就活の企業選びでは、業務内容以外にも待遇や福利厚生があることも重要な要素です。
ベンチャー企業でいちから起業の経験をしたいが、「会社のサポートが少ないのでは?」と不安な就活生もいるのではないでしょうか。
本記事では、ベンチャー企業における福利厚生の特徴や違いを解説します。
福利厚生とは
求人募集案内では、「待遇・福利厚生」の欄に企業の福利厚生が記載されていますよね。この中には、社会保険やバースデー休暇等が記載されています。
私たちは、これらの福利厚生を一緒くたに見ていますが、実は福利厚生は以下の2種類に分けられています。
- 法定福利
- 法定外福利
まずは、法定福利と法定外福利の違いを見ていきましょう。
①法定福利
法定福利とは、法律で定められている福利厚生です。そのため、大企業とベンチャー企業に違いはありません。法定福利は下記の6つが挙げられます。
※厚生年金と健康保険は従業員数が5人以上で強制加入で、それ以下の場合は従業員の半数以上の同意が必要。
- 健康保険
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 労災保険
- 介護保険
- 子ども・子育て拠出金
法定福利は、法律で定められた福利厚生のため、提供が無い場合は違法となります。
たとえば、企業として社会保険(健康保険、厚生年金保険)に未加入且つ悪質なケースでは、6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金が科せられます。
②法定外福利
法定外福利とは、法律に定められていない企業独自の福利厚生です。これは、企業側が従業員のモチベーションアップや健康維持・働きやすさ改善のために設けられています。
法定外福利を充実させることで、社員の満足度・幸福度が上がり、離職率の低下や生産性の向上につながるため、積極的に取り入れている企業を選びたいですね。
代表的な法定外福利は、通勤手当・健康診断補助・住宅手当です。他にも、企業によって、フレックスタイム制度・部活動・研修制度を導入しています。
ベンチャー企業の福利厚生は少ないのか

一般的に、ベンチャー企業の福利厚生は大企業よりも少ない傾向にあります。なぜなら、大企業とは従業員数や資金面で差があるためです。
大企業では福利厚生関連の専門部署がありますが、ベンチャー企業の場合は総務部門や会計部門と兼務する場合も。
また、売上高や収益の安定性から、ベンチャー企業は多額の金額を福利厚生に当てられません。その代わり、ベンチャー企業には少人数なりのユニークな福利厚生もあります。
ベンチャー企業の福利厚生の特徴

ベンチャー企業は従業員数や資金面で制約がありますが、企業としても従業員のモチベーションアップは必要です。ベンチャー企業の福利厚生の特徴は下記が挙げられます。
- 企業規模によって充実度が異なる
- 大企業にはない福利厚生が存在する
それぞれ見ていきましょう。
①企業規模によって充実度が異なる
企業規模によって福利厚生の充実度は異なります。福利厚生は、従業員目線では無料もしくは格安で商品やサービスを受けられますが、実際は割り引かれた差分を企業側が負担しているのです。
そのため、企業規模が小さいベンチャー企業では、提供できる福利厚生に限りがあります。
しかし、ベンチャー企業は独自の発想や技術を持った勢いのある企業なので、今後の企業成長に伴って、提供する福利厚生の幅も広がる可能性が高いですね。
②大企業にはない福利厚生が存在する
ベンチャー企業には、大企業にはない福利厚生が存在する場合があります。
大企業の従業員数は数千人規模のため、数千人全員が満足する福利厚生が必要です。しかし、ベンチャー企業は数人から数十人規模のため、共通の趣味や世代に特化した福利厚生が提供可能。
また、ベンチャー企業は社長と従業員の距離も近く、従業員の意見を取り入れた福利厚生が導入される傾向にあります。
ベンチャー企業以外の福利厚生2つ

