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面白い街を増やすことで日本を変えていきたい|株式会社Little Japan代表取締役/NPO芸術家の村理事長|柚木理雄氏

今回インタビューさせていただいたのは、大学時代に40ヶ国以上を巡るバックパッカーを経験したという柚木さん。

大学院卒業後に農林水産省で働いたのち、現在は2つの法人の代表を務めながら大学の特任教授として学生を指導するなど、異色の経歴の持ち主です。『日本の嫌いな部分を、自分の手で「好き」に変えたいと思った』
この言葉の裏に隠された、もっと元気で面白い街を増やしたいという想いについて聞きました!

やりたいことが見つからない方、色々な地域での暮らしに興味がある方は必見です!

柚木理雄さん(@MYUNOKI

株式会社Little Japan 代表取締役/NPO芸術家の村 理事長
2008年大学院を卒業後、農林水産省に入省。
2017年農林水産省を退職し、株式会社Little Japanを立ち上げ、現在はNPO芸術家の村の代表も務める。
2019年より中央大学の特任準教授に就任。地域の資源を活かしたビジネス作りを教えている。

日本が嫌い!?とにかく海外に行きたかった学生時代

柚木さん、お忙しい中お時間いただきありがとうございます。よろしくお願いします!
早速なのですが、柚木さんは大学時代に40ヶ国以上を巡るバックパッカーをされていたそうですね。昔から海外に興味があったのですか?

実は小学1年生〜3年生までブラジルに住んでいたんです。

そうだったんですね!その後は日本で過ごされたんですか?

はい、4年生の時に帰国して初めて日本の教育を受けたんですが、みんな同じことをして個性を伸ばせる環境ではないし、平均的に同じレベルにもっていこうという雰囲気が辛くて、日本のことを嫌いになってしまいました。日本とは違って、ブラジルは「自由な教育」だったんですよね。
それもあって中高生時代は「とにかく海外に行きたい!」と思いながら過ごしていました。

海外で働くという選択肢もあったと思うのですが、農林水産省に入られたのはなぜですか?

たしかに、大学を卒業したら絶対に海外に行こうと決めていました。
でも、フランス留学をしたときに気づいたんです。自分は「日本が嫌いだから海外に行きたかっただけで、海外が好きだとか、特定の国に住みたいとかっていう気持ちではなかった」んだって。それと同時に、外から見て初めて「日本にも良いところはたくさんある」と思えたんです。
「日本の”嫌い”な部分を、自分の手で”好き”に変えていきたいー。」
この想いが、農林水産省に入るきっかけとなり、今の会社やNPO、大学での活動に繋がっているのだと思います。

嫌いなら、自分の手で好きに変えれば良い

日本を変えていきたいという想いで農林水産省に入られたということですが、具体的にどういったことが課題だと感じていたのですか?

私が日本に帰国したときに感じた「個性が認められにくい」という点です。
日本は中央集権で国の役割が大きい分、国が決めたことに従う風潮があるので、全国一律に同じような街しかできないと感じていました。
それぞれの街がもっと個性的な街づくりや人づくりができたら良いのになって。

だからこそ、まずは農林水産省で働こうと決められたんですね。

国が決めたものを一律に守っていこうという空気を少しずつ変えていくには、まずは国で働くことが一番の近道だと思っていました。
でも、実際に入ってみると、国やプラットフォーム的なところには人がたくさんいるという中央集権を改めて感じるとともに、実際に価値をつくっていくプレイヤーの数が圧倒的に少ないということを感じました。
もちろん制度を変えるということも必要ですが、今まず必要なのはプレイヤーが増えることで、その一人に自分もなりたいと思って法人を立ち上げました。

それで、農林水産省を辞めて法人を立ち上げられたんですね。
辞めた後は、それまでの働き方とのギャップなどはありましたか?

正直そんなになかったですね。
私の場合は国家公務員という一番お堅いところからのスタートだったので、社会人として必要な基礎的なところをしっかり学ばせてもらえていたのはありがたかったなと思います。
反対に民間から国だと「なんでこんなに堅いの?」と理解できないことが多かったかもしれません(笑)。

法人の立ち上げ時は、何に一番苦労しましたか?

意外に思われるかもしれませんが、「自由な発想でできる」ところです。
国で働いていると規則で決まっていることが多くて動ける範囲が限られていただけに、自由が大きすぎる分、逆に考えづらいというのはありました。
ただ、国で働いていた経験があるからこそ、対行政的なことが分かるのはもちろん、みなさんから信頼してもらいやすいというのはありましたね。
Little Japanを立ち上げたときも、町内会の会長さんから「国家公務員辞めて頑張ってるらしいね!」と応援してもらえて、恵まれているなぁと感じました。

リアル×オンラインの魅力とは

現在はゲストハウスや芸術家の村の運営以外に、オンラインのコミュニティ形成にも力を入れられているようですね。

私の場合、完全にオンラインでのコミュニティ形成はやっていなくて、あくまでもリアルとオンラインの組み合わせを大事にしています。
リアルがあったうえでオンライン上での関係性が繋がっていくだとか、オンラインで繋がった人と実際に会ったときに初めて会った感じがしない体験をするとか…そういったことに重きを置いているんです。

リアルとオンライン、それぞれの良さってどんなところだと思いますか?

リアルはアイデア出しのブレスト、オンラインは打ち合わせなどに向いていると思います。オンラインだと距離を気にせず会えるので、「ちょっとこの人と話してみたい!」という気軽さも魅力です。

それぞれの良さがありますよね。そんな中でも、柚木さんが「リアルを大切にしたい」と思われるのはなぜですか?

