就職を想定してもしていなくても、大学時代に学んだことや経験は、その後人生の大きな力になります。
仲の良い友達との何気ない思い出や、サークルを通じてできた人間関係やコネクションは、時にとても得難いものになります。
人脈だけではなく、経験を通して自分自身の価値観にも大きく影響を与えてくれることがあります。
今回は、東京大学の学生を中心にした学生団体「180 Degrees Consulting Japan」の代表、佐藤紗世子さんにインタビューしてきました!
佐藤さんが所属する団体の活動や、参加のきっかけについて教えていただきました!
佐藤紗世子さん
明治大学政治経済学部4年生。
学生団体180 Degrees Consulting Japanの代表を務める。
【180 Degrees Consulting Japan】
NPO法人を中心とした非営利団体へのコンサルティング活動をおこなう、世界中に支部を持つ学生団体。
180 Degrees Consulting Japanとは?
学生団体の活動内容は?
佐藤さんが代表を務める学生団体は世界的な団体ということですが、詳しく教えていただけますか?
はい。世界中に支部を持つ世界的な学生団体「180 Degrees Consulting」の日本支部が「180 Degrees Consulting Japan」として活動しています。
2012年に東京大学のサークルとして発足し、8年目になります。現在は、東京大学の学生だけでなく、インカレとして多くの大学の学生が参加しています。
※以下、180 Degrees Consulting Japanを180DCJと略称
コンサルティング活動とは、どのようなことをされているんですか?
多くはNPO法人へ向けたものです。
法人のみでの解決が困難に感じる課題や、学生目線での解決策を聞いていみたい、という経緯でご依頼をいただくことが多いです。ご依頼に合わせて課題分析をして、クライアント様にあったご提案をしています。
例えば、環境系のNPO法人様からのご依頼で、SNSを利用した広報活動の戦略について提案した事例があります。Twitterやinstagramの運用方針をご提案しました。
TwitterやInstagramに関連したプロジェクトが多いんですか?
実績としてはTwitter関連が最も多いですね。Facebookに関してのコンサルティングを実施したプロジェクトもあります。
広報活動のコンサルティングに関しては、SNSに限定しておらず、クライアント様のご要望と私たちにできることをすりあ合わせながら決めています。
実際に運用などもされるんですか?
運用まで任せていただけるクライアント様もあります!
実際に運用まで任せていただけるということは、180DCJが団体としてクライアント様との信頼関係の構築が出来ている証拠ですね!
ありがとうございます!
日本のNPO法人が抱える課題
広報活動以外にも、若年層の方々がNPO法人へ加入しやすいような体制を整えるためのコンサルティングもしています。
日本全体のNPO法人が抱える課題として、若い世代との繋がりを持つことの難しさが挙げられます。そういったご依頼の際には、クライアント様の課題がどこにあるかをしっかり見極めることを前提とし、学生目線でのご提案ができるように意識しています。
NPO法人の高齢化も深刻なんですね・・・
そうですね。
学生団体という文字どおり、学生が運営する団体ですので、その強みを活かして、若者にリーチできる媒体だけでなく、効果的な言葉づかいなどもご提案しています。
おぉ!細かな部分までフォローしているんですね!
素晴らしい!
ありがとうございます!
ただ学生を紹介して、マッチングするだけでは持続的な解決になりません。
どういったチャネルでアプローチすれば若者が集まるのか、どうしてそう考えるのか、までご提示することで、今後の活動にも役立っていくと考えています。
アプローチ方法まで提案されているんですね。
若年層の動向の調査ができていないとできないことですね!
そうですね。私たちなりにしっかりと調査をして、ご提案をしています。
今季は、大学生のインターンを受け入れるために、どのような体制が最適か立案してほしい。というようなご依頼もありました。
組織運営に直結するプロジェクトもお任せいただけるので、とてもやりがいを感じています。
一つひとつのプロジェクトは、どのくらいの期間をかけて取り組まれているんですか?
約3~4ヶ月かけて活動しています。
一つのプロジェクトが終了して、次のプロジェクトを継続してご依頼いただくクライアント様もいます。
一番長いクライアント様で、3年ご一緒させていただいてます!
