やりたいことより、やるべきことを選び博報堂へ。6年後に映画プロデューサーとして「就活」映画を作り始めた理由~vol.2~|玉井雄大氏
就活をテーマに、毎年1作ずつ映画を公開している #観る就活プロジェクト 。
このプロジェクトを立ち上げた映画プロデューサーの玉井さんは、俳優の道を諦め博報堂に入社し、副業として映画制作を始めたそうです。
映画制作をすることになったきっかけは、思いがけない場での出来事だったとか?
今回は、新卒をテーマに映画制作をすることになった裏話を教えていただきました!
▼俳優志望の学生時代~博報堂での会社員時代まではこちら
映画プロデューサーのきっかけは意外な場所に?映像業界の裏側
博報堂では、広告営業をしながら新規事業を立ち上げていたということですが、映画制作のきっかけは何だったんですか?
映画制作のきっかけは、飲みの席のノリだったんです(笑)
ノリ……?!
#観る就活プロジェクトの井上監督とはもともと仲が良くて、いつものように二人で飲んでいたら「一緒に映画作ってみないか?」と誘われたんですよね。
僕そのとき酔っ払っていて、いいよって言っちゃったんですよね(笑)
映画ってそんなフランクに決まるものなんですね……
あくまで僕らの場合ですよ!
構想から綿密に進める映画の方が多いですし。
気軽にOKしたけど、そこからあれよあれよという間に話が進んでいきましたね(笑)
2018年8月に映画を作ろうという話をして、その年の年末には撮影していました!
4ヶ月で?!スピード感はやいですね!
はやいですよね!僕自身もやりながら驚いてました!
博報堂の社員として働きながら、映画制作進めていたので休みもほぼ無かったですね。
撮影のためのまとまった休みもなかったので、「40万分の1」は年末年始の休暇1週間で撮影しましたし(笑)
かなりのハードスケジュール……
博報堂で広告営業と新規事業立案をしながら、映画制作をされていたってことですよね?
マルチタスクすぎて切り替え難しそうに感じるんですけど、どうでしたか?
ハードスケジュールなのは間違いないですけど、切り替えという部分では特に苦労してないですね!
博報堂に入社して、ずっと広告営業で複数のクライアント様のプロジェクトを同時進行でやってきていたので、慣れていたのかもしれないです!
もともと積極的にお仕事されていたからこそ、可能だったんですね!
翌年の「新卒ポモドーロ」はさすがにきつくて、退職することになったんですけどね!
他にもいろいろ要因はあるんですけど、大体そんな感じです(笑)
(笑)
映画作ろうと声がかかった時から、テーマは「就活」と決まっていたんですか?
いえ、映画を作るということだけが決まって、テーマもスケジュールも何もなかったですね。
ゼロの状態から脚本作りを始めました。
本当にゼロからのスタートだったんですね。
なぜ就活の映画にしようと思ったんですか?
理由は2つありました。
ビジネス面で言うと、映像業界でインディーズ映画ってマネタイズがすごく難しいんですよ。劇場で公開したとしても二束三文で、制作費を回収することができないことがほとんどで……
そこで、協賛が付くような映画にしようと考えたんです。
さだまさしさんも映画制作で膨大な借金をされていたってテレビで観ました……
制作費の回収部分まで計画的に考えていたんですね!それで、協賛が付きやすいのは就活だと?
赤字は怖いですからね(汗)
協賛が付きそうな映画と考えたときに、世間一般で注目度が高くて尚且つ映画として売り物になっていないものってなんだろう?と思って、新卒の就活が思い浮かんだんですよね。
最近で言うと就活がテーマにされた映画って「何者」くらいでしたし。
言われてみれば、就活を描いている映画ってほとんど知らないです……
そうですよね。
大学生のほとんどが経験するし、日本の社会での大きなイベントのひとつなのに以外とテーマとして取り上げられてないんですよ!
でも、いろんな企業が新卒採用はしているじゃないですか?
確かにそうですね!
そこに目を付けたんです!
ここまでがビジネス面での理由です。
#観る就活プロジェクト始動、監督のロリコン説?新卒をテーマにした理由
就活をテーマにした理由のもう一つは、井上監督が撮る映像の特性にありました。
井上監督の特性とはどんなものですか?
