歴史や文学など、教養に関する学びが多い文学部。社会に役立つイメージが少なく、就活に不利なのではと不安に感じる文学部生もいるのではないでしょうか。
実は、文学部生にも就活で役立つ強みは存在します。本記事では、文学部生の強みや人気の就職先、就活に役立つ資格も紹介します。
ぜひ参考にして、就活に臨んでくださいね。
文学部は就職で不利ではない理由
文学部は就職において不利だと考えられますが、実際には幅広いキャリアの選択肢があり、不利とは限りません。
文学部で培った思考力や表現力、分析力は、どの業界でも重宝されるスキルです。
ここでは、文学部の就職状況や就職活動を進める上で効果的な準備方法について解説します。
①文学部の就職率について
文学部は「就職に不利」とされがちですが、実際の就職率は安定しています。
近年のデータによると、文学部の就職率は他の学部と大きな差がない場合が多く、むしろ企業から多様な視点を持つ人材として歓迎される傾向です。
文学部出身者は広範な分野の知識や優れたコミュニケーション能力、思考の柔軟性を備えていることから、ビジネスの現場でも求められるスキルを持っています。
また、文系の中でも文学部は「表現力」や「洞察力」等の特徴的な能力が身につくため、営業職や広報、企画等、幅広い職種での活躍が期待されるでしょう。
②就活準備は適職診断からスタートしよう!
文学部の学生が就職活動を始める際は、まず適職診断を活用して自分に適した職種や業界を見極めることが大切です。
適職診断では、自分の強みや興味を客観的に把握できるため、キャリアの方向性を具体的に考えるきっかけとなるでしょう。
文学部で培ったスキルを最大限に活かせる職種や持ち味が評価されやすい職場環境を知ると、効果的な就活準備が可能です。
文学部の就職先は幅が広い!

まずは、文学部出身者の就職状況について紹介します。
- 文学部は就職に不利ではない
- 一般民間企業への就職は少なめ
実際の就職状況を知り、文学部は就活に不利というイメージに捉われることなく、就活対策をしていきましょう。
①文学部は就職に不利ではない
ビジネスとは縁遠いイメージのある文学部ですが、実際の就職率を見ると決して就職に不利ではないことが分かります。
2022年度の文学部の就職率は、早稲田大学で96.2%(※1)立教大学で97.2%(※2)と、他の学部に比べても低い数字とは言えません。
そもそも理系や法務などの専門職を除き、多くの大学での学びはビジネスの実務に直結していません。つまり学部が就活に影響することは少なく、文学部だから不利とは言えないのです。
※1 出典:2022年度 進路状況(P2)
※2 出典:学部別進路決定状況 2022年度
②一般民間企業への就職は少なめ
注意点として、文学部は民間企業への就職が少なく、OBOGも少ない可能性があります。
民間企業への就職が少ない理由は、教職・その他公務員への就職をしたり、大学院進学や海外留学を選ぶ人も多いためです。
元々教養系の学問に興味がある人が多く、進路もビジネス寄りにならないと考えられます。
そのため文学部の先輩へのOBOG訪問は難しいかもしれませんが、学部に限らず志望企業の先輩を探すこともできるので、確認してみましょう。
文学部生が就職先で活かせる強み3つ

続いて、文学部生が就活で活かせる強みを解説します。
- 文章で表現する力
- 論理的思考力
- 調べる力
一見関係なさそうでも、実は文学部での学びも就活や社会で役立ちます。ぜひ、強みを見つけてアピールしていきましょう。
①文章で表現する力
1つめの強みは、文章で表現する力です。文学部生は、レポートや論文作成の機会も多いため、調べたことや自分の考えを表現する文章力が身についている人が多いでしょう。
就活では、エントリーシートや履歴書を作成する機会も多いため、文章力は大いに活かせますよ。また入社後も、メールやチャットなどの文面でのやり取りは多いため、十分強みとして通用します。
ただし、書類や場面によって記載方法は異なります。よって、自分の文章力を過信しすぎず、守るべきルールやマナーを確認しすることが大切です。
②論理的思考力
2つめの強みは、論理的思考力です。文学部ではゼミや授業で多くの論文を読み、情報を整理する機会があります。様々な情報に基づいて文章を書くため、論理的思考力が身に付きやすいですよね。
また卒業論文の執筆では、既出の情報を取りまとめて自分の考えを発表する必要があり、論理的思考力がなければ出来ません。
社会に出てからも、多様な情報から論理的に考え、自分の意見を伝えることはとても大切。就活でアピールするのに有効な強みになりますよ。
③調べる力
3つめの強みは、調べる力です。文学部では論文などを読んで、日常的に情報収集していますよね。必要な情報を自分で探す機会も多いため、調べる力が備わっています。
就活では、業界や企業の研究をする際に情報収集力が必要です。入社後も初めて対応する業務について調べる機会は多く、調べる力は大切なので、十分就活での強みになります。
また調べることで身につく教養力は、ビジネスでのコミュニケーションにも役立ちますよ。
文学部に人気な就職先6つ【業界】