ベンチャー企業とは異なり、中小企業や大企業は福利厚生が充実している傾向にあります。それでは、企業規模ごとに分けて見ていきましょう。
- 大企業の場合
- 中小企業の場合
①大企業の場合
大企業の福利厚生の特徴は、多種多様で長期的に利用可能なこと。大企業は数十年の歴史を持つ企業のため、幅広い年齢層の従業員がいます。
また、企業の安定性から、新入社員から定年に至るまで雇用されるケースも少なくありません。
そのため、若手向けの研修・教育制度から、子育て世代向けの育休制度、50・60代向けの退職金制度と充実した福利厚生が整備されています。
また、支店展開で全国に従業員がいるため、リモートワークや出張手当も充実しているのが特徴ですね。
②中小企業の場合
中小企業の福利厚生の特徴は、多くの人が満足できる福利厚生に加え、自社の強みを活かした福利厚生が整備されている点です。
フレックスタイム制度や子育て支援制度などの多くの人が満足できる福利構成に加えて、家電メーカーであれば自社製品の割引制度、フィットネスクラブであれば施設の無料利用などがあります。
これには、従業員のモチベーションアップもありますが、自社製品・サービスを実際に利用して業務改善に活かして欲しいという意味も込められています。
福利厚生が充実したベンチャー企業の探し方

ベンチャー企業が提供する福利厚生は一般的には少ないですが、福利厚生が充実している企業も存在します。福利厚生が充実しているベンチャー企業を探す方法は主に下記の4つ。
- オンラインイベントに参加する
- 口コミサイトで検索する
- 求人サイトで検索する
- OB訪問で確認する
それぞれ見ていきましょう。
①オンラインイベントに参加する
福利厚生が充実したベンチャー企業を探すなら、まずオンラインイベントに参加しましょう。
就職活動期間中は、企業合同説明会やベンチャー企業独自のオンラインイベントが開催されている場合があります。
オンラインイベントは、企業の社員と双方向でコミュニケーションが取れるまたとない機会。企業の社風や福利厚生を実際に働いている社員に直接聞くことができます。
②口コミサイトで検索する
福利厚生の充実した企業は口コミサイトの検索でも探せます。
企業の現役従業員や元従業員が情報を提供している口コミサイトは、リアルな情報が載っている可能性が。
たとえば、「福利厚生を使うと、同僚や上司から嫌な目で見られる」、「企業として福利厚生の積極的な利用が推奨されている」等、福利厚生が実際に利用されているかの観点からも調べられます。
口コミサイトを利用して、福利厚生が利用しやすい企業なのかを確認しましょう。
③求人サイトで検索する
求人サイトで検索することも、福利厚生を調べる方法の1つです。
求人サイトによっては、福利厚生を絞った検索が可能なため、うまく活用して自身に合った福利厚生を提供する企業を見つけましょう。
ただし、ベンチャー企業の求人は大手求人サイトには掲載されていない場合があります。ベンチャー企業に特化した求人サイトもあるため、さまざまなサイトから調査をしましょう。
④OB訪問で確認する
OB訪問により、福利厚生が充実しているか確認できます。
OB訪問は現役社員のリアルな声が聞ける機会です。また、OB訪問の担当社員は人事や採用担当でない場合が多いため、率直で信頼性の高い現場の生の声が聞けます。
福利厚生以外にも企業について詳しく聞ける機会のため、OB訪問ができる学生の方は、ぜひ活用しましょう。
ただし、ベンチャー企業の社内は風通しが良く、OB訪問担当者から採用担当へ情報が入りやすいため、挨拶やマナーはしっかりと守る必要があります。
面白い福利厚生を持つベンチャー企業3選