長いお付き合いができるということは、それだけ実績を築けているということですね!
クライアント様の問題に向き合い、着実に課題を解決してきた結果が繋がっていると実感しています!
学生団体の活動は楽しい<充実感?
180 Degrees Consulting Japan参加のきっかけ
佐藤さんは大学1年生から180DCJで活動されているのですか?
いえ、私は大学3年生の秋に加入しました。
4年生になる前に1年間休学をしているので、現在は活動を始めて丸2年が経ったところです。
そうだったんですね!
加入のきっかけは何でしたか?
実は、前代表が私の高校時代の同級生なんです。
熊本出身なのですが、私たちが通っていた高校から関東に進学した学生が集まるLINEグループがあり、そこに彼女が180DCJについて投稿していて、面白そうだなと思って加入することにしました!
へ~!そんなLINEグループがあるんですね!
もともとは、熊本の大震災があった年に、同級生同士で東京で募金活動を展開したことがあって、その連絡ツールとして出来上がったグループなんですけど・・・
時々、こうした情報が共有される場になっています!
そうなんですね。
地元の繋がりが感じられて、素敵ですね!
そうですね!
いろんなところに人と繋がれるきっかけがあるなと思った実体験です!
留学と休学を通して見えた社会的問題との向き合い方
LINEの投稿から興味を持ったということですが、もともとNPO法人などへの関心があったのですか?
もともとは、国際協力に関心があったんです。
180DCJの活動で国内NPOの支援をすることで、将来へつながるのではないかなと。
国際協力に関心があったんですね!
はい。
大学3年生になる前の春休みに、フランスへ留学しました。
その理由も、宗主国や列強と呼ばれている国の歴史的背景を学んで国際協力への糧にしたいと思ったからなんです。
歴史的背景を学ぶことが、国際協力業界を目指すときに役立つと思ったんですね?
はい。発展途上国の多くが、歴史上、植民地支配されていた国です。
なので、植民地を支配していた国の志向性を知り、戦争が起こった背景や、植民地政策に至った背景を学ぶことで、今後の途上国への支援をするときに役に立つだろうと思ったんです。
なるほど。まずは文化的・歴史的背景を知ることにしたんですね!確かにとても大切ですね。
まず先に支配する側の国に目を向けたのはなぜですか?
高校3年生のときの世界史の授業がきっかけでした。
三枚舌外交の話や植民地問題、途上国が先進国に搾取されるような構図に疑問を感じたんです。
「意味わかんない!」と、怒りに近いものを覚えて・・・
先進国が引き起こした問題なので、まずは引き起こした国の背景を知ることが重要だと考えました。
先進国の住人である私自身も何かしないといけない問題だと感じました。
高校生で、授業から歴史だけじゃなくて、そこから未来に対する意識を汲み取っていたんですね!
当時、世界史の授業で怒りの感情が生まれた頃に、ちょうどISの事件が起こったんです。日本人のジャーナリストの方が殺されてしまい、先進国が残した途上国の歪みが日本人にも繋がっていると感じて衝撃で・・・
世界史の授業と事件が重なったからより関心が高まったんです。
途上国が搾取される構図って、広い範囲での知見ですよね。
強いものが弱者を搾取する構図は、日本の社会でも起こっていると思うんですが、日本国内で起こっている構図に対しての関心はありますか?
日本国内の社会問題でも、フェミニズムやLGBTといった分野に関心があります。
例えば、女性が構造的に虐げられていたり、夫婦別性や同性婚ができないといった問題です。
大学で社会学などを勉強するうちに、国内の社会問題にも関心を持ち始めました。
卒業後も、社会問題解決に取り組むため、地域活性をテーマにした企業に就職する予定です。
そうなんですね!
国際協力と日本国内の問題から、日本国内の問題を選んだというわけなんですか?
迷いはなかったんでしょうか?
そう見えるかもしれないんですけど、実は違います。
国際協力をキャリアの中心として選んだうえで、ファーストキャリアで「日本の地域活性」を選択しました。
都市と地方の格差は日本だけでなく途上国でも共通の課題だと思っていて、国際協力業界でキャリアを築いていくときに強みになると考えています。
ただ、国際協力をキャリアの中心にという決断自体には休学の1年間をまるまる使ったので、かなり悩んだと言えると思います(笑)
そうだったんですね(笑)
休学があったからこそ国際協力を選べたんですね!