ここからは、文学部生に人気の6つの業界を紹介します。志望する業界が決まっていない方は、ぜひこちらを参考に考えてみてくださいね。
- 出版・マスコミ業界
- 広告業界
- IT業界
- メーカー
- 金融業界
- 教育業界
①出版・マスコミ業界
1つめは出版・マスコミ業界です。
書籍などの出版をする出版業界と、テレビや新聞などのメディアで情報発信するマスコミ業界は、文章との繋がりが深く文学部では人気が高いでしょう。
選考の中で作文や筆記試験が行われることも多く、募集人数が少ないことから選考倍率が高めなので、自己分析を含めた企業ごとの対策が重要です。
②広告業界
2つめは広告業界です。テレビCM・ポスター・インターネット上などの広告を手掛けている、広告代理店や制作会社が該当します。
デザインやキャッチコピーなどクリエイティブな仕事ができるほか、様々な業界との関わりもあり人気です。
表現力や想像力が大切なので、文章に触れる機会の多い文学部生の強みが活かせるでしょう。
③IT業界
3つめはIT業界です。インターネット上のサービスを提供しているため、プログラマーのイメージが強いかもしれません。
実はIT業界には、事務や営業などのプログラミング知識がなくとも働ける職種もあります。
またWebメディアを運用している企業では、ライターや編集者のような職種も募集しており、文章力を活かせる場合もありますよ。
④メーカー
4つめはメーカーです。理系のイメージが強いかもしれませんが、食品や化学メーカーに就職する文学部生も実は多く存在します。
研究職などは専門知識が必要なため難しいですが、営業・生産管理・経理・商品企画など、文学部でも目指せる職種もありますよ。
イメージに囚われず、選択肢を広げて志望企業を考えてみましょう。
⑤金融業界
5つめは金融業界です。銀行・保険・証券など多くの業態があり、歴史の長い大手企業は特に安定性が高く人気があります。
お金や数字を扱うイメージが強いですが、実際には、事務・営業・窓口業務などの職種に多くの文学部生が就いています。
金融と言っても様々な種類があるため、志望企業にあった対策が大切です。
⑥教育業界
6つめは教育業界です。学校の教員だけでなく、大学職員や予備校・社会人向けのスクールなどの民間企業も該当します。
文学部では教職課程のある大学も多く、興味のある人も一定数いるため人気です。
また、文学部生は論理的思考力が高い傾向にあり、分かりやすく説明するのが得意な人も多いはず。強みを活かしやすい業界とも言えるでしょう。
文学部に人気な就職先3つ【職種】

次に、文学部生に人気な3つの職種を紹介します。
- 教員
- 司書
- 学芸員
一般民間企業以外にも、文学部の強みを活かせる就職先があります。志望先が定まっていない人は、選択肢の1つとして参考にしてくださいね。
①教員
1つめは教員です。文学部生の場合、専攻に基づいた科目(社会・国語・英語など)の教員を目指すのが一般的。いずれも教職課程の取得が必要です。
人に分かりやすく伝えるという強みを活かせる職種と言えるでしょう。
また、公立学校の場合は公務員のため、公務員試験の受験が必要。私立学校の場合は各学校の採用試験を受験する必要があります。
②司書
2つめは司書です。図書館で資料収集や本の貸出業務などを行います。読書好きな文学部生も多いため、人気が高い傾向にありますよ。
ただし、司書になるための資格取得には、大学の科目を履修することや、講習の受講が必要な場合があるため、志望する方は必ず確認してください。
また正規職員の求人は少なく、倍率が高い傾向にあるため注意が必要です。
③学芸員
3つめは学芸員です。博物館での資料収集や、研究を行っています。専門分野を研究したい人にとっては、好きなことを仕事にできる進路です。
学芸員の資格を取得するには、博物館に関する科目の単位を取得するほか、3年以上学芸員補の職に就くことが必要。
また専門性が高く、新卒から学芸員になるのは狭き門だと認識しておきましょう。
文学部の就活以外の進路
文学部の学生にとって、就職以外にもさまざまな進路が広がっています。
ここでは、文学部生が考えられる進路の一つとして、大学院進学、留学、起業についてそれぞれのメリットやポイントを詳しく解説しますので、参考にしてください。
①大学院進学
文学部で学んだ分野をさらに深めたい場合、大学院進学は有力な選択肢です。
大学院ではより専門的な研究に取り組むことで、自身の知識やスキルを高められます。
また、大学院での研究成果は、将来的に専門職や研究職を目指す際の強みとなるでしょう。
文学部での研究テーマは人文学から社会科学まで多岐にわたり、社会にとって重要な知見を提供する機会も増えます。
②留学
留学は、異文化を経験し視野を広げるための素晴らしい機会です。
文学部の学生にとって、海外の文学や文化を直接学べることは非常に有益であり、自国では得られない新しい知識や視点を身につけられます。
また、留学先での経験を通じて語学力やコミュニケーション力が向上し、国際的な視野が養われるため、帰国後のキャリア選択の幅が広がります。
③起業
文学部での学びを活かし、自ら事業を立ち上げる起業の選択もあります。
文学部出身者の視点は、一般的なビジネスプランにユニークなアイデアを加えられ、新しい価値を生み出す可能性を秘めています。
特に、ライティングや編集、マーケティング、コンテンツ制作等、文学部で得た知識やスキルを活かせるビジネス分野も豊富です。
文学部が就職先を確保するのに役立つ資格4つ

