面接では、最近読んだ本について問われる場合もあります。しかし、どんな本をチョイスして回答すればよいかわからず、悩んでしまう方もいるでしょう。
本記事では、「最近読んだ本」を聞かれたときの回答の作り方や実際の回答例、NG回答なども説明します。
回答例から確認したい方は、こちらをご覧ください。
面接で「最近読んだ本」を質問する意図
「最近読んだ本」を面接で問われるとき、そこには主に以下の5つの意図が込められています。
- どんな分野に関心があるのか知りたい
- 読書習慣があるかを把握するため
- 論理的に説明できるかを見ている
- 学びの姿勢を見ている
面接で質問される意図を知ることで、どんな回答が望まれているのか探れる利点があります。事前にできるだけ把握しておきましょう。
①どんな分野に関心があるのか知りたい
就活生がどんな分野に関心があるのかを知るために、面接で質問される場合があります。
どんな本を読んでいるのか聞けば、ミステリーや歴史・科学・古文・心理学など、どんな分野について知識を深めているのかわかるのがポイントです。
特に最近読んだ本に絞って聞き、新しく興味を持って身に付けた知識があるかどうかを探っていることもあります。
本が取り上げている題材が仕事内容に活かせるものであれば、将来を見据えて見聞を広め、努力しているイメージを与えられるのが特徴です。
➁読書習慣があるかを把握するため
普段から読書をする習慣があるのか把握するために、質問を行うケースもあります。
読書を行う習慣が身についている人は、日頃から知識を増やす行動を心がけているため、社会人としての意識を強く持っていると評価されるのがポイントです。
また、学生時代から継続して本を読んでいる人は、1つの物事を粘り強く続ける力も評価されて好印象になります。
活字を読むことで、文章力を鍛えている印象にもなるのが特徴です。
③論理的に説明できるかを見ている
論理的に説明する力があるかどうかをチェックしていることもあります。
回答では本について説明し、読書を行った結果どんな知識や考え方が得られたのかを紹介する必要があるため、わかりやすく説明するスキルの有無がはっきりと表れやすいです。
論理的で自然な流れの文章を組み立てる力は、仕事でメールや文書を作成する上でも重要になります。違和感のある言葉遣いにならないよう、注意しましょう。
④学びの姿勢を見ている
本からどんな学びを得ているのか、物事に対する学びの姿勢を見ている場合もあります。
読んでいる題材だけでなく、どんな事柄が印象に残ったのか、題材からどんなことを学んだのかを知れば、成長性がある人材かどうか判断可能です。
日頃から学ぶための習慣をつけていて、新しい分野の知識を取り入れて活かせている人であれば、仕事に必要なスキルを積極的に習得していく姿勢も期待できます。
面接で「最近読んだ本」を聞かれたときの回答の構成
回答の構成を確認すれば、内容が伝わりやすい文章を作成しやすくなるのがメリットです。
ここでは「最近読んだ本」について答えるときの構成を、3つのパートに分けて紹介します。
- 結論(書籍名と著者名)
- 読んだ動機
- 得た学び
①結論(書籍名と著者名)
まず、結論として本の名前や著者名を述べ、続けて本の簡単な概要を説明しましょう。
最近どんな本を読んだかという問いに対して、明確な答えを伝えることで、的確なコミュニケーションをとれる人なんだな、と好印象を与えられます。
また、初手で本の内容についても簡単に触れておくことで、後述する文章とのつながりが自然になるのもポイントです。
上手に要約できれば、物事の要点を掴む力があることも強調できます。
➁読んだ動機
次に、読書の題材に選んだきっかけを紹介しましょう。○○のジャンルについて理解を深めたいと感じたから、といった形で積極的な姿勢を感じさせることが大切です。
書店で見かけたから、図書館で目に留まったから、といった受動的なきっかけを伝えるのは適していません。
行動に目的が伴っている人は、仕事を進める上でも目標に向けて最適な努力を積み重ねられるのがポイントです。
動機にもしっかりと力を入れて説明し、能力の高さを印象付けましょう。
③得た学び
最後に、読書をしたことで得られた学びについて述べると、まとまった印象の文章になります。
本に取り上げられた内容から、どんな知識を学んだのかだけでなく、どんな印象を受けてどう考えたのか、自分の中でかみ砕いた内容までを説明するのがおすすめです。
自分から積極的に解釈して学ぶ姿勢を見せれば、仕事に必要な知識もより早く習得できる人材である、と高評価を受けられます。
仕事への活かし方も含めて紹介できるとさらに良い印象を目指せるのがポイントです。
「最近読んだ本」を面接で回答するときのコツ3つ
より高評価な回答を練るためにも、回答時のコツをチェックしておきましょう。「最近読んだ本は?」に対する回答のコツは、以下の3つです。
- 回答の文章構成をしっかり練る
- その業界と合った本を選ぶ
- 得た学びをどう活かすかを伝える
①回答の文章構成をしっかり練る
回答の文章は、構成を綿密に練っておくことを意識しましょう。
読書を質問のテーマに取り上げている会社は、自然な流れの文章を組み立てる力や、説得力のある文章を作りあげるスキルを求めている場合があります。
