大好きな化粧品やコスメに関わる仕事がしたい!と就活生に人気のある化粧品会社。ただ、実際どのような職種があってどんな業務内容なのか、わからない点も多いのではないでしょうか。
本記事では、化粧品会社の職種や仕事内容、就職対策や化粧品業界の現状などを詳しく解説します。化粧品会社に憧れがある方はぜひチェックしてみてください。
化粧品会社の3つの職種と仕事内容

化粧品会社に就職と聞くと、デパートなどのコスメカウンターで働く販売員の方々を想像するかもしれません。
ですが、化粧品会社には大きく分けて3つの職種があり、業務内容は大きく変わります。
- 営業職・事務職
- 研究・開発職
- 美容部員
ひとつずつ詳しく解説します。
①営業職・事務職
営業職は、デパートやバラエティショップといった小売店や量販店などに、自社製品を置いてもらうよう働きかける仕事です。
自社が出しているコスメをより良い場所に陳列してもらえるよう交渉する、店長と打ち合わせしてキャンペーンや販売促進のための提案をするなど消費者ではなく店舗とのやりとりが主となります。
事務職は、発注を受けた商品の注文、伝票や請求書の処理、お客様からの問い合わせ対応や経理など、いわゆるバックオフィス業務がメインです。
広報や販売促進に関わる営業アシスタントや、美容部員や売り場の売上管理などもあり、細かな業務内容は会社によって変わるでしょう。化粧品は好きだけれど、営業や接客よりもサポート業務向き、という方に人気です。
②研究・開発職
研究・開発職は、さまざまな研究を通して新しい化粧品や成分を開発するなど、自社製品の品質管理や品質向上などに携わる専門職です。
顧客がどんな肌トラブルやメイクの悩みを持っているか、それを解決するにはどんな成分を配合するかを研究して、自社商品を実際に作り出す仕事です。
研究・開発職は専門職のため、理系の大学院・学部を卒業していることが条件となる場合がほとんどです。国内化粧品管理人をはじめ、危険物取扱者乙種4類、上級・中級バイオ技術者認定試験などの資格が必要となることもあります。
③美容部員
美容部員は、自社の化粧品をデパートやバラエティショップのコスメカウンターで接客し、販売する仕事です。BA(ビューティーアドバイザー)とも呼ばれています。
お客様と実際に話してニーズや悩みを聞き出し、それを解決する化粧品を選び、使用方法や手順を説明します。また、お客様に新しいメイクを提案し実際に施すこともメインの業務です。
丁寧な接客技術やコミュニケーションスキルはもちろん、自社だけでなく化粧品全体的に幅広い知識を持ち、さらに売上げを伸ばすための営業力が必要な仕事です。
化粧品業界の主要な会社3つ

ここでは、具体的に主要な化粧品会社の特徴や事業内容などを紹介します。今回は国内大手の化粧品会社である下記3社をピックアップしました。
- 資生堂
- コーセー
- 花王
3社とも、国内のみならず世界的に事業展開している化粧品会社です。それでは見てみましょう。
①資生堂
株式会社資生堂は、150年の歴史を持つ国内最大手の化粧品会社です。約120ヶ国で事業展開しており、世界シェア5位を誇ります。
「メード・イン・ジャパン」にこだわり、高品質で高価格帯のスキンケア商品を中心に展開しています。スキンケアやコスメだけでなく、シャンプーやボディケア商品、サロン専用のパーマ剤・スタイリング際まで幅広い商品を取り扱っています。
デパート販売ではクレ・ド・ポーボーテやベアミネラル、ベネフォークなど。ドラッグストアや量販店ではエリクシール、HAKU、マキアージュなどが人気です。
②コーセー
株式会社コーセーも日本を代表する大手化粧品会社で、創業70年以上の老舗です。幅広い価格帯のラインナップを誇り、海外では特にアジア市場に力を注いでいます。
シャンプーやボディケア商品も展開していますが、基本的には化粧品・コスメに特化している企業です。最近では羽生結弦選手や大谷翔平選手を広告に起用して話題となっています。
デパート販売ブランドではDECORTE、ジルスチュアート、アディクションなど。ドラッグストアや量販店では雪肌精、エスプリーク、ヴィセなどが有名です。
③花王
花王は、最も売上構成比が高いのは日用品事業となっていますが、化粧品でも国内上位の売上げを出しています。原料開発から卸・物流まで一貫して行っているのが特徴と言えます。
花王は2006年にカネボウグループを買収したため、カネボウ系の化粧品ブランドは花王の傘下となっています。そのためカネボウで働きたいと思っている方は、花王の採用試験を受ける必要があります。
花王の化粧品ではアルブランやオーブ、コフレドール、ソフィーナやエストなどが人気です。カネボウではルナソルやKATE、プリマヴィスタが人気となっています。
化粧品会社に就職する時に必要な2つのスキル

化粧品会社への就職を目指すにあたり、特に必要とされるスキルが下記の2つです。
- 語学力
- コミュニケーション能力
どちらも就職試験の時だけでなく、採用後も常に勉強し伸ばし続ける必要があるスキルです。ひとつずつ詳しく解説します。
①語学力
まずは英語を基本とした語学力です。
上記の通り、大手の化粧品会社は海外にも事業を展開しているため、日本で化粧品を購入しにくる外国人も多くなっています。美容部員は、特に外国人観光客向けの店に勤務する場合、お客様対応の際に英語が話せると有利です。
また、研究・開発職の場合は、英語で書かれた論文を読むなど情報収集にも英語が必要です。海外メーカーとのやり取りや海外出張も少なくないため、目安としてTOEIC 735点以上の英語力があるといいでしょう。
②コミュニケーション能力
続いてはコミュニケーション能力です。特に営業や美容部員は、販売店の店長やお客様と上手くコミュニケーションをとる必要があります。
せっかく化粧品が好きで、知識やメイク技術を伸ばしても、来店してくれたお客様とのコミュニケーションが不足していては売上につながりません。
お客様の来店目的は何なのか、悩みは何か、どんなメイクがおすすめかなど、会話を通して引き出し、提案して商品を購入してもらうスキルが重要です。
化粧品会社への就職対策【志望動機&面接】