オンライン飲み会とかあんまり好きじゃないんですよね(笑)。ぬくもり感みたいなものが感じられないというか…
オンラインで何回か会った人とリアルで会うと、テレビの中にいる人と会えたような感覚になるじゃないですか。
そういった、リアルだからこそ感じられる体験を大切にしていきたいと思っています。

場所を変えれば、仕事が生まれる

柚木さんは現在、数ヶ月に一度拠点を移しながらお仕事をされているそうですね!
今はコロナで難しいかもしれませんが、Little Japanの提供する泊まり放題プランを使って、拠点を移しながら就活を行う新しい就活スタイルも増えてくるかもしれないですね。

そうですね。就活期間で一番コストがかかるのが交通費だと思うので、その期間だけでも拠点を移してしまえば、ほとんどコストをかけずに就活ができるのではないかと思います。
新幹線で毎回往復するくらいだったら、経験的にも就活拠点の近くに住んだ方が良いですよね。
最近では、就活の情報交換を目的にゲストハウスを活用する学生も増えてきているそうですよ!

そうなんですね!
ちなみに、学生が初めてゲストハウスを使う場合、選び方のコツなどはありますか?

基本的にはどこでも大丈夫だと思います!予約サイトで点数を見て、8割〜8割5分以上あれば、そんなに悪いところはないので。
どこもオーナーとの距離が近く安心ですし、もし相部屋に抵抗感があるのであれば、個室を選べば間違いないですしね。
共有部分で他の宿泊者と交流するだけでも、良い経験になると思います!

今後、社会人の中でも拠点を移しながら働くスタイルは増えていくと思いますか?

増えていくと思います。
私の場合、1週間のうち5日は宿でオンラインで働いています。
頻繁に移動しなければそこまでコストもかからないですし、宿で仕事をするので通勤時間もかかりません。
オンラインでも可能な仕事をしている方であれば、誰でも実現できるのではないかと思います。

今まで難しいと思われていた「旅をしながら働く」というスタイルが、リモートワークが進んだことでたくさんの人にとって現実のものになりそうですね。

そうですね!
旅しながら働くことのもう1つのメリットは、地域に眠っている仕事を見つけられることです。見えていないだけでたくさんの仕事が溢れていて、出会いさえあれば仕事になるのに…というものが結構あるんです。
場所を変えれば、人との出会いから仕事は生まれてくるものなんだなぁと実感しています。

ネガティブから生まれる目標だって良い!やりたいことを見つけるのに期限なんて無い

柚木さんの、今後の展望を教えてください。

事業的なところで言うと、ゲストハウス運営と泊まり放題サービスを通して、地域に滞在しながら働くスタイルが広まっていけば良いなと思っています。
ワーケーションやリモートワーク、あるいは学生がオンライン講義を受けながら、様々な地域に住むー。さらに、ただ住むだけでなく、出会いや仕事が生まれるというところまでできたら面白いなと思っています。
もう一つが、コミュニティ作りです。特に、オンライン上の街をどんどん増やしていくことに可能性を感じています。
シェア街という「リアルなきょてん」が浅草橋周辺にあるのですが、実は同時にオンライン上にも街が存在しているんです。

オンライン上の街…面白い取り組みですね!

もともといろんな地域への移住者を増やすことが目的で始まった取り組みですが、オンラインコミュニティができたことで、その街に実際にいなくてもオンライン上で関わる関係人口を増やせるようになりました。
オンライン上で自分の好きな街に関わっていくという概念を、たくさんの人に知ってもらいたいなと思っています。

場所を選ばず、自分の好きな街に関わっていけるというのがスタンダードになっていって欲しいですね。
現在、事業を進めるうえで課題に感じていることはありますか?

せっかくリモートワークやオンライン講義になっても引きこもりになってしまうのはもったいないなと思っています。
コロナのこともあって仕方がなかったのですが、自由に移動ができるようになったら、ぜひいろんな地域に住みながら働いたり、講義を受けたりする人が増えたら面白いなと思いますね。

素敵ですね。柚木さんは学生時代や社会人になってからの原体験があったからこそ、常に目標を持って新しいことにチャレンジされている印象を受けました。
現時点で目標がないことで悩んでいる学生に対して、何かアドバイスはありますか?

この手の質問が一番難しいですね(笑)。
私の場合は、目標が決まっていく過程が完全に「ネガティブな要因」からだったわけで、日本に対する不満や怒りが、自分を突き動かすポジティブなエネルギーに変わっていった形でした。
みんながみんな、「やりたいことがある」というポジティブな発想から目標を見つける必要はないと思っています。
私と同じようにネガティブな感情から生まれた 「自分の手で変えていきたい!」という想いをもとに、目標を考えるパターンもあっていいのかなと思います。

ネガティブな感情をそのままにせず、「だったら自分で変えてやろう!」という発想転換ですね。

もう一つ大切なのは、 目の前のことを一生懸命やってみることです。
何事も一生懸命取り組んでいたら、やっている中で次の目標が見つかっていくと思うんです。
就活を通して絶対にやりたいことを見つけないといけないなんてことはないと思っています。
そもそも、やりたいことを見つけるのに期限を設ける必要はないと思うので、今目標がなくても焦る必要はありません。
将来のプランを考えるのにじっくり時間をかけて、方向性が決まってから集中してやった方が成果が出せると思うので、目の前のことに一生懸命取り組んで、自分のやりたいことを見つける時間を大切にしてください。

学生時代や社会人になってからの原体験をもとに、 「面白い街を増やすことで、日本を変えていきたい!」という想いを持つようになった柚木さん。

旅を通して様々な地域と関わりながら仕事をするスタイルが、スタンダードになっていく日も近いかもしれないですね。

柚木さん、ありがとうございました。

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じょんじょん

この記事を書いた人

じょんじょん

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