就職活動で慣れない敬語を使っていると、気付かずに間違った日本語を使っているケースも少なくありません。
本記事では、「お伺いさせて頂きます」が間違っている理由や間違えやすい二重敬語を解説します。
面接やメールの文章に自信が持てるよう、正しい日本語を知っておきましょう。
「お伺いさせて頂きます」は二重敬語なので使用NG

そもそも、面接へ向かうときに使いがちな「お伺いさせて頂きます」は二重敬語となり誤りです。
「伺う」「させていただく」はどちらも謙譲語のため、重ねて使うと二重敬語になります。丁寧なイメージを持ってもらうために使った言葉も、間違っていれば意味がありません。
企業に対して二重敬語を使ってしまうと、それだけで印象があまり良くありません。選考前に不要な部分でイメージを落としてしまう原因になるでしょう。
正しい日本語が使えない学生だと思われないよう、間違った日本語だと知っておくと安心です。
「お伺いさせて頂きます」の正しい表現【シーン別】

「お伺いさせて頂きます」が間違いなら、どの言葉を使えば失礼にあたらないか気になる人もいるでしょう。
ここでは、「お伺いさせて頂きます」の正しい表現をシーン別で解説します。
シーンに合わせて言葉を使い分ければ、採用担当者に日本語力をアピールできるでしょう。
- 「行く」の言い換え表現
- 「行った」の言い換え表現
- 「聞く」「尋ねる」の言い換え表現
- 「行けない」の言い換え表現
①「行く」の言い換え表現
「面接に行く」「内定式へ行く」など、これから行く場所をさすときに使う場合は、「伺います」が正解です。
就職活動で面接の連絡をもらうと、きちんとメールが届いていることが採用担当者にわかるよう返信をうつ場合がほとんどです。
そのとき、情報が間違っていないかの確認のために、日時や場所を記載し返信するケースも多いでしょう。「〇月〇日○時に第一会議室へ伺います」と書けば、問題ありません。
「伺わせて頂きます」と書いてしまうと、イメージダウンの可能性があります。
②「行った」の言い換え表現
先生や上司など目上の人に、「〇〇へ行った」と伝えるときは「伺いました」「伺ったところ」が正しくなります。
「伺わせて頂きました」「伺わせて頂いたところ」となると、丁寧ではなくくどい印象になるでしょう。
また、伺うは話す相手がいる場所へ向かう意味があるため、上司や先生がいる場所へ行ったときに使うのが適切です。
慣れていないと間違えがちなため、普段から口に出す習慣をつけておきましょう。
③「聞く」「尋ねる」の言い換え表現
「聞く」「尋ねる」という意味でも、伺うは使えます。その場合は、「伺いました」「伺ってから」と使いましょう。
伺うの意味は、場所へ向かう意味以外にもあります。話を聞いたときや人を尋ねるといった使い方もできる言葉です。ビジネスシーンでは、会議の内容を聞いた、クライアントを尋ねるシーンでよく使われます。
正しい使い方を事前に知っておくと、急に必要なシーンが来ても落ち着いて口に出せるでしょう。
④「行けない」の言い換え表現
伺うには、行けないことを伝えるときにも使える表現があります。指定された場所へ行けないときは、「お伺いできません」と伝えましょう。
ビジネスシーンで「行けません」と伝えると、冷たく突き放す印象があります。「お伺いできません」と伝えるだけでもやわらかい印象となり、聞いた側を威圧せずにすむでしょう。
仕事の都合で依頼された場所へ行けない場合は多々あります。なるべく丁寧な言葉を知っておくと、断るシーンでも相手の心象を悪くする心配がありません。
間違えやすい二重敬語を紹介

ここからは、「伺わせて頂きます」以外にも間違えやすい二重敬語を解説します。
どれも知らないでいると使いがちな言葉のため、事前に誤っている理由や正しい言葉を知っておくことが重要になります。
この機会に身に付けておき、面接や就活の場面で役立てましょう。
- ご連絡させていただきました。
- お目にかからせていただきます
- 拝見させていただきます。
- おっしゃられた
①ご連絡させていただきました。
「ご連絡させていただきました」は「お伺いさせて頂きます」と同じように、慣れていないと使いがちな言葉です。
企業や上司、クライアントへ連絡するときに使う言葉で、正しくは「ご連絡いたしました」になります。
同じように、「ご連絡させていただきます」は「ご連絡いたします」となるため注意しましょう。なるべく丁寧にしようとする気持ちから起きがちのミスです。
正しい言葉を知っておけば、言い間違える心配はありません。
②お目にかからせていただきます
「お目にかかる」と「いただきます」は、どちらも謙譲語となります。ふたつの謙譲語が一文となっているため、「お目にかからせていただきます」は二重敬語です。
目上の人に会うときに使いがちな間違いですが、言い換えるのであれば、「お伺いします」が同じシーンで使える言葉です。
「お目にかかる」を実際使うのであれば、会ったときに「お目にかかれて」と伝えるのが正しいといえます。ドラマや映画でも、握手をしながら伝えている印象のある言葉です。
③拝見させていただきます。
「拝見させていただきます」は「見る」の謙譲語である「拝見」と「させてもらう」の謙譲語である「させていただく」の二重敬語です。
正しく使うのであれば、「拝見します」、過去形であれば「拝見しました」となります。
同じように使えるのは「見させていただきました」となりますが、文法として間違っていなくても違和感を覚える人はいるでしょう。
目上の人に「見ました」と伝えるのであれば、「拝見しました」と伝えた方が不自然ではありません。
④おっしゃられた
「おっしゃられた」は、言うの尊敬語「おっしゃる」と尊敬語の助詞で使われる「られる」を合わせた二重敬語です。
正しく使うときは、「おっしゃった」、現在進行形の会話であれば「おっしゃる」になります。
目上の人へ、「あなたが言う通り」という意味で「おっしゃる通り」と使われる言葉です。正しく使えると丁寧な印象になり、聞いた人を不快にさせません。
身内に対して使うのは違和感があるため、クライアントと話すとき、上司の発言を伝えるシーンでは使わないようにしましょう。
「お伺いさせて頂きます」は二重敬語なので注意しよう

「お伺いさせて頂きます」は、就職活動をしている学生が使いがちな二重敬語です。ビジネスマナーや敬語になれていない学生だと、気付かず二重敬語を使っているケースもよくあります。
企業に対して二重敬語を使うと、印象は少し悪くなります。正しい日本語を知っておき、急な場面でも使えるよう練習しておきましょう。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。