そのため、作成した文章は何度か読み返して、より洗練された言い回しに変更できないか改良を重ねましょう。文章の流れに無理がないかの見直しも大切です。
➁その業界と合った本を選ぶ
業界で求められるスキルが身につきそうな本を選ぶことも重要です。
ただ本を読んでいるわけではなく、普段から業界を意識した姿勢で学んでいることを強調できます。また、仕事への熱意を強く持っていることも印象付けられるのがポイントです。
勤務したい業界に必要なスキルを学べる本を読めば、その業界への理解も同時に深められるため、説得力のある回答を作りやすくなります。
③得た学びをどう活かすかを伝える
得た学びをどう活かしていくのかについて、自身の考えを伝えることも意識してください。
学びについて言及する際は、書籍に書かれていた事実だけでなく自分の意見を交えることで、積極性を主張できます。
また学びをどう活かしていきたいか、今後に目を向けて話せば、学んだことを将来に活かそうとする成長性を強調できます。
どんな行動につなげていくのか具体的に紹介することも大切です。
面接で「最近読んだ本」を聞かれたときの5つの回答例
回答例を確認すれば、どんな文章が好ましいのかイメージしやすくなるのが利点です。ここでは、本のジャンル別に5つの例を紹介します。
- ビジネス本
- 自己啓発本
- 古典作品
- 小説
- 話題の本
例文①:ビジネス本
私が最近読み印象的だった書籍は、伊藤羊一の『1分で話せ』です。 読書の題材に選んだ理由は、大学で所属していたゼミで発表者として選ばれた際、緊張してしまい上手に伝えられなかった経験があったため、簡潔に話す力を身につけたいと感じたためです。 結論から述べることは話すコツとして挙げられやすいですが、この書籍では「結論とは何か」といった根本的な部分からアプローチする内容が紹介されており、認識を改めるきっかけとなりました。またトピック別の例文が記されていたため、実際に声に出してどんな話し方が適しているかメモを取ることで、実践的な活用法を模索することができました。 私はこの書籍から学んだことを活かし、物事をわかりやすく魅力的に説明できるよう努力していきたいです。 |
上記の例文では、本を読もうとしたきっかけとなった経験を紹介し、目的意識を持って読書に臨んでいることを印象付けています。
以下の業界に適した内容です。
- 金融業界
- 広告業界
声に出して読みメモを取って実践する姿勢を伝えています。
例文➁:自己啓発本
私が最近読んだ書籍は、岸見一郎、古賀史健が著した『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』です。大学時代のサークルの幹部に就いた際、人と人の間を取り持つ立場に悩み、解決策を探るために読みました。 「自分の課題と他者の課題を分けた上で自身を受け入れ他者に貢献していくべき」といった書籍の内容が印象に残り、「いまを精一杯積み重ねること」の重要性を学びました。 そして自身が直面している状況をノートに書き起こし、課題の分類をして行動する習慣を身につけた結果、サークルに所属するメンバーから以前よりも楽しんで活動できるようになったと感謝の言葉をもらいました。 私は書籍から学んだ考えを行動に反映して、今後も適切な対応でチームに貢献してまいります。 |
上記の例文では、本の内容を実践する方法を考え、実際にどんな結果が得られたのかを紹介しています。以下の業界に活かせるのが特徴です。
- 接客業界
- IT業界
今後も学んだことを活かし、貢献していく姿勢を印象付けています。
例文③:古典作品
私が以前読み、最近も読み返している書籍は福沢諭吉が著した『学問のすゝめ』です。 子どもの頃に父の本棚から手に取り冒頭を読んだ際、印象に残った「天は人の上に人を造らず」といった表現を、専攻を選んで学んでいる今だからこそ、より深く理解したいと感じて読書の本に選びました。 そして「生まれた時点で人に差はなく心は性別にかかわらず同等である」という文章に共感し、学び続けることの大切さを改めて実感しました。 また読了後、時代背景に興味を持ち、どんな物事を通して考えが生まれたのか知ることで、理解を深めてかみ砕き、自身の考えに取り入れられることを学びました。私は今後も物事の背景まで深掘りして向き合い、行動を最適化できるよう努めてまいります。 |
上記の例文では、子どもの頃読んだ書籍を再度読み返したいと感じたきっかけを説明しています。以下の業界に活かしやすい内容です。
- 教育業界
- 図書館業界
自分から作品の背景も調べて理解を深めた経験から、今後の業務でも深掘りして調べて行動に活かすことを伝えているのが特徴です。
例文④:小説
私が最近読んだ書籍は、水野敬也が著した『夢をかなえるゾウ』です。子どもの頃テレビドラマで見た記憶があり、大学で時間を作れた際に、書籍版を読んでみたいと感じて手に取りました。 書籍の内容の中でも、「頑張ることや成長することを楽しいとインプットする」、「成功するための法則を学ぶだけでなく、実行することが大切」という教えが印象に残りました。そして一つ一つは簡単なことでも、毎日意識して実行していけるよう、日々の過ごし方を見直し、朝早起きしてジョギングや読書を行う時間を設けるようになりました。 今後も目標を立てるだけでなく、実行に移すことを重視して、成果を生み出せるよう意識してまいります。 |