僕自身も彼の短編をいくつも見ていて、高校生や若い人の表情を撮るのがうまい監督なんです。
若者ならではの葛藤や細かい心情を、絶妙な表情で表現できているなといつも感じていました。
ここだけの話、うますぎて業界内でロリコン説が出ていたくらい高校生を撮るのがうまかったんですよ(笑)
?!??!!(汗)
本当は全然ロリコンじゃないんですよ!
でも、うますぎるからそういう噂があったんです(笑)
なので、高校生から大学生に視点を移してみたらどうかな?と思って、多くの大学生が悩むのが就活だなと考えて、新卒をテーマにしました。
大学生も学生であり、若者で、大人というにはまだあどけない部分がありますよね。
それに、毎年40万人を超える就活生がいますし。
そうそう。
それに、就活って選考が通らなくて挫折があったり、葛藤があったり、将来のことを考えたり、一人ひとりにいろんなドラマがあると思うんですよね。
大学生活の中での一大トピックで、就活によってその後の人生に大きく影響が出るし、ストーリーのテーマとして考えてもとても面白いですよね。
たしかに、大学生活の中で大きなイベントですよね、就活って。
そうですよね。
でも、いざ就活について脚本作ろうと始めるときに気付いたことがあって……
何に気付いたんですか?
井上監督に就活経験が無かったんですよ(笑)
早稲田大学の映画サークル出身で、そのまま助監督になって映画監督になっているので、多くの大学生が通るルートとは全く別の人なんですよね。
お~(笑)
でも、玉井さんは就活されましたよね?
僕は就活しましたけど、前回お話した通り、準備をしっかりして取り組んでいたか?と言われると自信が持てるほどの経験はしていなくて……(汗)
だから、まずは就活生にインタビューすることから始めましたね。
市場調査のインタビューで知った新卒就活の課題点
実際の就活生の声を聞くことで、よりリアルな作品に仕上がりそうですよね!
そうですね。
何人か就活生を集めてインタビューさせてもらったんですが、改めて日本の新卒就活の文化って特徴的だなと思いましたね。
たしかに、世界的に見ても新卒一括採用をしているのは日本と韓国くらいですよね?
そうそう。ものすごく歪な仕組みですよね。
新卒の就活時期になると、新卒一括採用制度について良いとか悪いとかの論争って起きますけど、僕は新卒採用があっていいんじゃないかなと思うんですよね。
それはなぜですか?
学生目線で見ると、みんなゴールが同じで一斉に競争を始めるから、同じ悩みを共有しやすかったり、あの子がどうだったとかっていう競争意識が芽生えるので、社会に出る前に競争心をくすぐられるのはいいことなんじゃないかなと思います。
企業目線から言うと、一斉に競争してもらえることで、より優秀な人材の獲得ができますし。
たしかに、両者ともに利点もありますね!
就活の動きが早い遅いにしろ、卒業後の4月から社会人という条件が同じ中で戦うわけですし。
はい。それに、アメリカみたいに自由にエントリーシートを持ち込んで応募できるとしても、積極的に自分を企業に売り込みにいくことが得意な学生ってきっとほとんどいないんじゃないかな?