そうですね。
ただ、ジェンダーをはじめとした日本国内の問題への関心がなくなったわけではありません。
休学の期間にさまざまの人と話す中で、どれか一つに決めて他を捨てるのではなく、さまざまな程度で多様な問題と関わっていこうと思うようになりました。
この決意が180DCJでの活動の推進力にもなっています。
団体活動の魅力とビジョン
休学中の経験が180DCJでの活動への力になっているとのことですが、逆に団体での活動を通して佐藤さん自身が成長できたことはありますか?
現状に沿って課題解決していく思考力が身に付いたと思います。
180DCJの活動は、クライアント様がいるという責任がある中でプロジェクトを展開していきます。
3~4か月という短くない期間でプロジェクトに携わり、課題解決にコミットして取り組むので、やり切った時の充実感も大きいですね。
そして、そこに対してクライアント様から高評価をいただけたときは、とても嬉しいです!
時間をかけて取り組んだことが評価されるのは嬉しいですよね!
はい!
プロジェクトチームでのミーティングは週に1回がベースですが、忙しい時期は週に2~3回実施し、一回のミーティングの時間が4時間に渡ることもあるので・・・
学生同士の密なコミュニケーションで活動が進んでいくんですね。
だからこそ、クライアントであるNPO法人様との関わりから、社会貢献できる喜びが芽生えそうですね!
社会課題へ興味・関心がある人は、コンサルティングという180DCJの活動を通して間接的な社会貢献ができる、というのが団体の特徴です。
団体のビジョンは「非営利組織や社会的企業が最大限の力を発揮できるよう質の高い支援を届けるとともに、社会に貢献できる次世代リーダーを育成する」ことです。
参加する学生の皆さんには、180DCJでの活動を通して、コンサルティングの経験はもちろん、社会課題への意識も育てていってほしいなと思っています。
どちらにしても成長できる環境を提供できるよう、代表である私を含めた運営メンバーで準備をしています。
※9月現在は、佐藤さんの後任の方が代表を引き継ぎされています。
学生一人ひとりの成長につながっているんですね!
団体活動を通して、佐藤さん自身も成長があったと思いますが、今後さらに社会問題と密接に関わる上での目標などはありますか?
私自身の目標は「フラットな人でいる」ということです。
私は俗にいう正義感が強いタイプなんですが、自分の思う正しさと違う考えを持つ人に対しても、感情的にならずフラットに捉えられる人でいたいと思っています。
人間って知らないことや意見が違う人に対して否定的になってしまうことが多いので、その意識は大切ですね。
先ほど話題に出たLGBTの問題も、他の価値観を受け入れられないという側面があるのかなと思っていて。
当事者がどんな人物なのか、よくよく話したら同じ人間だよ、というのがわからない人が偏見を持ってしまうのかなと。
そういう人たちを見ると、相手を理解する気持ちを大切にしたいと感じるので、そう言った意味で「フラットな人間」でいたいと思います。たとえ理解できなくても、想像することをやめないことが大切かなと。
素晴らしい考え方ですね!
ありがとうございます。
この考え方も、180DCJの活動で他者への影響を与えていく中で明確になりましたね!
活動を通して、キャリアの目標も人としての目標も見つけられたんですね!
素敵なお話をありがとうございました!
高校生の時に芽生えた国際問題への疑問から、一つひとつを紐解いて団体への活動につなげていた佐藤さん。
疑問に思っても実行に至らないことは多くありますが、アクティブに進む中で、将来の目標が明確になっていくという実体験を伺うことができるインタビューでした。
佐藤さんには、これからも試行錯誤しながら、一つずつキャリアを積んでいってほしいです。
佐藤さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
180 Degrees Consulting Japanでは、一緒にNPO法人の活動を支えていくメンバーを募集しています!
佐藤さんのインタビューから興味を持った方は、ぜひご応募ください!
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このメディアの監修者
化野てん
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