ここでは、ベンチャー企業で大企業にも負けていない面白い福利厚生を持つ企業を3つ紹介します。
それぞれの企業の特徴を活かした施策を展開しています。
- 株式会社サイバーエージェント
- 株式会社スピカ
- クックパッド株式会社
それでは見ていきましょう。
①株式会社サイバーエージェント
動画配信事業の「ABEMA」やインターネット広告事業を行っている、株式会社サイバーエージェントでは特徴的な休暇制度が設けられています。それは、「休んでファイブ」という休暇制度です。
「休んでファイブ」は勤続2年以上の社員を対象に、毎年5日間の有給休暇が、年次有給休暇とは別に取得できます。
この休暇は連続して取得でき、前後の土日と組み合わせると9日間休むことが可能。大企業でも5年ごとにリフレッシュ休暇が付与されるケースはありますが、毎年付与する企業は滅多にありません。
②株式会社スピカ
ネイルサロンやネイルサロンのマッチングサイトを運営している、株式会社スピカも他企業にはない福利厚生を提供しています。
それは、従業員及び配偶者へネイル施術費用を月に1.5万円までサポートする制度です。従業員はさまざまなサロンでネイルができ、その経験を自身のスキルアップや業務へ活かせるように。
スピカが運営しているネイルサロンの料金設定が2,000円から12,000円程度なので、それを考慮すると高額な福利厚生と言えるでしょう。
③クックパッド株式会社
料理レシピの検索や投稿サイトを提供しているクックパッド株式会社は、企業の特徴を活かした福利厚生を提供しています。それは、社内のキッチンを自由に使って料理ができる制度です。
この福利厚生を利用して、社内のコミュニケーション活性化や自社サイトの利用感を体験できます。
従業員もクックパッドで投稿されたレシピを見ながら料理をしているそうです。企業へ来訪する方も見える場所に設置されてあり、企業の宣伝にも一躍買っています。
福利厚生が少ない場合の対処方法

気になる企業の福利厚生が少ない場合、就活生の皆さんは将来のキャリアや金銭面で不安を感じることもあるでしょう。
しかし、それを理由にやりたい仕事を諦めてしまうのはもったいないですよね。ここでは、個人でもできる福利厚生対策を紹介します。
- 慶弔金・災害見舞金制度
- 住宅手当
- 自治体サービス
それぞれ順に見ていきましょう。
①慶弔金・災害見舞金制度
国や自治体から慶弔金や災害見舞金が支払われる場合があります。結婚や出産・葬儀などの場面や、自然災害の被害を受けた際に一定の金額支援を受けられます。
たとえば、国の法律である「災害弔慰金の支給等に関する法律」で受けられる災害弔慰金は最大500万円です。
他にも、兵庫県明石市では「出産応援給付金」として妊娠1回当たり5万円、「子育て応援給付金」として児童1人当たり5万円を受給できます。
②住宅手当
企業の福利厚生としての住宅手当以外に、自治体にも住宅手当があります。
地方自治体では若手人材の県外流出による担い手不足・人口減少が問題です。その対策として「地元に残ってもらう」「都会から地方に来てもらう」、IターンやUターン制度を創設しています。
たとえば、宮崎県の「移住支援給付金制度」で受けられる支援金は最大100万円です。
他にも、栃木県宇都宮市では新卒採用者に対して家賃の一部を最大12万円補助する「フレッシュマン・若年夫婦・子育て世帯等家賃補助」制度があります。
③自治体サービス
自身の住んでいる自治体を調べると様々なサービスや制度が提供されています。自治体サービスを活用してベンチャー企業で足りない福利厚生を補っていきましょう。
上記で挙げたサービス以外にも、県民の日の制定・婚活サポート・不妊治療サポート・生ごみを再利用できるコンポストの提供等、意外と知られていないサービスがあるかもしれません。
これらの情報は自治体のサイトや地域センターの掲示板に張られているため、ぜひ一度確認してみて下さい。
福利厚生でベンチャー企業を選ぶのはもったいない!

本記事では、ベンチャー企業の福利厚生の特徴や大企業との違いについて紹介しました。
確かにベンチャー企業は一般的には福利厚生が少ないものの、ユニークな福利厚生を提供している場合や、ベンチャー企業としての成長と共に福利厚生が充実する場合があります。
そのため、福利厚生だけでベンチャー企業を選ばず、自分のやりたい仕事を軸に就職活動をしていきましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。