができます。就職競争も激しくない傾向があるため、選考でのチャンスも広がるでしょう。中小系シンクタンクを狙う際には、そのシンクタンクの特徴や強みを理解し、自分のスキルや志向とマッチするかを考慮してくださいね。
さらに、研究内容やプロジェクト実績を調べ、そのシンクタンクが取り組んでいるテーマに興味を持つことも重要です。自身の適性やキャリア目標に合致する中小系シンクタンクを探し、アクティブにアプローチすることがポイントですよ。
③TOEICや資格試験を受ける
シンクタンク業界に就職する際にはTOEICや資格試験を受けることもおすすめです。
シンクタンクはグローバルな視点での活動が求められることがあります。TOEICなどの英語力試験で高得点を取得することは、国際的な情報を効果的に取り入れるために重要です。
また、関連する資格試験(例:経済学や国際関係の資格)を取得することも役立ちます。これらの試験は、専門知識や理論的な背景を証明できます。シンクタンクでは、研究や政策提言に関する高度な専門性が求められるため、資格試験の取得はその信頼性を高める助けになるでしょう。
加えて、試験の準備や受験によって、自己管理や目標達成能力が向上し、将来のキャリアにもプラスになります。ただし、試験対策に時間をかけすぎず、幅広い知識や経験の獲得も大切にしましょう。
シンクタンク業界に就職についてのよくある質問3つ

シンクタンク業界に就職する際によくある質問として以下の3つを紹介します。
- 偏差値は高い方がいい?
- シンクタンクに就職する人は院卒が多い?
- シンクタンクの難しいポイントは?
他の方の質問を参考にして自身の就職活動に役立てみてはいかがでしょうか。
①偏差値は高い方がいい?
はい、偏差値は高い方がいいです。シンクタンク業界は高い専門性と知識が求められるため、偏差値の高い大学への進学は一定の基礎力を示す要素となります。
偏差値の高い大学では、厳しい学習環境や質の高い教育が提供されることが多く、幅広い知識や思考力の磨き方を身につける機会も増えます。
ただし、偏差値だけでなく、その大学で学んだ専門知識や研究経験、成績なども重要です。偏差値の高い大学への進学が就職に有利となる場合が多いため、総合的な観点で自身の学力や志望企業の要件に合わせて判断することが重要です。
②シンクタンクに就職する人は院卒が多い?
はい、シンクタンクに就職する人は院卒が多いです。
シンクタンクは高度な専門知識と研究能力が求められるため、大学院での学術的な研究や専門的な知識の習得が有利とされています。院卒の方は研究や論文の執筆経験があり、分析力や論理的思考力を持っていることが期待されます。
また、大学院では研究者や専門家とのネットワークを築く機会も多くあります。
ただし、全てのシンクタンクが院卒を求めるわけではありません。一部のシンクタンクでは学歴よりも実務経験や専門性が重視される場合もあります。自身の能力や経歴に自信を持ち、求人情報や採用要件を確認しながら就職活動を進めることが重要です。
③シンクタンクの難しいポイントは?
シンクタンク業界における難しいポイントは、ES(エントリーシート)の文字数が多いことや論文試験があることです。
ESでは自己PRや志望動機を詳細に述べる必要があり、文字数制限に対して綿密な情報を盛り込むことが求められます。
また、論文試験では専門的な知識や研究能力を問われ、一定の水準をクリアする必要があります。これらのポイントは時間と労力を要し、緻密な準備と研究が必要となります。応募者は自己分析や専門的知識の整理、文章力の向上などに努めることが重要です。
ただし、これらのポイントは全てのシンクタンクで共通ではなく、各企業や職種によって要件が異なる場合もあるため、求人情報や過去の応募者の経験を参考にすることが重要です。
シンクタンクに就職して知識を活かして働こう
今回は、シンクタンク業界の就職に向いている人の特徴を解説しました。
向いている人の特徴は「専門的知識がある」「論理的思考力がある」「コミュニケーション能力が高い」「知的向上心がある」という点です。
シンクタンク業界は、ES(エントリーシート)の文字数が多いことや論文試験があるため就職が難しい業界です。
自分のやりたい仕事や将来のビジョンを明確にして、就職活動に望みましょう!
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。