「日本人は」って括るつもりは無いんですけど、やっぱり苦手な人が多いと思うんですよ。
う~ん。そうですね……
なかなか自分の長所を探せない学生だったり、自信が持てない学生も多いように思います。
そう考えると、同時期に初めて焦りながらも他者との違いをアピールするためには新卒一括採用はいい方法ですね。
ただ、いい部分だけではなくて、企業も同時に採用活動を始めるからどうしても大手企業に志望者が集中するんですよね。
それって非常に問題。
学生が企業のことを何も知らずに就活してしまうので、よくないと思う。
そうですね……
やっぱり大手企業や上場企業のネームバリューは強いですよね。
何も知らずに博報堂を受けた僕が偉そうに言える立場ではないんですけど(汗)
日本は、学生のうちに働くことについてとか、企業のことについて知れる機会が圧倒的に少ないと思うんですよね。
就活を始めようとする大学3年生くらいから企業のことを調べ始めるから、普段よく目にするBtoC向けの企業しか選ばなくなっていると思うんですよね。
うんうん。その傾向は大手志向の就活生のあるあるですね。
ベンチャー企業でも中小企業でも、面白い事業をやっていたり変わった福利厚生があったり、素敵な会社はたくさんあるのに。
なんなら大きいBtoB企業すら知られていなかったりするので、本当にもったいないですよね。
そうゆう企業を知れる機会が増えるだけでも、自分のやりたいことだったり憧れが見つけやすくなるのにな~と思いますね。
そうですね……
業界や企業のことについて、積極的に調べて知っている学生とそうでない学生の情報格差も課題ですよね。
学生の積極性で差が出る部分もあるとは思うんですけど、その積極性が刺激されないのはやっぱり知れる場が少ないからですよね。
今回作った「新卒ポモドーロ」も、福岡のベンチャー企業がどうやったら全国から優秀な学生を集められるか奮闘する物語だったんですけど、大阪にある中小企業の方々が集まる会合で上映させていただいた際に、共感と悲痛の叫びを耳にしましたね……
やっぱり大手企業のブランド力にはどうしても叶わない部分はありますよね。
大手がいいって言うわりに、新卒1年目から裁量権欲しいっていう学生も多いですしね(笑)
それはなかなか無理な話ですよね。そうすると、少し意識の高い子たちはメガベンチャーを選ぶか起業を目指すかのほぼ二択。
博報堂の話が聞きたいとOB訪問に来てくれる学生もいるんですけど、だいたいみんなそうゆう感じですね。
そっか~(汗)
私もそうでしたけど、学生からすると働くっていうことがなかなかイメージしづらいと思うんですよね。
だからこそ、裁量権を持つということの責任の重さだったり、どれだけ大変なことなのか知らずに、口に出てしまうんじゃないかなと……
そうでしょうね。
ベンチャー企業でゼロから新規事業を作ったり、中小企業の立て直ししたり、面白いと思うんだけどな~。
まあ、僕も今だからそう言えるだけなんですけど(笑)
終身雇用もほぼなくなってきてしまっているなかで、転職を見据えてファーストキャリアで大手を選択するっていう就活生も多いですしね。
だからこそ、小規模の企業は新卒採用が大変ですよね。
そうですね。
私も「新卒ポモドーロ」を試写会で拝見して、ベンチャー企業の採用あるあるがたくさんで、共感して頷きながら見てました(笑)
ありがとうございます(笑)
就活生の感じる葛藤もすごくわかるなとも思いました。
新卒の就活って、人生の中の大きな節目になるのは間違いないので、映画の中の就活生の葛藤もすごくよかったです。
就活が全てではないし、失敗したからといって人生が終わるわけではないですけど、その後の人生を左右するイベントの一つではあると思うので、ぜひ学生にも見てほしいですね。
企業がどんな思いで君たちを採用しているのかっていう部分も知って就活する方が、より魅力を語れると思いますし!
そうですね。私も「新卒ポモドーロ」は就活生に全力でおすすめしたい映画です!
ありがとうございます!
たくさん貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!
玉井さんの面白いキャラクターとパワフルなストーリーに、私自身もとても元気をいただけたインタビューでした!
やりたいことよりもやるべきことを選び就活をした玉井さんですが、やるべきことを続けたからこそ、やりたかった業界の仕事に一歩ずつ近づいていけているんだなと感じました。
新卒一括採用の課題点についても触れていただきましたが、メリットとデメリットを理解したうえで就活の方法や企業研究の見直してみるのもいいのではないでしょうか。
#観る就活プロジェクト「新卒ポモドーロ」も、ぜひご覧ください^^
P.S.カリクルも衣装提供させていただきました!
~玉井さんや株式会社テラスサイドの会社情報~
たまいプロデューサー 兼 劇場支配人(@yt_terraceside )
#観る就活プロジェクト公式(@miru_shukatsu )
▼#観る就活プロジェクト公式HP
▼株式会社テラスサイドHP
このメディアの監修者
岡村
#新潟出身 #いよいよ30歳 #事務職 #からの営業 #商社 #不動産 #人材 #歩く食べログ #焼肉多め #アイドルヲタク #できない理由を並べるよりやれる方法を見つける