ここでは、実際に化粧品会社への就職を希望している方向けに、面接と志望動機の対策方法を紹介します。ポイントは以下の2点です。
- 志望動機は「化粧品が好き」以外も必要
- 面接では「美しさとは」の質問が多い傾向
ひとつずつ詳しく解説します。
①志望動機の書き方
志望動機は、ただ「化粧品やメイクが好き」「貴社の製品が好き」を伝えるだけでは不十分です。もちろん好きである気持ちは伝えてもいいのですが、それだけでは働きたい理由にはなりません。
化粧品会社で働くことによって、自分はどんなことをやりたいのか、どう企業と関わっていきたいのかを伝えることが大切です。
【例】 自分はかつてスキンケアなど知らず、肌荒れやニキビに悩んでいた →美容部員のアドバイスを受けてスキンケアをし始めたら肌がきれいになり、自分に自信がついた →自分も顧客の悩みをしっかりと聞き、的確な提案をすることで、人々に笑顔と喜びを提供できる美容部員になりたい |
②面接の頻出質問事項への答え方
面接では、志望動機や「学生時代に力を入れた経験」など基本的な質問もありますが、下記のような化粧品会社独特の質問も多いようです。
- 最近の流行についてどう思うか(プチ整形、サステナビリティなど)
- 男性の化粧や、外見と内面の美しさの違いについてどう思うか
- 高齢男性向け、小中学生向けの新商品を作るとしたらコンセプトや注意点は?
- 化粧する楽しみを女子小学生に話すとしたら何を伝えるか?
- 10年後の化粧品業界はどうなっていると思うか
「美しさ」についてどう考えているかを問われた時に、しっかりと思いを伝えられるよう準備しましょう。
化粧品業界・会社の動向と課題4つ

ここでは、化粧品業界と化粧品会社の現状や動向と、化粧品会社が持つ4つの課題について解説します。
- 新型コロナウイルスの影響
- デジタルツールの動向
- 国内・海外ブランドの競争
- 時勢を捉えた商品開発
グループディスカッションや面接の対策にもなりますので、しっかりと押さえておきましょう。
①新型コロナウイルスの影響で市場規模減少
化粧品業界は景気に左右されない安定した業界と考えられていましたが、コロナによる外出の自粛、訪日外国人の数が減少したこともあり、2020年には化粧品の売上が大幅にダウンしました。
特にファンデーションなどの仕上用化粧品や、マスク着用による影響で口紅の売上が減少しました。
徐々に規制緩和し、マスクを外すことも多くなってきたため、化粧品市場の情勢は回復してきています。マスクによる肌荒れ対策のスキンケア用品や、マスクをしていても落ちにくい口紅などが今後伸びるだろうと予測されています。
②デジタルとの融合
これまで化粧品は、実際に商品を見て、テスターやカウンターで色や使い心地を確認してから購入するものでした。ところがコロナ禍により、テスターが廃止されたりコスメカウンターが敬遠されたりと変化が見られるようになりました。
各化粧品会社は、ECの拡大はもとより、美容部員によるリモートでのカウンセリング実施やAIによるパーソナルカラー診断など、デジタルコンテンツに力を注いでいます。
面接対策として「Webサイトやアプリでこういうサービスを提供すれば、商品の売上につながるのでは」といったアイディアを用意しておくのもおすすめです。
③国内における海外ブランドとの競争
日本の化粧品ブランドは幅広い顧客をターゲットにしているため、独自イメージが確立されておらず、世界的ブランドに発展しないと言われています。化粧品業界は今後、世界を見据えたブランディング力が必要となるでしょう
また、国内に海外ブランドが進出し、競争が過激になりすぎている傾向があります。特に韓国・中国をはじめとしたアジアンコスメの勢いは、もはや一過性のブームではなく市場として定着したと考えていいでしょう。
日本の化粧品ブランドをどのように世界で展開させるか、また国内ではどうやって輸入コスメとの差別化を図るかが鍵となりそうです。
④時勢を捉えた商品開発
化粧品はラグジュアリーブランドから、気軽に試しやすいプチプラ製品までさまざまです。ただ昨今の物価上昇を踏まえると、今後はより低価格化のニーズが増えていくでしょう。アジアンコスメの人気も購入しやすい価格帯であることが理由のひとつだと言われています。
とはいえ、デパートのコスメカウンターに足を運び、高級なコスメを購入するのも「自分へのごほうび」と喜びを感じる方も少なくないはずです。化粧品の商品開発や営業は、常に時勢を捉えて動く必要があります。
化粧品業界や会社の知識を深めて納得のいく就職をしよう
化粧品会社の業種や仕事内容、面接対策や昨今の情勢について紹介しました。コロナ禍を経て一度は沈んでしまった化粧品業界ですが、これから回復し、デジタルツールなど新しいマーケティングも広がっていくでしょう。
化粧品会社は人気が高い業種です。英語力やコミュニケーションスキルはもちろん、化粧品を作ること、販売することを通してどのような仕事をしたいのか、どのような理想を叶えたいのを深堀りすることが大切です。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。