上記の例文では、本に書かれた教えを要約して説明しています。以下の業界に向いた内容です。
- 商社業界
- コンサル業界
読んだ結果どんな行動に移したのか紹介し、今後も行動力を高めていくことを伝えています。
例文⑤:話題の本
私が最近読書を終えた書籍は、吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』です。以前から名作として知られていた書籍が、今取り上げられ話題になった理由を実際に読んで探りたいと感じ、読書に取り入れました。 書籍を読み、「自分が何を感じたのかに重点を置いて、深く考えることが立派な人になるための道」という文章に心を打たれました。ただ立派な功績を残した人の行動を模倣するのではなく、自分から考えて行動し、過ちから学んで立ち直ることの大切さを実感し、現代で働く人々の心に響いた理由が理解できました。 私はこの書籍から得られた学びを活かし、さまざまな価値観や背景を持って生きている人々と関わっていく現代で、お互いの感覚を認め合う大切さを心に刻んで行動していきたいと思います。 |
上記の例文では、どんな文章に影響を受け、どんな事柄を実感したのか自身の考えの変化を紹介しています。以下の業界に向いた内容です。
- クリエイティブ業界
- マスコミ業界
多様性が問われる現在の状況を踏まえて自分が心がけたい行動を述べているのが特徴です。
面接で「最近読んだ本」を聞かれたときの3つのNG回答例
NG回答例もあわせて確認すれば、どんな回答は避けた方がよいのか把握できるのがポイントです。ここでは3つのNG例を紹介します。
- 「本は読まない」
- 実際に読んでいない本
- 漫画や雑誌
例文①:「本は読まない」
普段本は読まないので、最近読んだ本はありません。情報収集にはSNSを活用していて、最新の情報や話題を確認する習慣を付けています。 また、SNSを使って情報を集める中で、情報の根拠をしっかりとチェックすることの大切さを学びました。情報が溢れている世の中だからこそ、正しい情報だと確信できてから参考にし、行動に活かすよう心掛けています。 今後も的確な情報を収集して成果を生み出すためのヒントを見つけられるようアンテナを張って、業務に活かしてまいります。 |
上記の例文では今後への活かし方を述べてはいますが、本を読まずにSNSに偏った状態で情報を集めている、と伝えている点が低評価につながります。
設問に対して丁寧に回答する姿勢を重視しなければいけません。
例文➁:実際に読んでいない本
私が最近読んだ書籍は、白川方明が著した『現代の金融政策─理論と実際』です。金融業界に活かせる実践的な知識を身につけたいと感じ、読書の題材に選びました。 書籍にはゼロ金利政策や量的金融緩和政策など、近年実施されている策についても説明がありました。また、国際的な観点で比較しながら紹介されていたため、目的を持って政策が生み出され、実行されていく様子を学ぶことができました。 私はこの本で理解した金融知識を活かし、貴社の業務に貢献してまいります。 |
上記の例文では、通販サイトからわかる情報にのみ言及していて、内容が伴っていない印象になっています。
得られた学びや活かし方が具体的に書かれていないのもマイナスな印象につながりやすいです。
例文③:漫画や雑誌
私が最近読んだ書籍は、『週間少年ジャンプ』です。毎週定期購読をしていて、魅力的に感じた台詞や描写を振り返りながら読んでいます。 漫画雑誌はエンターテインメント性が高いだけではなく、心に残る言葉の使い方や見せ方が学べます。私は印象に残った表現を見るたびに、なぜ心が揺さぶられるのかを分析して学んだことをノートに書き起こしています。 今後も表現の奥深さを追求し、魅力的な提案ができるよう活かしていきたいです。 |
上記の例文では、漫画雑誌を熱心に読んでいることを伝えていますが、読書のイメージと離れてしまっているのが懸念点です。
ただ好きなものを楽しんでいるだけではないか、と捉えられるリスクがあります。
最近読んだ本がない場合の対処法
最近本を読んでいない場合、以下の3つの対処法を実践しましょう。
- 学生時代に読んだ本や昔読んだ本をテーマに挙げる
- 興味のある本を面接前に読む
- 手軽に読める本を選んで読む
以前読んだことがある本や興味がある本であれば、内容が頭に入ってきやすいため、内容の理解にかかる時間を減らせます。
また、手軽に読める長さの本を選べば、回答作成に必要な時間を長く用意できるのが利点です。
短時間で読める本には、羽生善治が著した『決断力』・スペンサージョンソンが著した『チーズはどこに消えた?』・コロンビア大学の社会心理学者が著した『やり抜く人の9つの習慣』などが挙げられます。
読書から得た学びの活用法を面接で伝えよう
読書からどんな学びを得て、どう活用していくのかを面接で伝えましょう。
読書についての質問では、業界に役立つ分野の情報を収集していることや、学んだ内容を自分の行動に活かす姿勢などを主張できます。
学びがある本や実践的な内容の本を紹介して、成長性があることを強調しましょう。
この記事を書いた人
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。