最後に、文学部生が就活を優位に進めるのに役立つ資格を紹介します。
- 簿記
- TOEIC600点以上
- 証券外務員資格
- ITパスポート
資格は明確なアピールになるため、志望先に合ったものの取得を検討してみましょう。
①簿記
1つめは日商簿記検定試験です。企業の経営成績・財務状況を明らかにする技能(簿記)の能力を測るもので、経理事務の仕事に役立つ資格です。
特に経理・経営企画職に興味のある方は、2級以上を取得しておくとアピールに繋がります。
また財務諸表を読み解く力や、企業経営の考え方も学べるため、社会に出た後も活用できますよ。
②TOEIC600点以上
2つめはTOEICです。ビジネスでも使える実践的な英語力を測る試験で、多くの企業で英語力の基準として捉えられています。
一般的に、平均以上の英語力がある証明として、600点以上は必要です。
海外勤務など英語を主に使用する働き方を志望する場合は、より高い点数が必要なことが多いため、志望先の基準を確認してみましょう。
③証券外務員資格
3つめは証券外務員資格です。有価証券・預金・保険などの金融商品の販売や勧誘に必須となっています。
そのため金融業界の企業では、新入社員に取得を義務付けるケースもあるほど。就活のときから取得しておけば、入社後に取得する手間を省けるメリットがあります。
また、金融への興味があるアピールにもなりますよ。
④ITパスポート
4つめはITパスポートです。ITに関する基礎知識を証明する国家資格で、ビジネスの知識も学べます。
ITスキルの中でも初心者向けで、比較的取得しやすいことで知られています。
特にIT業界を志望する方は、企業の募集要件になっている場合もあるため確認が必要。入社後の配属先に関わる可能性もあるため、受験をおすすめします。
文学部出身者が就職活動で気をつけるべき3つのポイント
文学部出身者が就職活動で成功するためには、文系特有のスキルを活かしつつも、ビジネスの場で求められる実務的な視点を養うことが重要です。
ここでは、文学部出身者が就職活動で注意すべきポイントを3つご紹介します。
①職種や業界の視野を広げる
文学部出身者が就職活動を行う際、特定の職種や業界にこだわらずに幅広い選択肢を持つことが成功の鍵です。
文学部で培ったスキルは一般的に限定的ではなく、さまざまな業界で役立てられるため、興味を持てる職種や業界に目を向けてみましょう。
例えば、営業職、マーケティング、編集やライティング等、表現力やコミュニケーション力を活かせる分野は多岐にわたります。
②業界知識をしっかりと身につける
文学部出身者が企業に評価されるためには、選考を受ける業界や企業に関する知識をしっかりと持つことが重要です。
ビジネスにおいては、専門知識や業界動向に関する理解が求められるケースが多いため、事前にリサーチを行い、業界の特徴やトレンドを把握しておきましょう。
これにより、面接時に自分の適性を具体的にアピールできるだけでなく、志望動機にも説得力が増します。
③実務経験を積む
文学部出身者が企業で即戦力として評価されるためには、実務経験を積むことも重要なポイントです。
インターンシップやアルバイト、ボランティア等、実際の仕事を経験すると、社会人としての基礎的なスキルや業務の流れを理解できます。
これにより、自分の強みが実務でどう活かせるかが具体的に分かり、自己PRや志望動機の際にも実体験をもとにしたアピールが可能になるでしょう。
文学部での学びを活かして就職先を見つけよう!

紹介してきたように、文学部だから就活が不利になることはありません。イメージに囚われず、志望企業の対策に必要なことを冷静に考えてみましょう。
文学部で学んだことを活かし、就活を有利に進めていってくださいね。
このメディアの監修者
若林
青山学院大卒。 勉強が苦手過ぎた経験をもとに、学生時代に受験生への応援ブログを1年間毎日更新し、月間8000pvを記録。 新卒にて、C-mindグループの株式会社LEADに営業として入社し、初年度、年間個人売上900万以上達成。 2023年3月にメディア事業責任者に就任し、メンバーを集めつつ、半年でメディア記事を1000本公開し、現在は2000本以上の記事の監修をし、就活に役立つ情報を発信中。